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【完結】朔の風

作品詳細
天象が読める風神の末裔・夕星は、ある日故郷と許婚を失う。 姿のない近衛・葉隠に助けられ、落ち延びた筑紫洲。 そこで大国を統べるのは、日の神の末裔の巫女・日向大王だった。 大王に仕えることを決め、故郷を守れなかった後悔を埋めるように、風読の力を発揮していく夕星。 一途に慕う許婚を喪った夕星は、新たに生きるよすがを見つけることができるのか。 決して姿を現さない葉隠との絆は、流転の孤独を埋めてくれるのか。 日本神話、邪馬台国九州説を下地とした和製ファンタジー。 葦原中つ国で、八百万の神々がどのように太陽の女神のもとに束ねられていったか、神話の世界をベースにオリジナルの物語を書いています。 第一部14万字、外伝9万字(1万数千字×6篇)。 第二部(15万字程度)と異伝(第一部の別エンド版、別立てにします)を構想中です。 土・日更新。 主人公年齢:16歳 朝読小説賞キャッチ:私を護る貴方は誰ーー天象を読む姫君と姿のない近衛の数奇な物語

古代日本の美しさと切なさと

point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

 最初から最後まで、遥かな古代の悠久を感じさせる繊細な描写にうっとりと惹き込まれます。古事記や日本書紀に見える、美しくも血なまぐさい歴史の渦に巻き込まれる夕星の行く末が気になり一気に読んでしまいました。


 夕星本人や葉隠やその他の登場人物たちの夕星への揺れ動く想いがとても切ないけれど、きっとこの結末しかありえなかったのだろうな、と思わせるラストでした。


 しばらくして始まった外伝、そして第二部は、さらにこの世界の深さと広がりを感じさせてくれる、素晴らしい物語でした。古代の歴史好きな方にはもちろん、いままであまり古代史に触れたことのない方にも、和製ファンタジーの傑作として、大変おすすめしたい一作です。

橘 紀里さん

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登録日:2021/7/12 21:45

こちらは 橘 紀里さん が読んだ当時の個人の感想です。
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カクヨム 恋愛 10万文字以上
白銀の狼
「人狼」ーーそれは、人と狼の二つの姿を持つ種族のこと。 彼らは普段は人の姿で生活を営み、狩や戦闘の際は狼の姿になって戦う。 狩猟生活がメインである狼の村において、その身に宿る強さは絶対的な価値基準だった。 人狼の村に住むレティリエは、村で唯一狼の姿に変身することができない女の子だ。 狼になれない彼女は、狩や戦いに一切参加ができない為に村中から蔑まれ、ずっと肩身の狭い思いをしていた。 対して、幼い頃から思いを寄せるグレイルは、村では一、二を争う程の実力者。 狼として価値が無いレティリエは、グレイルに思いを告げることさえできず、遠くからそっとその姿を眺めるだけの毎日だった。 だが、狼の村では役立たずなだけであったレティリエは、人間の世界においては絶大な価値を誇る美しい狼だったのだ。 狼達の婚姻相手を決める「豊寿の祭り」の日、レティリエはその容姿に魅了された人間達に攫われてしまう。 そして彼女を助けにきたグレイルも、人間の魔の手に落ちて共に連れ去られてしまったのだ。 人間に売られそうになる二人だが、レティリエは鋭い洞察力と強い精神力、そして美しい容姿を武器に苦境に立ち向かっていく。 これは、報われない人生を送っていた女の子が、幸せになるまでの恋の物語 ☆がついているエピソードは性描写ありですが、基本的に直接的な描写は避けているのでぬるいです。 それでも匂わせる描写はあるので、苦手な方はご注意願います。 ©️2020-yuzuki hana ※当サイトに掲載されている内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。(Unauthorized reproduction prohibited.)

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瑞々しい感性で描かれる、健気で勇敢な少女の物語

point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

人と狼の二つの姿を持つ人狼という種族に生まれながら、狼の姿を持たないために、村の中では肩身の狭いレティリエ。 一方、幼なじみのグレイルは群の中でも抜きんでた実力を認められており、彼女は恋心を抱きながらもそれをひた隠しにしていた——。 なんとも甘酸っぱいレティリエの恋と、次々と襲いかかるいくつもの苦難。 彼女を救おうと奮闘しながらも、捕えられてしまったグレイルのために、あらゆる手段を尽くして立ち向かう姿は、守られるばかりではない、まさに今の時代の勇敢なプリンセス像にぴったりです。 でもやっぱり恋する相手の前では動揺しっぱなしの女の子になってしまうギャップがとっても可愛らしく素敵でした! 苛酷ないくつもの苦難を乗り越えてようやく幸せを手にした二人の、その後の番外編は、たっぷり甘く、少し大人の雰囲気も。 甘いだけでなく、苦難を乗り越えた先にある切ない恋の成就がお好きな方におすすめの一作です。

