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永い春の行く末は

タイトルで全てを語っている

 か。いや、そういうわけではないだろう。  情というものほど厄介なものはない。そしてこれは「怠惰だな」と自己満足かつ自分勝手に決めつけてしまいがちだ、こういった点が恐らく「厄介」に当たるのだろうと思う。   「やっとの思いで付き合っちゃいました」の、人生最大の盛り上りで“物語”は終了してしまうケースが圧倒的に多い。何故、物語を読んだあとに「でも現実と違いますわな」と離れてしまうのかなと考える。その先の生活がまるでないかの如くだからかもしれないなと考えた。  ……いや、まぁここからが私の主観です。    あるよなぁ~熟年って…この、なんだかわからん変な気遣いとか~!と勝手に自分に持ち帰りました。あれ、これレビュー文字数足りるかな。  脱帽だ…と思ったのは、そうなのよね、男って曲げられないのに神経細いから、そう、レズビアンとは全く違うモダモダが生まれちゃうのよねぇ…と。  アットホーム型(世界一優しい人種と私は呼びますが)バイセクシャルさんには、一方向で進んで行く相手の機密さってものが微妙に拾えないのだが、アットホームなだけあってサバサバしていたりしちゃって…(多分間口は広いんだろうが…)と、←この範囲はBLではない場所。でも、マイノリティの摩擦は場所の違いだけだったりする。根本は同じセンチメンタルとハッピーがある。  で、こちら作品はBLなわけでして、最早直球で「一方向で進んでいく男に於いての同性愛~晩年型~」をバチっと書けていていやぁこれほどピッタリなジャンルでリアリティ、なかなかないよなとなんか…凄く感銘を受けました。(ちょっと何言ってるかわからなかったらすみません) 春ですかね。秋も春と似ているような気がします。でも、桜は年々良さがわかるようになる。当たり前に「10年単位」と相手を眺めるのが人生奥深き。  私は最後、彼と共に近間の桜を眺めた気に浸れました。良作ありがとう。 ps.後記  このレビューは、オノログさんの対象でなかったサイトに直接去年に書いたものだが、今日(2022年1月31日)ここに書くまでに後日談がある。自費出版されたのだ!  しかも現在、番外編プロットを練っている最中だそうだ。楽しみはまた増える。春は、もう目の前です。

5.0
0
詩木燕二

イルン幻想譚 〜Eloon's Tales〜

全米が感動し世界が驚嘆する映画

 きみは剣闘士(グラディエーター)が一人、険しい山を登っているのを見るだろう。  生まれたときから闘うことだけを叩き込まれた無教養な明るく素直な男だ。  彼はドラゴンを倒す為に隠された扉を開き、荘厳な建物「ルナテミス」で出会うのだ──滝の落ちる崖、蒼天を見渡す巨大な露天風呂に!  いや、すまない。  偏屈で取り付く島もないが、色素が洗われたようなプラチナブロンドの、小柄な美しい男と運命の出会いを果たすのだ。  彼は麓の人間たちに「隠者のビショップ」と呼ばれているが、もちろんそう名乗った訳ではない。  非常に長寿で、人ではないが、彼自身自分がどういった種族か知らないのだ。  ある意味で無垢な二人の男が出会い、物語は始まる。  ところで、この話にわたしが熱狂するのには訳がある。  設定厨にはこたえられない、隅々にまで行き届いた世界構築がここにあるからだ。  加えて用語の数々。  意味のある熟語に載ったルビは、大好物なのであるが、この物語にはそれが連打される。  「リオン」「セイズ」「セイドラー」「ガルド」「ガルドル」……  カタカナでもおよそは理解できるそれが、熟語に載ったとたんに発する、あの魔力のようなイメージはなんだろう。  それがなければ形容することの叶わぬ世界がここにある。  覚えなければ意味が分からないとか、ハードルを上げる体のものではなく、「この世界の常識なので」と、素で言われるような言葉使いなのだ。  ところで、この話はBLであるので、極端に嫌がる方にはオススメしない。  可哀想だな、と思って口をつぐむだけだ。  ただ言えるのは、たまたま性別がそうであるというだけで、彼と彼は愛し合う運命なのだ。  物語は「隠者のビショップ」と呼ばれる男の正体や、元剣闘士の男が辿る数奇な運命、また同種族との遭遇や、遺跡による発見など、ざっと何百年単位の時が流れるため、歴史ロマンにもあふれている。映画にして見たい場面が随所に配されていて、詳しい方なら推しの俳優を当てて想像してしまうだろう。  本当に映像化して欲しい。  性別を超えた愛も差別もここにある。  全米よ、一緒に愛を感じないか?

