最初から最後まで、遥かな古代の悠久を感じさせる繊細な描写にうっとりと惹き込まれます。古事記や日本書紀に見える、美しくも血なまぐさい歴史の渦に巻き込まれる夕星の行く末が気になり一気に読んでしまいました。
夕星本人や葉隠やその他の登場人物たちの夕星への揺れ動く想いがとても切ないけれど、きっとこの結末しかありえなかったのだろうな、と思わせるラストでした。
しばらくして始まった外伝、そして第二部は、さらにこの世界の深さと広がりを感じさせてくれる、素晴らしい物語でした。古代の歴史好きな方にはもちろん、いままであまり古代史に触れたことのない方にも、和製ファンタジーの傑作として、大変おすすめしたい一作です。
登録:2021/7/12 21:45
更新:2021/7/23 17:15