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ノスタルジーに眠る甘さと苦さ

5.0
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記憶というのは、あるものに紐付けられる。

紐付けられたものが、何度も記憶を呼び覚ますのだ。


主人公の”ぼく”は、毎年夏になると、祖父母の家に小旅行を兼ねて行っていた。

この夏にしか会わない人がいる。従妹の千夏という少女である。


二人の記憶に残っていたのは、UCCのコーヒーだった。

このコーヒーは甘くて、苦い。

ぼくに残されたのは苦味だった。千夏に残されたのは甘さだった。

二人の思い出についてはネタバレになるので、ここでは深く触れないことにするが、コーヒーの味と共に味わってほしい。


田舎の長閑な風景、匂い、音、そういったところから、ノスタルジックな気持ちになれるのも、本作のおすすめしたい点である。

千の夏を超えた先に思いを馳せながら、コーヒーを飲みたい作品だ。

月瀬沙耀

登録:2022/12/9 13:57

更新:2022/12/9 13:57

こちらは月瀬沙耀さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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