5.0
2
メロウ+

翼に愛を

迫害を受け傷ついた少年は、ある獣人との出会いで少しづつ変わり始める。

【組み合わせ・舞台】 獣人×ヒト 人と獣人の住まう世界。彼らは別れて暮らしている。 【物語の始まりは】 ある狼との出会いの経緯から始まっていく。それまで三年ほど森の小屋で、夜になると男相手をしていた少年はある時、銃声を聞き外へ出た。すると怪我をしている一匹の狼と遭遇するのだった。その狼の傷の手当てをし、別れたつもりが何故か一緒についてくる。彼は狼を招き入れ一晩一緒に眠るのだった。それが非日常の始まりだとも知らずに。 【主人公と登場人物について】 迫害され、唯一の肉親であった母を失った少年はある男に立てて貰った小屋で、男の相手をしながら過ごしていた。望んでそうしているわけではなく、そうしなければ生活もままならなかったからである。生きていいるというよりも、生かされていると言った方が近いかもしれない彼は、ある狼と出逢うことで人間らしい感情も持つようになるが、それは自分自身を危険に晒すことにも繋がってしまう。 【物語について】 初めは人形のように、ただ男の夜の相手をし、時間が過ぎゆくのを待っている生活をしていた主人公は幸せとは程遠く、人間らしさを感じられなかった。しかしある日、ケガした狼を助け一緒に過ごすことになる。そしていつしか、離れがたい存在となっていたのだ。 そんなある日、夜の相手である一人の男から引っ越しの話を持ち掛けられる。小屋があまりにも寒かったためである。返事を待って欲しいと言ったものの、男は勝手に家を建ててしまう。その事をきっかけにし、男たちが少年の家に押し掛け目理やり攫おうとしたのである。だが危機に陥った少年を助けてくれたのはあの狼であった。少年は助けられた翌日、その狼に連れられある場所へ連れていかれる。彼はなんと獣人だったのだ。彼に目的は偵察だったが、国に帰るという。主人公はそこでこの国(人間の住まう場所)に残るか、一緒に行くか問われる。果たして主人公の選んだ道とは? 【感想】 主人公は一体何者なのか? なかなか真実に辿り着かず伏線も多いことから、ソワソワする物語である。 初めは生きている感じのしない主人公だったが、ある狼と出逢い心に変化をきたす。それでも生活は変わらない。慣れてしまうことは恐ろしいことであると感じた。自分のしてることの善悪の判断もつかず、自分にはそれしかないと思い込んでおり、その事に依存してしまうのは何も、性的な行為に関してだけではないと思う。だがこの場合は、自分を大切にすることができない、感覚が違うということから、彼に想いを寄せる、あるいは大切に想っている獣人の王子にとっては、辛い部分だ。 そして、とても気になるのが彼の出生についてである。この先何処かで明かされるとは思うが、たくさん伏線が敷かれており、何となくこうなのかな? と想像を膨らませてしまう。もしそうなら、この国では幸せに暮らせるのではないかと思ってしまう。現時点では、ある出会いから自分に向いていることも見つけられた様子。ハッピーエンドになれと良いなと思う。 【見どころ】 主人公の環境が良い方向に向かうのは、人の国から獣人の国へ渡った後である。ただ、ゼロからの出発、そして人種の違いは初めの頃は弊害となる。彼は今まで男に抱かれるという手段でしか金品を得たことがなく、他人から酷い迫害を受けたため、トラウマも抱えている。 そんな彼に寄り添う獣人の彼は異国(異人種)の王子。いくらお金を持っているとはいえ、簡単に頼ることはできない。その上彼は、忙しく仕事をしていた。 何をするでもなく、毎日一緒に居るだけの日々が続いたある日、後に転機に繋がる出逢いが訪れた。夜道を歩いていたところ、ある雄の獣人に声をかけらたのである。この出来事は、主人公と王子の関係を少しづつ変化させ、主人公のこの国での生き方にも変化をもたらすのである。 一方で、いろんな伏線から”彼は本当に純血の人間なのか?”という謎もあるが、この先どうなっていくのか気になるところである。 果たして主人公は、幸せになれるのだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。 (17ページまで拝読)