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橘 紀里

カクヨム ファンタジー 10万文字以上
マリオネットインテグレーター
 精霊が、平和のための言葉を紡ぐ国があった。  人々はその言葉を実行し、長い平穏の日々を続けてきたが、運命の小石が転がりはじめ、やがてそれは大きな塊に。この国は変わるのか、それとも、変えなければいけないのか。  騎士団の新入りカート・サージアントが騎士団員としての”はじめてのおつかい”でたどり着いた塔は襲撃を受け、廃墟と化していた。  そこで出会った口の悪い魔導士、人形遣いのピア・キッシュ。  住む家のないカートと、彼は一緒に暮らす事を提案し、少年はそれを受け入れて共同生活が始まる。  厳しい躾けを受け、感情を露わにできないカートであったが、自由気ままなピアとの生活で少しずつ前に進んでいく。  身分の高い貴族のアーノルドに虐められつつ、上手くかわしながら地下道の不審者の謎の調査を続けるカート。  精霊の言葉だけで行動する人々というものに、「まるで人形のようだ」と、徐々に疑問を感じるようになったカートをピアは導きつつ、彼自身の問題である幼馴染の不安定な関係にも決着をつける日がやって来る。  身分差、性差、友情と愛情の狭間の恋。人の心を縛る愛という感情と、見えない他者の意図が社会に絡む。  カートはやがて、国に訪れる危機に巻き込まれつつ立ち向かっていく。  これは、一人の少年の成長物語。 主要キャラ設定画: http://mack-cg.doorblog.jp/archives/8165283.html イメージイラスト: http://mack-cg.doorblog.jp/archives/8165287.html (C)Copyrights 2021/03/01 MACK All Rights Reserved

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もつれた運命の糸に絡めとられる人々と、抗う少年とそれを見守る魔術師と

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 水晶木という精霊の宿る木が選ぶ女王が統べる国ラザフォード。  その国で、三人の幼馴染の少年少女がとある秘密の場所で小さな黒いかけらを見つけるところから物語が始まります。  女王に一目惚れし、彼女に近づきたい一心で宰相にまで上り詰めた男。  次代の女王選定の儀式で、思わぬ運命に巻き込まれるかつての幼馴染の三人の男女。  父を知らず、母をも亡くした上に、突然精霊の導きによって騎士に任命された少年。  それぞれが見えない糸に操られるように、思わぬ運命に巻き込まれていきます。  精霊の言葉によって安寧を得てきた国で、人々はどのように生きていくべきなのか。国を治めるということは、あるいは、人を愛するということとは。 登場人物たちが投げかけるさまざまな問いは、読んでいるこちらにも深く突き刺さります。  個人的には、ひどく身勝手に見えたヴィットリオもまた、そもそもの初めから運命の糸に絡め取られ、けれど抗い続けてきたにもかかわらず、彼が選び取った運命を思うと、何ともやりきれない気がしてしまいました。  少しずつみんながすれ違ってしまっていったそれぞれの想いが、「あれ」の意思によるものなのか、あるいはいずれにしても避け得ない運命だったのか……。  とはいえ、自身もまた運命に翻弄されながらもまっすぐに立ち向かっていくカートと、彼を見守り、時には共に戦うピア、そして、何とも鼻持ちならない意地悪な少年だったアーノルドがふとしたきっかけで変わり、成長していったことで、たとえ困難が降りかかるとしても、自ら考え、行動を起こせば未来を切り開くことができる——そんな風に希望を感じることができた気がします。  丁寧に織り上げられた世界観と、複雑に絡み合った人の想いと、少年たちのまっすぐな意志と強さ。じっくりと読んで、ぜひ、この世界に浸って欲しい一作です。

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橘 紀里

小説家になろう ファンタジー 10万文字以上
シダル 信念の勇者と親愛なる偏奇な仲間達
 辺境の村の孤独な狩人が、ある日突然勇者に選ばれる。重い使命に戸惑う彼にはしかし、故郷では望んでも得られなかった「仲間」ができた。  階段を下りるだけで力尽きる神官、ぼんやりの限度を知らぬ魔法使い、生まれて初めて楽器を触る吟遊詩人、賢者は強力な魔術師……ではなく、森の塔に引きこもりの学者さん──えっ、もしかしてこれ、俺が一人で全員守るのか?   暗く淀んだ世界を敵に追われながら笑って旅する、異色の英雄譚。  ※カクヨムにも掲載しています ※完結済みですが、時々番外編が追加されます

