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うたへうたえ

穏やかで温かい女子学生たちの恋物語

 年齢制限はありませんが、創作百合を扱っておられます。  舞台は現代で、女学生たちが主人公です。現代ならではの「あるある」なシチュエーションにほっこりと温まったり飯テロされたり、描かれる情景そのものはとても穏やかで温かいのに、スパイスを加えるかの如く恋愛感情が絡まってきます。結果として、とても甘酸っぱい読後感。  同作者さんによる『喫茶店フォレスタ』とも共通しているのですが、登場人物たちが優しく、明るく、健気で、まさに光の創作。バンドと短歌って、一見音楽系(という名の体育会系)と文化系で、所属しているメンバーのイメージに差があるような印象だったのですが、それはステレオタイプなものの見方であり、両者は共に韻を踏んだ言葉でリズムに乗りながら想いを伝える芸術であるという共通点があります。その事実にハッとする頃には、きっとこの物語が深く刺さっていることでしょう。  作中の短歌は情景や心情をとても生々しく伝えてきます。一言で言うと、エモいです。  現代創作百合が好きで、人の優しさに触れたい方には是非ともオススメしたい作品です。

5.0
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和条門 尚樹

半笑いの情熱

この物語を読んだ人の中にも、きっといる存在。

 現代ではSNSの普及により、相手の顔や名前を知らなくても交流出来るようになりました。  家族や友人と一緒の空間にいても、手元の画面を見るばかり。下を向きながら話すなんて日常茶飯事、そんなことも当たり前になってきました。  このお話では、主人公・池原悦弥とその友人・光蟲冬茂が、顔を突き合わせて楽しげに駄弁りながら飲み食いする場面が多く出てきます。ごく日常的な場面ですが、この『半笑いの情熱』という物語においては、とても重要な意味を持っています。  序盤からの『大学生編』では、囲碁部内での部員達との交流とその変化を描いています。  少し遠慮気味だったのが、顔を合わせるたびに段々と打ち解けていく。もちろん色んな人間がいる場ですから、和気あいあいとはいかず、衝突もあります。しかしそれを経て、お互いを知ることが出来る。  大学生という、大人と子供の境界線に立っている年齢の池原悦弥の人間的成長が見られるのが、この『大学生編』です。  対して以降の『小学生編』では、彼の過去と未熟さが描かれています。  その中身は、小学生として経験した出来事とは思えないほど心苦しいものです。「未熟だったから」では片付けられないような、彼が大学生となり部員たちと交流出来ていることが奇跡と思えるほどの、凄惨な過去。  今まで送っていた当たり前の日常が、ひとりの人間と相容れなかった故に大きく崩れていき、自分に牙を剥く。悦弥はそれに対し真っ向から立ち向かい、自分の考えを曲げずに押し通します。けれど数でも力でも負けている彼は体に傷を増やしていき、次第に心にも傷を負い始め、平気そうな顔でいなしていた彼の瞳からはいつしか涙が零れるようになります。  小学生編・秋での雨を願う場面は、無意識に心の中で流していた涙があったのではと思わせる、そんな切ない描写となっています。  そんな過去の苦い体験の合間、箸休め的に挟まれるのが、友人・光蟲と顔を突き合わせた飲み会シーン。  心を痛めながら読んでいた読者にとって一時の休息になってくれますが、悦弥にとってもまた救いと言えるでしょう。この『小学生編』は、悦弥が酒を飲みながら光蟲に語っている形式で綴られているからです。  人は、悲しい過去を隠したがります。それは二度と思い返したくないからです。  悦弥の小学校時代の経験もまた、同じでしょう。  けれど彼は、酒を交わしながら光蟲に語ります。聞き手である光蟲は、それに対し過剰に同情するでも涙するでもなく、彼らしい答えでもって返します。彼らのやり取りは軽妙で、普段のやり取りと大して変わりません。その反応がまた悦弥にとって心地いいのだろうと思わされます。  頑なに人に頼らなかった過去|(小学校時代)。  そして酒を飲みながら自身の過去を語る現在。  向き合いながらも人と人は、反発し合ったり意気投合したり、悦弥と光蟲のように半笑いを浮かべながら、互いの存在を心地よく思ったりします。  この物語を読んだ方にも、少なからず光蟲的な存在がいるでしょう。  読み終えた後にはきっと、向かい合って談笑しながら、「美味しいね」と笑い合いたくなることと思います。