5.0
0
crazy'[email protected]レビュー&作品紹介師

僕は君と踊る夢を見る

互いの本当の気持ちをさらけ出し、心が結ばれるところから始まる物語

【あらすじ・物語について】 主人公が社長室へ赴くと、主は霧雨が降っているにも関わらず窓を開けたまま、長椅子で仮眠をしていた。そこから明かされていく、国の情勢と彼の最近の事情。その後、二人の出会いなどが語られていく。 この物語は二人が結ばれるまでではなく、二人の想いが一つになっていくことから展開されていく。主人公の友人であり雇い主が、主人公を夜会へ”連れて行く”という話から過去にあったことや、隠してきた気持ちなどが明かされていくのである。結ばれるところから始まる物語。タイトルに年代が記されていることから、過去のエピソードなども描かれていくようだ。 【登場人物について】 中等部二年の時、あることがきっかけで親友以上の関係となる。 主人公であるオリヴィエは、元々感情を表に出さない世渡り上手なタイプだった。しかし、ラウールに対してだけは変化が訪れる。 彼に出会うまでは、誰とでも(固定ではなくという意味合いであり、誰でもいいということではないが)情事を重ねるような人物であり、相手に対し執着はなかった。そんな自分自身を周りがどんな風に感じているのか? どう思っているのかは、冷静に把握している印象。しかしあることをきっかけに、変わっていく。それほどに彼にとってラウールは特別だったと言える。 手放したくない相手であるにも関わらず、社会人となってからは彼の大切にしているもの(家)を優先、尊重し一歩引いた状態で彼を支えていく。我を通さず、立場を弁え自分の気持ちを犠牲にするなど、それが出来るのは愛あってのことだと思われる。ただ、周りは主人公の方針に賛成はしていない様だ。ちゃんとしたポストで、彼を支えて欲しいという期待があったと言える。 【良い点(箇条書き)】 ・言葉の選び方が美しく、表現も綺麗である。その為、優雅さを感じる。 ・主人公がどれほど彼に夢中になったのか、心情や行動から伝わって来る。 ・ジャンルはBLであり、BLの要素(男性同士が恋愛をする前提のジャンル)を持ってはいるものの、ヒューマンドラマ主体であると感じた。 ・言動などの描写や心情などが丁寧であり、舞台である世界観も細かく設定されている。 ・BLというジャンルにありがちな同性間恋愛に対する偏見描写がなく、どちらかと言うと男女ではなく一人一人の”人間”という印象なので、とても読みやすい物語だと感じた。 ・焦点が二人に合っている為、全体では登場人物が多いようには感じるが、分かりやすい。 【物語の感想】 身分のある世界観が舞台ではあるが、同性だから結ばれない、身分違いだから結ばれないということではなく、主人公の想い人は家を守るため(繁栄)に子孫を残さなくてはならない使命があるように感じた。その為には女性と婚姻し なくてはならず、主人公もそれを望んでいる印象を受ける。 心に秘め傍で支えるというのは、深い愛がなくては難しい。人は身勝手な生き物だ。このような境遇の場合、自分の愛を突き通す者もいれば諦めて他の人に目を向ける人もいるだろう。しかし主人公の気持ちは変わらなかった。例え結ばれることがなくても、一生尽くそうとしている。なかなかでできることではないと感じた。 *33ページまで拝読 【物語全体の見どころ】 一話では過去の話しが出てくる。その場で終わりではなく、その時のエピソードは別の話にて詳しく描かれていく。この作品には番外編もあり、他の人物視点から語られていく物語もあれば、秘めた想いが明かされていく物語もある。 一番の見どころは、主人公の変化にあると感じた。彼がラウールの意外な一面を知り、それまでの苦手意識が払拭されるどころか、彼に陶酔していく。しかもその陶酔の仕方は自分勝手なものではなく、彼の意志も尊重するものであった。相手を想うからこそ、大切だからこそ自分を犠牲にできる。しかし周りの望むものと、自分の行動には溝(隔たりや差)がある。 彼が許さなくてはならないのは、自分自身なのかも知れないと感じた。それは罪や罰のようなものではなく、一線を超えたり、望んではいけないと思い込んでいることからの解放という意味合いだ。 そして彼らは、心が結ばれるところから始まっていくのである。その後に続くエピソードは、周りのもどかしい気持ちや、二人の過去などである。魅力の詰まった物語だと感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy'[email protected]レビュー&作品紹介師

