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よく見たら濁点が一個多かった

5.0
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 ダンジョンに出没するという未確認の新種モンスターと、それを捕獲せんと奮闘する三人の冒険者の物語。

 異世界ファンタジーではありますが、お話の構造としてはちょっとミステリ(日常の謎)っぽい側面もあるかもしれません。

 曖昧な噂くらいしか情報のない詳細不明のモンスター、通称「ベッドミミック」。ベッドに擬態した姿でダンジョンに潜み、冒険者を眠りに誘うというその怪物は、しかしどういう生態なのか、一体なぜそんなことをするのか、そもそも本当にいるのか等々、何ひとつはっきりしたことがわかりません。

 その曖昧なモンスターを、でもたまたま知り合った三人の冒険者が、生け捕りにしようとダンジョンに臨む。大まかなお話の筋は大体そのような感じで、特に導入を終えたあとの二話目なんかは、探索あり戦闘あり逃走ありと、しっかり冒険らしい冒険を繰り広げてくれます。戦士、探索士、魔法使いと、三人の役割がはっきり分かれていて、それぞれに見合った見せ場があるのも素敵なところ。

 個人的には、物語の終わり方というか、最終章の形式が好きです。まさに『報告』という章題の通りの内容。そこまでの二話との落差も相まってか、想像の余地を掻き立てられるような、綺麗な閉め方の作品でした。

和田島イサキ

登録:2021/11/4 18:02

更新:2021/11/4 18:02

こちらは和田島イサキさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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610 light-years Love

来世における巡り合いのお話(※語弊のある表現)

 約九十年の人生の締めくくり、間抜けな人生だと自嘲しながらも、でも満ち足りて往生するひとりの男性のお話。  しっとりと落ち着いた描写が胸に沁みる、切なくも優しい手触りの人間ドラマ、のようなSFです。ドSF。どうやってもネタバレになるというか、いやそもそもタグの時点で明かされてるも同然な部分なので〝そこ〟についてはもう気にせず触れてしまうのですが(困る人はいますぐ本編へ!)、シミュレーション仮説をモチーフにしたお話です。その辺りを端的かつ印象深く象徴しているのが、本作のキャッチである『あなたの愛する人は本当に実在するのでしょうか?』の一文。これ好きです。本編の内容を読み終えてからだと、より強く意味合いが強調されるような感覚(後述します)。  導入であるところの「九十年の人生」、それはすべて仮想現実だった、というところから始まる物語。宇宙船での星間航行中、どうしても持て余すことになる長い時間を潰すための、娯楽としての人生のシミュレーション。要は長い夢から覚めたようなもので、さっきまでの人生はすべて作り物でしかなかった、というのがこのお話の肝というか前提になるわけですけれど。  ここで面白いのがこの主人公、というか作中の人類全般のことなのですけれど、寿命が半永久的に続くんです。現生人類の人生一回分の時間くらいは、ほとんどあっという間の出来事。さすがに未来(千年後)の世界だけあって全然違うと、それ自体は特段なんてことはないのですけれど。  宇宙船のコンピュータによってシミュレートされた方の人生、それが千年前(作品外における現代)の世界であるということと、そして『シミュレーション仮説』というタグ。これらの意味するところというかなんというか、まあ要するにメタ的に見ることで作品の主軸とはまた別の妙味を上乗せしてくるという、この構造とそのさりげなさにニヤリとしました。あくまでも副次的に書かれている、そのお洒落というか上品な感じ。  さて、その上でその主軸、物語のメインとなるドラマなのですが。まんまとやられたというか綺麗に決まったというか、きっちり組まれた構造の綺麗さにうっとりします。単純にロマンティックないい話でもあるのですけれど、これ構造だけ見てちょっと見方を変えるなら、ある意味転生ものみたいなところもあるんですよね。いわゆる前世からの生まれ変わり、離れ離れになった運命の相手に再び巡り合うお話のような。王道であり古典でもあるその類型を、でもただSF的な設定の上に持ってきただけでなく、まったく違う手触りに変えてみせる。物語を自分の(作者自身の)ものにする、というのは、たぶんこういうことなのかなと思いました。  あと大好きなところ、というか絶対触れずにはいられないのは、やっぱり結びのあの一文。このサゲの爽快感がもう最高に好きです。伏線等も綺麗に回収しつつ、すべてがこの瞬間のために描かれた物語。とても綺麗で、しっかり壮大なSFでありながらも、その向こうから人の生を伝えてくれる素敵な作品でした。

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和田島イサキ