悪役令嬢に転生し破滅回避のために奔走した主人公だが、同じく転生者だったゲームヒロインに陥れられる。ショックで意識を失ったあと、身体の主導権を握ったのは悪役令嬢の肉体の中にずっと宿っていた本来の魂。主人公の前世の記憶を共有し、彼女の行動を見つめ続けるうちに主人公に親愛の情が湧いていた悪役令嬢の魂は、主人公を傷つけた者たちへ復讐するために動き出す。
あらすじに作者より注意書きもあるように、【ガールズラブ】タグがついてはいるが恋愛感情ではなく、【色々なことを教えてくれたとても大切な存在】といった位置付けでしかないので、女同士のラブラブは一切ないし、そういった展開が苦手でも読めると思う。
私はGLにもBLにも興味がないので読まないが、この作品は問題なく楽しく読めた。
悪役令嬢に憑依した魂の方を主人公と称したが、物語は主人公(エミ)がショックから深い眠りにつき、悪役令嬢の魂(レミリア)が目覚めてからの彼女の行動がメインになるので、物語の主人公は【悪役令嬢の魂】の方になる。この設定も面白いと思った。
エミが『ゲームのレミリアならこうする』と本来の自分と想像のレミリアを使い分けて行動していたように、レミリアも『エミならこうする』と長年肉体を共有して知ったエミの思考や言動を演じながら、違和感なく復讐のための行動を着実に進めていくさまもよかった。
エミの中で彼女から教わった優しさや愛する心を持ちながらも、苛烈に容赦なく復讐を進めていくレミリアのブレなさや真っ直ぐさがかっこいいし、小気味よい。
ざまぁはやはり、きっぱりはっきりした方がすっきりする。
レミリアのゲーム設定がかなりチートだったかつエミが破滅回避のため能力値を上げていたため、復讐の準備段階(追放先の村でのあれこれ)がかなりさらっとした文章で成功していっていて随分と端折られてる感が否めないが、その分サクサクと展開が進んで個人的にはとても読みやすかった。
登録:2021/10/28 15:02
更新:2021/10/28 15:23