君と初恋をもう一度

一途な彼と鈍感な主人公。二人の恋の行方は?

【簡単なあらすじ】 ジャンル:BL 高校3年の主人公がある日帰宅すると、父がある青年を同居人として連れてきた。彼は大学に通うため下宿するとの事。彼は美しい青年であり、はじめの頃は自分に対しての彼の接し方を不快に感じていたが、段々と別な感情が芽生えていくのだった。果たして彼の気持ちの正体とは? 【物語の始まりは】 父が家にある青年を連れて来たことから始まっていく。彼は主人公より年上であり、大学に通うためにうちに下宿することとなったらしい。彼は美しい青年であり、主人公は彼に対し心がざわついてしまう。彼に対しての主人公の気持ちの正体は一体なんだろうか? 分からないまま新しい生活が幕を開けるのだった。 【舞台や世界観、方向性】 舞台は現代である。友人が同性同士の恋愛に偏見を持っていないように感じる。(個人的にはとても良い印象)タイトルと物語が繋がった時、物語は新たな展開を迎える。 【主人公と登場人物について】 主人公は高校三年生の男の子。我が家に父がある大学生を連れて来たことから、主人公の生活は変わっていく。 どちらかというと、相手は打ち解けており主人公が戸惑っているようだ。 主人公の言動から彼が真面目な人物であることが伝わって来る。 彼の友人の想いを寄せる相手は異性ではあるが、主人公と同居人の関係に対し気持ちを探る様な言葉をかけていることから、少なくとも友人は同性だからという偏見を持っていない印象。 【物語について】 主人公は幼い時に恋をした記憶はあるものの、現在は恋人はいない。父の連れてきた同居人に特別な想いを抱きながらも、その気持ちの正体がわからなかった。彼にはいつも一緒に行動する二人の友人がいる。その一人がもう一人の友人のことを好きだということを打ち明けられる。うすうすその事に気づいていたこともあり、二人を応援する気持ちは本物だが複雑な心境になる。二人のことから自分自身も”恋”について考えるようになる。 主人公は日常で起こるいろんなハプニングにより、段々と自分の気持ちに疑念を抱いて行く。それはいずれ自覚に繋がっていくのではないだろうか? 果たして、二人に訪れる結末とは? 【良い点(箇条書き)】 ・日常にBLBLしさが無く、友人との恋愛が同時進行しており自然な感じがとても良い。(BLが好きでない人でも読みやすい) ・友人が同性同士の恋愛に偏見を持っていない印象があり、個人的に好印象を持った。 ・伏線が分かりやすいのだが、分からないように持っていっているのが面白いなと思う。 ・主人公が恋と自覚するまでの経緯が丁寧だと感じた。 ・タグにハッピーエンドとあるのだが、くっついて終わりという物語ではない。恋愛は付き合うまで、付き合った後も悩みはあるもの。日常系でもあるので、それらも描かれている。 ・友人が活かされている。(飾りではなく、彼がいるからこそ進展する部分もある) ・物語の流れはテンポが良いのにも関わらず、主人公の心情が分かりやすく、どうして心が変化していくのか? 過程が丁寧に描かれていると感じた。 【備考(補足)】9ペーじまで拝読 【見どころ】 ドラマチックな物語である。タイトルと物語がどう繋がっていくのか? 伏線を散りばめられはているが、主人公はその事になかなか気づかない為、読み手の方がうずうず(じれじれ)してしまう。 くっついて終わりという物語ではないので、主人公が段々と自分の気持ちを自覚していく様子も楽しめるし、お付き合いした後の展開も楽しむことができる。特に、同性間でも異性間でも悩みというのは変わらないと感じている。この物語でとても良いなと感じたのは、友人のッ主人公に対する姿勢。偏見描写もなく、応援したり相談に乗る姿が好印象。友達とはこういうものなんだなと、ほっこりした気持ちにもなれる。また、主人公と相手が惹かれ合っているのが伝わって来る。とても素敵な物語だなと感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがっでしょうか? お奨めです。