5.0
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白胡麻

咲夜。人の寿命が見える私と、来年までに死ぬ彼の話。

これは寿命が見える少女の青春と、登場人物たちの人生の一片。

主人公・|加護咲夜《かごさくや》は、特殊な能力を持っている点を除けば、ごく普通の女の子です。 部活内での人間関係に悩んだり、恋をしたり。親友と楽しい時間を過ごしたりと、女子高生らしい等身大の生活を送っています。 しかし彼女の目には、人の「寿命」が見える。 この能力のせいで、咲夜は人の死を極端に恐れていました。 屋上に立つ男子生徒、その頭上に「一」という数字を見て、追い掛けてしまうほどに。 第一話の冒頭から、生死というものが濃密に描かれる本作。 序盤の咲夜は他人の寿命が見えるという能力を持て余し、そしてトラウマを抱いていました。彼女は「自分のせいで救えなかった」という思いから、勇気を出して見ず知らずの男子生徒・|今泉京《いまいずみきょう》の後を追いかけ、彼と対面を果たします。 残りの数字を見て嫌な想像を抱いていた咲夜ですが、後にそれが勘違いだったと分かり、その場で別れる二人。 これが高校の入学式の日に起きた出来事というと、ちょっとラブコメ感がありますよね。 新入生の女の子と、一学年上の男子生徒。いかにも青春の一ページといったシチュエーションです。 あとあと彼が所属する文芸部の一員になる咲夜。 三年生で部長の佐藤太郎、二年生の|生天目未来《なばためみき》、同じく二年の今泉京、咲夜の親友・|夢乃明日香《ゆめのあすか》。このメンバーと過ごす部活動の時間が、学園生活の大半として描かれてきます。 作中で新入部員として拙くも小説を書き始め、最後には全員でリレー小説を完成させる……まさに理想の青春ですよね。ちなみに最後の方では、どんな内容なのか読む事が出来ます。 全てを知った上で目を通すと、かなりグッとくるものがありますよ。 ただ上記は、あくまで部分的なものに過ぎません。 本作で描かれる彼女たちの青春は、咲夜の能力を通して展開していきます。 屋上の件から少し積極的になり、今までずっと重荷として背負ってきた力を他者のために使うようになる咲夜。その味方となってくれるのが、親友である明日香と、親しくなっていく中で能力の事を知った京です。 寿命が「一」になった人間を救おうと奔走する三人。 一人助ければもう一人と、彼女たちの元には次々に事件が舞い込みます。 トラブルを解決していく中で生まれる、人間関係のいざこざ。 重く感じがちな部分ですが、人物たちの発言・態度から感じる不穏さが気になり、読む手を止まらなくさせます。 寿命が見える能力の謎。 京の寿命が依然として「一」のままの理由。 そして、咲夜自身の抱えるトラウマ。 すべての線が繋がる時、この作品の虜になっている事でしょう。 主人公に限らず、色んな登場人物たちの〝人生〟が垣間見える本作、ぜひ読んでみて下さい。