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神託によって選ばれた勇者とちょっと(?)変わった仲間たちの旅の行方は——?

point_star point_star point_star point_star point_star 5.0

 辺境に暮らす圧倒的な力を持つ青年が、神のお告げによって勇者に選ばれ、魔王を倒す旅に出る。  ファンタジーの王道ストーリーのはずなのに、この物語の勇者とその「剣の仲間」たちは一味も二味も違います。  癒しの力は圧倒的だけれど、敵である竜にまで情けをかけて勇者の剣を止めて隙をつくらせてしまう「神官」。知識と魔術は素晴らしいものの、魔王そのもののような容貌と雰囲気の「賢者」。目を奪われるほど美しく圧倒的な魔力を持つのに、戦闘中にシチューを煮始めてしまうような行動が読めない「魔法使い」。唯一、常識人に見える美しい「吟遊詩人」は、血が苦手でやっぱり戦いには向かない。  そう、勇者以外の仲間は、ほとんど戦う力を持たないのです。  けれど、読み進むにつれて、どうして彼が勇者に選ばれ、そして彼らが勇者の仲間——剣伴として選ばれたのか、むしろ彼らでなければならなかったのか、が徐々に明らかになっていき、同時に本当に強く優しい彼らを好きにならずにはいられません。  さらに物語に花を添えるのが、勇者と魔法使いそれぞれのとても個性的な恋。二人の純粋さがとてもとても厄介なそれぞれの相手の心を動かしていく様子が、本当に切なく美しいのです。  世界の淀みと人間の罪という重いテーマが根底にありながらも、思わず爆笑してしまうような楽しいエピソードと試練や苦難のお話のバランスがよく、退屈する暇もなくあっという間に読み切ってしまいました。  ドラゴン、ドワーフ、人魚など幻想的な生き物が生き生きとしている魔法に満ちた世界で、多くの困難と向き合いながらも、シダルたちならばきっと大丈夫、と何となくそう信じて心の底から楽しむことができる正統派ハイ・ファンタジー。ぜひ彼らと共に旅をして、勇者シダルと仲間たちの物語を見届けてください。  最後にこれだけは言いたいのですが——ハイロが最高に可愛いです!

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橘 紀里

おすすめレビュー

ロマンスは操縦席シートで(文字通り)

異世界転生?した彼女が油圧シャベルになっていた その発想だけでも凄いのだが、真に凄いのは後編の冒頭。 彼女の心情を軸に書かれるその一連の行為はまさにロマンスシーン。 小説という媒体だからこそ可能な、 文章だけゆえの勝手に想像させる官能を味わえる。 乗車(文字通り)という行為は、これほどにエロティックだったとは。 恐るべき脱法ロマンス小説である。

高校生女子、異世界で油圧ショベルになっていた。

おや、お疲れですか?ではこちらでニヨニヨされてはいかがでしょう。

 悩める王女と猪突猛進騎士ののんきな恋愛話。(本作あらすじまま引用。)  正直このあらすじだけでお好きな方はお好きでしょう。このお席にご案内ができただけで私の仕事は終えたようなものです。  1万と少しの短編作品です。ストーリーには触れますまい。明かしてしまってはせっかくの楽しみがなくなってしまいますから。  王女と騎士の萌える恋物語はお好きですか? そうですね、ではこちらを。  一般書籍のような文体がお好みで? ええ、ではこちらを。  真面目な空気の中にウフッとなる笑い要素? それならやはり、こちらがいいでしょう。  貴族の使う丁寧語や敬語に触れたい? お敏いお方! どうしてどうして、すでに貴方は答えをおわかりでいらっしゃる!  さあさあ、どうぞごゆっくり。  メインサラダをお持ちします。もちろんドレッシングをかけてね!