5.0
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crazy'[email protected]レビュー&作品紹介師

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箱庭物語

色々な賞の選考にも残った、本と旅する物語。

『異本』と呼ばれる特別な本を集める物語。 現代世界が舞台ながら、その空気感はまるでファンタジーの様です。 こちらの作品は第6回カクヨムWeb小説コンテストの中間選考を通っていたり、 ノベリズム大賞では選考を通った上に主催側から言及を頂いているほど優れた作品です。 内容も実に美しく、キャラクター同士の掛け合いから始まるのが印象的でした。 話が進むにつれ世界観や目的が分かっていくという構成が実に素晴らしく、それだけで世界観にどっぷりと浸れます。 また本に関する知識も豊富で初版に関する出来事が話のキーになっていたり、フィクションながらベルリン崩壊といった実際の国の歴史や文化も作中に登場するなど、現実世界の出来事にも造形が深く描きたいものがしっかりと伝わる内容です。 シンプルかつ洗練されたタイトル、そして本を開けば仕掛け絵本のように溢れる魅力の数々。 是非貴方も一読してみては如何でしょうか。 私も陰ながら応援しております。

月下美人よもう一度

これは一気に読むべし!

正直、この作品のレビューは特に危険でしょう! ネタバレした時点で終わります。 なので、一気に読みましょうね!? それほどの作品です。

私は壁になりたい

真面目に読むと実は結構詰んでる(※真面目に読むものではない)

 進路希望調査票に「壁」と書いてきた女子生徒との、一対一の進路相談に挑む女教師のお話。  テンポよく切れ味のあるコメディです。場面固定かつ一対一の掛け合いという形式で、特に語り口の起伏や言い回しの妙で引っ張っていく内容となっており、つまりはショートコントのような軽妙な掛け合いの妙味を、小説という形式の上に再現しているところが魅力的です。  普通にコメディとして楽しく読んでいたのですが、でもこれ真面目に読むと実はものすごい勢いで詰んでいるのでは、というところもなんだか愉快でした。真摯に生徒のことを思ういい教師ではあるのだけれど、でも生徒自身の自主性を尊重しすぎた結果明らかに悲劇を助長している先生。そして想像以上にどうしようもなかった『壁』の正体。一切の遠慮なく一方的に垂れ流される欲望のおぞましさに、自身に向けられた暴力性すら跳ね除けようとしない先生の健気さ(あるいはヘタレっぷり)。読み終える頃にはなんだかDVによる共依存にも似た関係性が成立しつつあるようにすら読めて、いやもしかしてこの人らある意味相性ぴったりなのではと、そうごまかしてはみたものの結構身につまされる部分もありました。人の振り見てなんとやら。  単純に個々の掛け合いそのものも面白いのですけど、でもこうして見ると「いやいや結構な惨事ですけど?」と、そんな状況をでもサラリと飲み込んでしまえる彼女らのタフさにも笑えてしまう、つまりはしっかりキャラクターの魅力をも見せてくれる素敵な作品でした。

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