この作品は、なろうではよくある異世界転生から物語が始まる。神様の代わりに天使が出てきて、ちょっとした転生特典を添えて、主人公を異世界に送り込む。
その世界で、主人公は地球で得た科学の知識を活かして、水属性の魔法を極めようとする。なぜか途中で剣の腕も極め始めるのだが、あくまで彼は魔法使い。転生先は人っ子一人いない魔境。そこでのサバイバル生活から物語は始まる。
そして20年ほどの研鑽を経た後、その世界の住人である「アベル」という冒険者と出会う。
そこから主人公の壮大な冒険が始まる。20年の研鑽によって磨かれた水属性の魔法と剣技は、人類の中では圧倒的であり、その力を用いてアベルの危機を救い、とある王国の危機をも救う。
それだけ聞けば英雄譚だが、主人公ののほほんとした性格は、全くそういった印象を感じさせないものだ。良い意味で力が抜けていて、どこまでも自由に好奇心の赴くままに生きている。親友アベルとの会話はボケとツッコミが絶妙で実に面白い。
そんな風でありながら、物語はより広がりを見せ、世界はそのうちに抱える「謎」に主人公と読者を誘う。読み始めるとワクワクが止まらない。
ファンタジー好きとしては「こういうのが読みたかったんだよ!」と叫びたくなる、なろう屈指の名作である。
登録:2021/7/9 23:14
更新:2021/7/23 17:15