この物語をまだ読んでいない方に伝えたいこと。
【 ヒロインに惚れます!!! 】
見た目や仕草が可愛いとか、萌えとかキャラ立ちとか、そういうものを超えています。これは惚れるしかないです。男だろうが女だろうが、この作品のヒロインに例外なく惚れると思います。現に私が惚れた!
衝動のあまり真っ先に伝えたいことを書いてしまいましたので、以降は順番に書かせて頂きます。
この物語は主人公・高畠智也が、恋人・藤堂栞との過去を夢に見ているところから始まります。
男子学生にとって恋人との時間は、学生生活に潤いを与える甘美なものでしょう。ですが、智也にとっては違いました。彼と彼女の関係は、『仮初』に過ぎなかったのです。
容姿端麗で人気者の栞と恋人という関係にありながら、智也は恋や愛という感情を持てずにいました。そうして日々が過ぎていく中で、栞は唐突に智也の前からいなくなってしまいます。智也との関係に嫌気が差したからとかではありません。
藤堂栞は、智也と「サヨウナラ」という言葉を交わした日の翌日、変わり果てた姿となって発見されたのです。
この事件が、物語の主軸となっています。
そして亡き恋人の夢を見た翌朝、智也の身には信じられない出来事が起きていました。
高校二年生だったはずが、なぜか中学生の頃にまで時間が巻き戻っていたのです。
なぜ時間が巻き戻ったのか? という部分が、『僕と彼女の、繰り返される夏』という作品では最大の謎であり、大きな意味を持っています。そして智也は、巻き戻った時間を有効に使うため、まだ生きている栞を「死なせない」ために奔走する。
恋愛ものでありながら、この作品の主人公には『乗り越えなければならない壁』と『敵』がいるのです。事件を巡る主人公の奮闘には、手に汗握るものがありました。
巻き戻った時間。
亡き彼女とそっくりな少女。
栞の手元にある【運命の人】という本。
これらの謎が複雑に絡み合っていく中、智也は無事に栞を救い出すことが出来るのか!?
……というのが大まかな(本当に大まかな)ストーリーですが、ぶっちゃけこれだけではありません。見事などんでん返しがあるのです!(タグに書いてあるのでここはあえて言います)
いやあ……もう、ね。その感想が冒頭に繋がる訳ですよ。栞ちゃん、稀に見るヒロイン力の高さ。ベストオブヒロイン。最高です。
怒涛の展開に息つくのも忘れてしまう本作ですが、合間の癒しになってくれているのもまた栞ちゃんです。
作者様の卓越した文章力でもって綴られる彼女の細やかな仕草には、頬が緩みます。そして中学生らしい恋愛模様には読んでいるこちらが恥ずかしくなってくるものがあり、これもまた物語の合間の休憩となっています。……しかし!!
ただの「需要」としての描写では、決してないのです!!!
ここが、この作者さんの凄いところです。ただの「お楽しみ」になってしまいそうな些細なシーンさえ、伏線にする。とんでもない能力です。
いやもう本当、読んでない方は是非とも読んで下さい。時間が無駄になるなんて事は決してありません。
本屋でたまたま買った本がとんでもなく良作だったとか、そういう類の悦びを感じられます。作品として非常に完成された物語です。
純愛ものがお好きな方、タイムリープものがお好きな方、青春ものがお好きな方。
ぜひこの【僕と彼女の、繰り返される夏】という作品のページを捲ってみて下さい。
あなたの中に、これからの季節、読み返したくなる作品が一つ増えるはずです。
登録:2021/12/17 17:47
更新:2021/12/17 17:46