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人魚の花

潮風とハマナスの香りに誘われて……

 主人公・澪の住む人魚の隠れ里へ、「ニンゲン」である政府の役人が訪れる。  澪と、彼女が姉のように慕う砂帆が砂浜を歩いていると、役人を連れた大人たちの姿が……。  役人がこの地を訪れた目的は「人魚の妙薬」を手に入れること。  里の長老に命令され、砂帆は役人とともに外界へ……澪は暫しばしの別れを強いられることになる。 「その肉は不老長寿の秘薬に。  その生き血は万病の治癒に。  その胆と灰は死者の蘇生に。」  利用し、利用されて……本当に利用しているのは人間と人魚のいずれにあるか。  この作品を拝読した時、冒頭の描写から引き込まれました。  磯の香りや、波の音が今にも聞こえてきそうな……自分が今、海にいるような感覚になれます。  作中の冒頭にある、 「踏み締める白砂、その都度キュウキュウと不可思議な音が鳴る」  この後の文章でも砂の音の描写がいくつかされており、私は過去に北海道の室蘭にあるイタンキ浜で聞いた鳴き砂 (終盤でも「鳴り砂」であることが分かります)のことを思い出しました。  イタンキ浜以外にも、京都の琴引浜ことひきはまや島根県の琴ヶ浜ことがはまなど、全国の様々な場所で聞くことが出来るようなので、どんな音がするのか、実際に聞いてみたい方は場所をよく調べた上で、現地を訪れてみるといいかもしれません。  ハマナスの花言葉――それは、作者からの一言コメントにある「悲しくそして、美しく」  まさに、人魚である彼女たちの生き様を象徴している花だと言えます。  人魚の伝説を題材にしたシリアスな物語。  丁寧で美しい描写に、読者は最後まで引き込まれるでしょう。あなたも一度読んでみてはいかがですか?

5.0
0
櫻井 理人

さようなら母さん、と灯台守は言った。

3本の鍵が示す真実と少年の選択。いつまでも余韻が消えない物語。

生まれたときから灯台で暮らし、外に出たことがないという少年の話。 十四歳になった日の朝、少年のもとに金、銀、銅の3本の鍵が届けられる。 それぞれの扉の向こうには何が待っているのか。 とても謎めいていて、それでいてひとつひとつのシーンが印象的な作品。 下の見えない灯台。3本の鍵。 白衣姿の青年。黄泉の川と同じ成分で作られた薬。 海と灯台と血のように赤いスカーフ。贖罪を続ける少女。 それぞれのモチーフの配置はミステリアスでありながら、示唆的であるようにも感じる。 それらを丁寧に読み解いていくのが楽しい。 個人的な解釈を述べるのであれば、灯台は主人公の少年の「人生」あるいは「命」の象徴であるように感じる。 そして鍵を渡されたということは、真実を知る権利を与えられたことを意味するのではないだろうか。 物語の世界観についても注目したい。 作中では、黄泉の川と同じ成分で作られたという薬が登場するが、いったいそのようなものをどこから手に入れたのかと不思議に思った。 だが物語を読み進めていくと、どうやらこの灯台は常世なのではないかという気がしてくる。 少女がセーラー服に身を包んでいる理由にも想像が膨らむ。 個人的には、出産の年齢に関係しているのではないかと考察している。 主人公の少年が「子をなせる」ようになったタイミングで鍵が与えられたのも、無関係ではないのかもしれない。 興味深いのは、物語の最初と最後に同じシーンが描かれている点。 最初は仄暗い不安を感じるのに、最後は不思議と解放感がある。 それは「どこにも行けなかった」少年が自分で「選択」をしたからなのかもしれない。 いつまでも聞こえてこない鍵の落ちる音を静かに待ち続ける。 そんな余韻を感じさせる読後だった。

5.0
1
ハルカ⭐積読消化期間

思い出のミントブルー

好奇心を抱き、経験し、またひとつ世界を知る。

美しい表紙画像に心をつかまれました。 ひんやりとした温度が伝わってきそうな涼し気な色。 どこか不思議な色合いで、ずっと眺めていたくなります。 ターコイズ(トルコ石)の写真なのかなと思いましたが、答えは本文の中で語られていました。 チョコミントアイス。 誰もが、一度はその味に興味を持つと思います。 主人公の少女も、アイスクリーム店のショーケースでそのアイスと出会います。 「そんなん食べられへんから、やめとき」 とお母さんにやんわり止められますが、それでも少女は「こんなアイス見たことがない」と釘付けに。 結局お母さんはチョコミントアイスを買ってくれるのですが、さて、それを食べた少女の反応は。 新しい物を見つけて、好奇心を抱いて、経験して、またひとつ世界を知る。 そうやって少女はこれからも成長していくのでしょう。 「結果がわかっていても頭ごなしに止めるのではなく、経験をさせてくれる」という母の愛情に胸が温かくなりました。 『思い出のミントブルー』というタイトルが秀逸。 「チョコミントアイス」とせず「ミントブルー」という色で表現することで、タイトル・表紙画像・本文がひとつの作品としてまとまっていると感じます。 物語の内容は、多くの人が一度は経験するであろうエピソード。 読んだ人の心の奥底にある記憶を優しく蘇らせてくれます。 古い思い出を色鮮やなまま残してそっと宝石箱に収めてくれる、そんな作品です。

5.0
0
ハルカ⭐積読消化期間