主人公は殺す。
両親を。
彼とやすらぎと優しさを分かち合った、唯一無二の魔女を。
物語序盤から、大きく揺れ動き、激しく打ち寄せる感情の荒波は、読者の客観という堤防を、簡単に乗り越え、物語の海の中へと、読者を拐っていく。
卓越した心理描写に、息を飲む異能力バトル、魔女の残した謎、次から次へと現れる個性的なキャラクターたちが華を添える。
主人公の苦しみは読者の苦しみ。主人公の怒りは読者の怒り。そして、主人公の悲しみは読者の悲しみ。
読者を容易く自分の人生に巻き込んでいく主人公の感情は、言い換えれば読者を主人公へと変える劇薬よね。
一度味わえば、離れるのは難しいわ。
アチシはこの物語を最後まで主人公と共に、いや、主人公として見届けたいと思うのよ♥
登録:2021/7/12 23:13
更新:2021/7/23 17:15