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自らのコンプレックスと向き合い成長する6人の男女が織りなすショータイム

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 この作品を読み始めた時の第一印象は「奇抜」の一言だった。

 というのも、OPENING act を読むと分かるが、この作品が小説兼「舞台」に思えたからだ。私たち読者は、いわば「観客」ということになる。


 臨場感あふれる冒頭に魅了され、読み進めていくと、登場する主な「役者」は6人の男女。

 話が進むにつれて明かされていく彼らの境遇は、決して恵まれているとは言えないものだろう。そして、その境遇であるがゆえに抱えたコンプレックスは、とても根深いものだ。

 時にそのコンプレックスは、同じような悩みを抱えた「観客」たちの心を揺さぶることもあるだろう。かく言う自分もそのひとりだった。克服するには、自分から踏み込んでいく勇気が必要……と、頭では分かっていても、実践するとなると簡単には出来ないものだ。

 だからこそ、彼らにより共感することが出来たのかもしれない。


 時間をかけながらも、彼らはそれぞれ、自らのコンプレックスに向き合い、克服しようとする。共通するのは「ひとりで」ではなく、「みんなで」向き合っていくこと。改めて人との繋がり、絆が大切だと思わされた作品だ。


 次に彼らの舞台に魅了されるのは、そこにいる「あなた」かもしれない。

 あなたが辛いと思った時、笑いたいと思った時……舞台の「観客」として、客席に足を運んでみてはいかがだろうか?

櫻井 理人

登録:2022/11/14 17:51

更新:2022/11/14 17:49

こちらは櫻井 理人さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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櫻井 理人