サラダ騒動の顛末

どうか、物語の語りかける囁きに耳を傾けて

ヴァニタス──寓意画。それは人生の虚しさや、世の儚さをキャンバスに落とし込んだ、静物画のジャンルの一種を言います。 物語の舞台は学問と芸術の都・ヴェレス。 裏通りでひっそりと文具店を営む主人公・ライルのもとを、生真面目な少年・ルドルフが客として訪ねてきます。 曰く、「贋作屋」としてのライルに仕事を依頼したいと。 実直なルドルフに対し、人気サロン「火曜会」嫌いを豪語するライルは少々ひねくれ者。さらにある大きな秘密を抱えています。 そんなライルに度々振り回されるルドルフですが、絵画への熱量が並々ならぬものであるのは彼も認めるところ。 読者はライルの解説を通じ、芸術にまつわる見識や理解を深め、ルドルフの目を通じて、ライルという謎深き人物と、「火曜会」という豪奢なヴェールに隠されたほの暗い真実を知ることになります。 作者様は複数の書籍化作品をお持ちですが、この作品はいつまでも忘れられません。 文章の巧みさもさることながら、魅力的な登場人物たちの軽妙な掛け合い、芸術にまつわるシーンの説得力、キャラクターがほんとうに「生きている」と思わせる力が素晴らしい。そんな中にヤンデレもひょっこりいたりする。 何より、最初から計算され尽くした物語の構成が素晴らしいの一言。最後の最後までたどり着いたとき、「ここに繋がるか!」と膝を打ちました。 幕引きも見事で、あまりに鮮やかな結末の描きっぷりに、私たち読者も物語という一つのうつくしい「絵画」を鑑賞していたかのような、そんな錯覚に陥ります。 無駄な描写は一切ありません。最初から最後まで物語が語りかけてくる囁きを聞きこぼさず、見落とさず、見逃さず、ぜひライルとルドルフのたどり着く結末をご覧ください。

囁くヴァニタス

胸締め付けられるおとぎの恋

どんなちいさな命も尊び、愛することのできる少女・イリスと、ひょんなことから彼女と手紙のやり取りをすることになった騎士・フェリクスの物語です。 イリスは心優しく聡明で、茶会のみんなが嫌がるシャクトリムシだってへっちゃら。どころかそっと逃してやるのです。 物語の構成の隙のなさ、情景が浮かぶようなうつくしい文章、イリス視点のどこまでも優しい世界への眼差し、フェリクスの愛情深さ。その全てが水のように溶け合い、ふくらみ、まるでお伽話を読んでいるような心地になります。 どうして彼らが惹かれ合うのかを、不用意に愛や恋といった単語を用いず、嵐のような愛憎を挟むこともせず、おだやかな海のような物語全体で説得力を持たせている手腕は、実に見事です。 それでいて、間違いなくこのお話はふたりの「恋物語」なのです。せつなくなるほど。 きっと物語の結末にたどり着いたとき、登場人物たちとの別れが寂しくなるし、彼らみんなの幸せを願うほど、いとおしくなると思います。 フェリクスの過去は本作ではあまり書かれませんが、番外編もありますので、気になった方はどうぞ。

書簡

考えさせられる物語です

精霊の国と謡われる平和な国、ラザフォード。この国には精霊が住まう水晶木が植えられており、女王は精霊の声に従って国を統治する。 精霊の声を聞く代わりに平和を手に入れたラザフォード国だったが、その代償に、人々は自ら考えることをやめてしまった── 精霊の導きにより、ある日突然騎士に任命されてしまった少年カートの視点で物語は進んでいきますが、現宰相のヴィットリオをはじめとして、現女王であるグリエルマ、騎士団長のヘイグ、人形使いの魔導士ピアと、三人の幼馴染み達の運命も物語に複雑に絡みこんでいきます。 かなりテーマ性の深い物語で、ことあるごとに「精霊の言うことを盲信し、思考を放棄するのはどういうことなのか?」が繰り返し語られています。 物語の内容自体もよくできており、完結させてから連載しているのもあって物語に矛盾がありません。1章は登場人物が多いので、物語の全体像を把握するまでに時間がかかるかもしれませんが、そこで読むのをやめてしまうのは非常に勿体無いです。 各所に伏線が丁寧に張り巡らされており、最後の伏線回収も見事です。 読み終わってからも再読したのですが、「あ~これはあれだったのか~」と謎解きがすべて終わってから読むとまた違った面白さがありました。 自ら思考することを放棄してしまった者達が、愛するものの為に、自分の信じるものの為に支配の糸を絶ちきって行動していく姿には、心を揺さぶられます。 自分で自分の運命を決めるのは、自分の魂が叫んだ時。誰かを、何かを想う強い気持ちが、精霊の支配から彼らを解放していきます。 大きな選択であればあるほど、自分の意思で決断することは不安がつきまとうものですが、その時はぜひこの物語を読んでみてください。 運命に抗う彼らの姿に、きっと勇気をもらえるはずです。 ※カクヨムで続編「マリオネットインテグレーター2」も公開中です。

マリオネットインテグレーター

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