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嗜虐性の裏に見える、人間の可能性

5.0
1

 物語は、終始狐のお面をつけたままで、決して外すことのない転校生、乙顔がやってくるところから始まります。

 明らかに異質な容姿と、クラスの誰とも交わろうとしない態度。

 存在そのものが浮いて見えることから、次第に彼女は、クラスのなかで孤立を強めていくのですが──?


 本作の魅力は、よくも悪くも人間らしい汚さと、主人公の成長が描かれているところでしょうか。

 周囲と馴染もうともせず、淡々と日々を送っている主人公。

 クラスを平穏にまとめるため、マニュアル通りの対応を見せる教師や級長。

 妙な言動を繰り返す転校生に反発し、排除しようとたくらむ問題児たち。

 様々な登場人物たちの行動を通じて、人間が本来持っている嗜虐性であったり、慣れ合うだけでは解決しないイジメ問題の本質が見えてきます。


 クラス内の軋みが臨界点に達したそのとき、乙顔がついに立ち上がるのです。彼女がお面を外したその時、いったい何が起こるのか?

 そして、彼女の目的とは?

 物語の結末は、是非あなたの目で確かめてほしい。


 お勧めの、ヒューマンドラマです。

木立花音(こだちかのん)

登録:2021/11/12 20:38

更新:2021/11/29 21:34

こちらは木立花音(こだちかのん)さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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木立花音(こだちかのん)