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全てを失った男と苛酷な運命を生きる少女が探し求めたもの——。

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 戦争で顔の半分と記憶を失った元軍人のイヴァン。瓦礫の山で日々鉄くずを拾っていたスノウは、たまたま見つけたイヴァンの義眼を綺麗な石だと思い、指輪に仕立てていた。貧しいけれど純粋で可憐に見えたスノウには、しかしそれだけでなくもっと苛酷な秘密が……。


 失われた過去に苦悩しつつもスノウを守ろうとするイヴァン、そんな彼に惹かれ、ひたむきに想いを向けてもなかなか受け入れてくれようとはしない彼に複雑な想いを抱きながらも、献身的に尽くすスノウの姿はあまりに健気で、見守っているこちらの胸が痛むほど……。


 戦争、特に「戦後」という重いテーマを扱い、仄暗い予感にどきどきしながらもこの物語はどこへ行くのだろうと読む手が止まりませんでした。


 多くの困難と謎を乗り越えて、二人がたどり着いた運命の果て、ぜひたくさんの方に見届けていただきたい物語です。

橘 紀里

登録:2021/7/13 09:08

更新:2021/7/23 17:15

こちらは橘 紀里さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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橘 紀里