5.0
1
白胡麻

蝶は己の檻を選ぶ

静かな夏に、記憶を辿って――。

〈箱を眺めていた男の方が、ふいに優也を見た。優也に少しの怪訝向ける顔には、憎たらしいくらいに見覚えがあった。秘密基地に全てをおいて蓋を閉めるきっかけになった男に、面影があった。  ああ、あいつ、死んだんだな。優也はそう思った。〉  静かな夏に、ひとつの死の景色が描かれ、すこしぼやけたような視界が過去を辿るうちにゆるやかに明瞭になっていく。一読して、あぁ好きだなぁ、となり、気付けば物語の余韻を記憶にとどめながら、もう一度、読みはじめ、あらためて語感の良さに浸ってみる。本作は、私にとってそんな作品でした。はっきりと結末を明かすことはしないつもりですが、つねに多くの物語は真っ新な気持ちを求めている、と私は信じているのでネタバレフィルタを付けました。私のこんな拙いレビューを読んでいる暇があるなら、作品を読んでください。つねに多くの評者はそれを求めています。  いいですか?  サークルに所属していない大学二年の優也は、長く暇な夏休みを使って実家に帰省していた。帰ってこなけりゃよかった、と後悔したのは、場も静まりかえるような境内で行われていた葬儀に出くわしてからで、雰囲気から死んだのは若い人間に思えた。誰も見ていないのをいいことに前庭を眺めていた優也が見つけたのが、黒羽だった。……導入はこんな感じですが、言葉ひとつひとつの語感の良さがとても魅力的な作品なので、紹介で内容を知るよりも、何度も言いますが、ぜひ作品のほうに進んで欲しいです。黒揚羽を追って辿り着いた葬儀の場に集まる男たちは葬式ジャケットの黒を身に纏い、そんな中で見つけた黒羽はくくった黒髪を揺らして、そんな彼女を見て、その唇の目立たぬ色のはずの口紅に、鮮やかな赤を意識の上で描く。文章という黒い文字列に、色彩豊かなイメージが浮かび上がる。こういう作品を読んだ後っていつも、あぁ小説を好きになって良かったなぁ、と嬉しい気持ちになります。 〈優也は投げ出していた手を祈る形に組んで、先ほど消えた陽炎を探すように、目を閉じた。〉  そして優也は幼い頃からの記憶を求めるかのように、かつて大豪邸だった、という彼らの想い出の秘密基地を訪れます。彼らの過去に、繊細な心の揺れに、感情を共有しながら知るその結末は、未来の彼らに想いを馳せたくなるようなものでした(ネタバレを避けるため、曖昧な表現になってしまうのですが)。周囲ではなく互いのみをよすがにして、たったふたりだけの夏の世界を築いていくようなこの結末こそが、まるで秘密基地にも思えてきて、すごく好きだなぁ。

5.0
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サトウ・レン

【書籍化】冴えない俺と、ミライから来たあの娘

大切なひとへ会いに、過去まで。

 勘の良い方のためにネタバレフィルタを付けましたが、小説のネタバレや後半の詳しい展開に踏み込む感想ではありません。ただ事前情報はすこしでもないほうが、より初読の印象が鮮やかになったりする場合も多いと思うので、ぜひ感想よりも先に本作に進んでいくことをお薦めします。  スポーツ用品全般を取り扱うD商事に勤める秋葉悟は、良く言えば誠実そう、悪く言えば特徴のない青年で、社交的とは言いがたい性格が災いしたのか二十五歳になった現在も女性との交際経験がなかった。周囲が営業成績を伸ばし一本立ちしていく中で、成績が伸び悩んでいた彼は仕事面でも活躍してるとは言いがたい状況で、密かな恋心を抱く後輩の田宮には特に話す話題も見つからなくて、横顔を盗み見るだけの毎日を送っている。そんな日常に満足できない鬱屈とした日々を送る彼の前に現れたのが、葛見千花くずみちかだった。ブレザーの制服を着た彼女の姿と容姿から推測するに女子高生で間違いないだろう。困惑する彼に、彼女は「あなたの娘です」と言った……という導入の本作は、時間旅行を経て二〇四二年の未来から訪ねてきた娘との出会いと別れを描いた恋愛小説になっています。  未来においては本当の父娘でありながら、現在においては家族でさえない相手との奇妙な共同生活、という特殊な状況下で互いに理解を深めていき、やがてそれは恋心を含んでいく。障害が大きければ大きいほど恋は盛り上がる、というのは幾分使い古された表現ではありますが、悟と千花に与えられた障害は、実際に向かっていく未来、そして実際に一緒にいられる期間の長さ、そのどちらにしても越えられることは無いものと、彼ら自身も読者も共有しながら、物語は進んでいきます。繋がることはない、繋がってはいけない、と知りながら、それでも抑えることができずに、感情は相手へと向かっていく。その心情の揺れがつぶさに描かれているからこそ、物語の旅路の先に見る光景に、胸を打たれるのかもしれません。

