眠り姫伝説発祥の地と言われている国が財政難を解消する為に、王女ヒロインがわざと魔法にかかり眠り姫になって人寄せパンダになるというお話。ユーモラスな明るいタッチで描かれ、またですます調で書かれているのでお伽噺を読んでいる気分になった。
冷静に考えれば、若く一番楽しい青春の時期に眠りにつき、そのまま25年も体は年老いていくのに目を覚ますことができなかったという残酷な物語なのだけど、ヒロインはそれを家族のため国のため当然のことと思い後悔していないのが偉い。しかもちょっと天然で可愛い。40歳過ぎていても可愛いぞ。
彼女を眠りにつかせた魔法使いヒーローは彼女のそばでずっと見守っていたのだけれど、ヒロインが目覚めた後、記憶の中にあった少年の彼と大人になった彼の違いを発見するシーンが良かった。そして後に告げられる彼と王との約束の内容に胸キュン。初恋が成就するっていいねえ。また彼が独占欲丸出しで眠り姫を守っていたのには笑ってしまった。こういうヒーロー大好き。
眠り姫の舞台裏と、彼女のその後の恋愛がバランスよく書かれていて面白かった。短編なので空いた時間にサクッと読めたのも良かったです。
登録:2021/7/16 14:26
更新:2021/7/23 17:15