不倫の何が悪いの?
いや、悪いだろ。何いってるんだよ。
と思われる方、
悪くないよ、だって好きになったら仕方ないじゃん! と思われる方、考えはそれぞれだろう。
この小説は、主人公いわく理論武装で不倫を肯定している女性の、生々しい等身大の感情を見事に書ききっている恋愛小説である。
1人の人間の心を赤裸々に掘り下げている。醜さも幼稚さも純粋さも、読むうちに愛おしくなってしまう。どこまでもリアルで、他人の心を読める道具でも身に付けたような、或いは他人の秘密の日記を読んでしまったかのような感覚になる。
人の感情はうつろいやすい。だから人は形を求めようとする。
その形に主人公は反発しながら、いつしか自分が嫌いだった欲求が芽生え始め、矛盾を突きつけられる。矛盾を通じ、主人公は自分と向き合い、成長していく。
私は不倫否定派だが、小説として、この作品は絶賛するしかない。
大人になりかけの、そして大人のために向けられた上質な恋愛小説だとおすすめする。
登録:2021/7/12 14:14
更新:2021/7/23 17:15