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かすみ燃ゆ

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東の果て、山女が棲まう遥野郷安是の里では、女は恋をすると光る。だが、かすみは十八になっても光らず、〝かすのみ〟扱いをされていた。 今日も今日とてかすみは黒ヒョウビの実を採りに神域である黒沼へ向かう。夜の山は危険であり、人の領域ではない。事実、一年前の秋祭の晩、里を抜け出したかすみは物の怪と出会っていたのだ。 里への恨み、母への憎しみ、夫への思慕が燃え上がる。長編幻想愛憎官能伝奇譚。 ※カクヨム掲載中の『安是の女』は、今作の前日談であり、一部に重複表現があります。 ※残酷描写、暴力描写、性描写がありますが、この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

現れる模様の予測がつかない、万華鏡のような物語

point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

先が気になりすぎて一気読みしてしまった上、予想を裏切り上回るラストに撃墜されてしまいました。


安是という里の女性は、恋をすると光る。主人公・かすみは年頃になっても光ることなく、加えて身の上の事情もあり、村人たちから疎遠にされていた。しかし彼女は、外道と称される寒田という里の男・燈吾に恋をし、彼だけに自身の光を灯していた。禁断の関係を持った二人は、ありとあらゆる障害に阻まれながらも、相手を諦めることなく突き進んでいく。


かすみたち安是の女が放つ光、山里の景色や民俗的な要素、純粋かつ凄絶なまでの情念を抱く人間の姿が、息を呑むほど濃密で絢爛な筆致で描き出されています。一見すると伝奇やファンタジー、官能的な恋愛もののようですが、ミステリの一面も秘めており、時に迫力満点で進む展開もなされます。


美麗な文章や描写を堪能しているうち、いつの間にかゆっくりじわじわと物語の中へ引きずり込まれていき、気づいた時には加速する展開を追わずにはいられなくなります。すっかり没頭しつつ辿り着く結末には、してやられたと思わず笑ってしまう。こちらを飽きさせるどころか読後まで魅了し続け、最後まで翻弄してくれる作品です。


苛烈にして壮麗な光に焼き尽くされ、感嘆すると共に放心してしまうほどの読書体験、ぜひ味わってみてください。

葉霜深海さん

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登録日:2021/11/24 18:10

こちらは 葉霜深海さん が読んだ当時の個人の感想です。
詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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カクヨムファンタジー10万文字以上
幸福の国の獣たち
神に恋するスーパーポジティブ古代人少女ララキと、真面目でケチでしっかり者な少年ミルン。いろいろ真逆な二人はそれぞれの目的のために神域『幸福の国』を目指して共に旅をする。 仲間は謎の美少女と個性豊かな動物たち。 対する世界の神々は、ある理由により彼らを無視することができず、やむなく『試験』と称してさまざまな問題を出すことに。 神々の試練を乗り越えて、人間たちの絆は深まっていく。 一方で神の世界では、元からあった歪な力関係の上に、裏切り者の暗躍という新たな影が差しかかっていた。 神々の思惑や数多の困難を乗り越えて、ちっぽけな人間が『自分の幸せ』を掴む物語。 自分が嫌い、誰かに認めてほしい、生きていくのがしんどい。 そんな人に読んでほしいファンタジーです。 ※性描写に関しては主人公たちには一切なく、また性感を煽るような要素はありません。また一部に性暴力の表現があります。 ※一部に四肢欠損や捕食といったゴア・暴力描写が含まれます。 ●本作は小説家になろう/ノベルアップ+でも掲載されています。 ⭐︎100万字も読めるかな…エログロ有りはちょっと…という方向けスピンオフ短編 (本編とほぼ無関係な過去話ですが設定や雰囲気は掴めるはず…) https://kakuyomu.jp/works/16816700427620037855 ©️夢浮橋 Unauthorized reproduction prohibited. 禁止私自转载

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異国情緒、ラブロマンス、冒険と成長の物語を楽しみたい方に

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葉霜深海

カクヨム 現代ドラマ 10万文字以上
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