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春を告げる花

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俺と孝弘の友情は、たった一言で壊れた。俺が好きだという、あいつの一言で。 でも友達が少ない俺は、孝弘との関係が壊れるのが嫌だった。 俺は孝弘のことを好きな訳じゃないけれど、一緒にいたい。 そして孝弘の出した打開策は、「恋人ごっこ」をしようというものだった。 俺のお見合い相手のお嬢様、高瀬友理奈も俺の生活に絡んできて、いま俺は色んな意味で人生の岐路にいる。 十話前後で完結します。別サイトで別P.Nで題も変わって別バージョンを投稿してあります。 思いっきりBL作品ですので、気を付けてください。R15くらいの描写はあります。

感情の機微を丁寧に描いたBL

point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

ストレートだったはずなのに、男友だちから告白されたことによって揺れ動き出す主人公の感情が、とても丁寧に描かれた作品です。


ちょっとした感情の機微から感じられる気づきや不安やときめきが、ゆっくりと変化していくこころ模様を表していて、読みながら主人公の内面へ入っていくことができます。


植え付けられた常識から、最初は同性愛に対する嫌悪感に駆られてまうけれど、それが変化していく様がとても丁寧に綴られていました。


孝弘が将来の夢を語る場面は、とても感じ入るものがあります。

主人公が漠然と考えていた「将来」と孝弘が語る「将来」。

全然ちがうけれど、後者の幸せな未来を想像できてしまう。


けれど、読み手には、前者は簡単に手に入れることができるけれど(彼の場合縁談がうまく行きそうなので)、後者は決してそうではないと分かっているので、そこに大きな切なさを感じました。

常識的な「将来」とそうではない「将来」の間で揺れる感情のリアルな感じがとても良かったです。


主人公いたしかたがないの弱さ、ずるさというのがきちんと描かれていたのも好きでした。

恋人になるのは怖いけれど、親友は失いたくない。

大切なものを守るためと思い込もうとしつつ、本当は常識から逸脱するのが怖かっただけ。


そういうところに、しっかりとした洞察があって、読んでいてハッとさせられます。


とても素敵な作品です。

ぞーいーさん

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登録日:2021/07/12 18:19

こちらは ぞーいーさん が読んだ当時の個人の感想です。
詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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カクヨム 現代ファンタジー 10万文字以上
踊れ、踊れ、フラミィ
踊りを愛する島に暮らすフラミィは、自分も踊りを愛していたが、どうしてもうまく踊れず皆から厄介者扱いされていた。 ある日、踊りの最中に島で一番踊りが上手い女を怪我させてしまい、とうとう踊りに加わる事をやめさせられてしまう。 フラミィは絶望し、若い身体を欲しがる踊りの女神ルグ・ルグに身体をあげてしまおうとするが、左足の親指の骨が無かったので「踊れない身体なんていらないよ!」と、断られてしまう。 左足の親指の骨を取り戻し、重心の取れる身体が欲しいフラミィと、若い身体が欲しい老婆の女神の『親指の骨』探しが始まった。 島を守る老婆の女神とフラミィの、少し不思議な愛と友情の物語です。 淡いラブストーリーもちょっとあります。  ※少しだけ昔の現実世界にある、外からは見えないけれど存在する島が舞台です。 ――朝読小説賞―― 主人公:十三歳 朝読小説賞キャッチ: 探そう! 思い通りじゃないかもしれないけど、きっと見つかる。

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ぞーいー

小説家になろうファンタジー10万文字以下
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その土地では、いつも雨が降っていた。晴れ間ののぞく日など月に一度か二度という、そのような場所にも人が住んでいると聞いて、旅人は険しい道を越え、その国へと向かった。雨の国の住民は、洞穴の中で暮らす、一様に小柄で痩せた人々だった。存外に気のいい彼らに囲まれ、異国の話をせがまれながら、滞在を楽しんでいた主人公。だが彼らの「生き延びるための知恵」を目の当たりにしたとき、旅人は戦慄を覚える。/※虐待に類する場面、災害についての描写があります。苦手な方はご注意ください。/自サイトからの転載になります。

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point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

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ぞーいー

小説家になろう青春・ヒューマンドラマ10万文字以下
きんきらきん
仕立て屋のお袖と呉服屋のおきぬはどちらも美しく、仲睦まじく育った。 お袖の兄辰二郎とおきぬの結婚が決まり、ますます姉妹の様に仲を深めるお袖とおきぬ。 しかし、その年の秋祭りの夜に辰二郎が姿を消した。 不可解な謎を残し、婚約者を失ったおきぬも、ある決断をしお袖の傍から姿を消す。 大切な人を二人失って、失意の中にいるお袖をなんとか救おうと両親はどこか良家への嫁入りを強く勧めるが、お袖は乗り気じゃない。けれどもある時急に「刃物屋となら結婚します」と言い出した。 ※多分五話くらいのあっさり中編となります。お気軽にお寄りください。 ※江戸時代ですが、舞台は江戸ではありません。

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point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

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ぞーいー

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