人は様々な理由で人を殺す。
自分が生き残る為。利益を得る為。復讐の為。戦争だから。仕事だから。殺したいから。ただなんとなく。
彼は彼女を殺した。
彼女を護るため。彼女の全てを護るため。世界の全てから護るため。
自分の手で彼女を護るため。自分だけが彼女を護るため。
彼は彼女を殺す。
その考えが間違っているかなどとは考えない。彼女が理解してくれるかなんて考えない。
正しかろうとなかろうと、理解されようとされまいと、彼は彼女を愚直に殺す。
彼女を護るために。
彼女を愛するが故に。
彼女は彼を殺す。
彼が彼女を殺したから。そのことが憎いから。今度こそ生き残るために。
彼女は彼女の為に彼を殺す。
彼女は彼女の満足いく結果を得るその時まで、彼を殺す。
何度でも。
彼女は彼の都合で殺されたのだから。
彼は伝えていなかった。彼が彼女を殺す理由を。
彼女は知らなかった。彼が彼女を殺す理由を。
もしも彼女がその理由を知る時が来たのならそこには何が起きるのか。
彼女は彼を殺せるのか。
彼は彼女を護れるのか。
物語、登場人物、世界観。あらゆる設定が深く練りこまれ、それが丁寧かつ狂気的に描かれているが故に、読者を物語の世界に誘う力がとても強い作品よ。
そこには作者の読者への愛が感じられるわ。
まだこの作品にふれていない方には是非ご一読いただきたいの。
作者の愛を受け取ってほしいのよ♥
登録:2021/7/11 20:33
更新:2021/7/23 17:15