5.0
1
サトウ・レン

雨降りカンパニュラ

花を、吐き、食べ、想い、生きていく。

 互いのみをよすがとするしかなかったふたりが、静かに想いを交感していく物語です。幻想的なヴィジョンの中で恋心が描かれていく作品で、ジャンルを敢えて定義するなら恋愛ファンタジーになるとは思うのですが、ふたりの関係を、愛や恋、といった一語に気軽に当て嵌めていいのか、互いが様々な意味で〈生きる糧〉になるような切実さが感じられて、悩んでしまうところがあります。  後半の展開に詳しく触れるつもりはないものの、念のためにネタバレフィルタは付けましたが、感想を読むよりも、ぜひとも作品のほうを読んで欲しいな、と思います。感想で先に一度読んだ気になってしまうよりも、実際に丁寧に描写された心に自身の心を沿わせていくほうが、より物語の余韻が沁みるでしょうから。  読みましたか? 〈太陽がもう地平線の近くに浮かんでいる。レアリーの瞳が光を吸って宝石みたいに輝いていた。緋色に満ちた森の中を、「帰り道」を進んだ。〉  茹る様な夏の、森の真っただ中で、十三歳の少年ウルベルが出会ったのは、花を吐く少女だった。ウルベルの前で真っ白なプルメリアを吐き出した少女レアリー、バイオレットの髪の揺らめきが印象的な彼女との出会いは、花しか食べられない彼にとって運命だった。森の奥にひとり暮らす少女と花が咲いているところを探して旅をしていた少年は、一緒にいるようになり……というのが導入。  時代も場所もはっきりとしない世界を生きるふたりを待ち受けるものは、美しくも残酷さを孕んでいます。先程も書きましたが、後半の展開に詳しく触れるつもりはありません。でも例えば、そのストーリーをここで私が詳細に書いたとしても、それで内容が分かってしまったからと言って、魅力が無くなる種類の作品だとは思わなくて、その言葉に触れてこそ、と言葉や描写の魅力に満ちた物語なので、やっぱりこんな感想を読んでいる暇があったら作品を読みなさい、と重ねて伝えて、この感想を終わらせたいと思います。

5.0
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サトウ・レン

絵画の記憶

いつか消えゆく私たちの――。

〈その男はついに妻のことを忘れた。〉  そんな冒頭の一文にはドライさがあり、どきり、とする。思えば記憶というのは不思議なものだ。絶対に忘れないと頑なに信じた記憶は意外にも簡単に消えてしまうし、あるいはどうでもいい、と片隅に追いやっていた記憶がふいによみがえることもある。記憶という概念は恐ろしく曖昧だが、多くのひとにとって何よりも大切なものになっている。だからこそ〈記憶〉というテーマが扱われた物語は、多くのひとの心を惹き付けるのかもしれない。  ……ということで、本作も同様に、記憶を失いつつある画家の男を描いた掌編です。これだけ短いと内容に踏み込まずに感想を書くのが難しいので、ネタバレフィルタを付けましたが、味わいのある文章の読み心地の良さだけでなく、構成のうまさが印象的な作品でもあるので、ぜひ作品のほうを先に読んでもらえたら嬉しいです。  いいですか?  この作品には、〈絵画〉と〈手紙〉が重要な要素として登場します。〈手紙〉は本心を自らの口からは明かさなかった男の本心を知る手がかりとして、〈絵画〉はかつてそうではなかったけれど、彼にとってはある時期からもうひとつの意味を持ちだすようになります。  心も記憶も失われていくのは怖い。それでもそこに確かなものを残すために、何かを残していく。男はその記録として、自身の職業として描いてきた〈絵画〉を選ぶ。  読み終えた時、 〈あれは春のことでした。画家が集まるパーティに参加した次の日から、夫は今までの抽象画とは全く別のものを描くようになりました。それは風景であったり、人物であったり、まるで日常を切り取ったような絵を描き始めたのです。〉  という道を選んだ男の気持ちを想像しながら、苦くも、切なく、静謐な余韻が残りました。

5.0
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サトウ・レン

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