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怪獣弐号

正統派・王道・ド直球の怪獣映画

ある日突然怪獣が出てきて、現代の東京をめちゃくちゃに破壊・蹂躙するお話。 怪獣映画です。怪獣映画としか表現しようがないくらいにはどっぷり怪獣映画しているお話。 とんでもないこだわりぶりというかなんというか、きっちり小説として完成された作品を通じて、その読んだ感覚の向こうに怪獣映画の面白みを再現してしまう。この技巧というか工夫というかは、まず並大抵のものではないと思います。 赤堀亨という主人公。ごく普通の、いわば〝逃げ惑う群衆〟のひとりでしかない存在を視点保持者に据えて、彼の目を通じて書かれる物語。作品自体は完全に小説そのもの、当然小説として楽しく読んでいるのに、でも同時に怪獣映画に感じる興奮をも伝えてくれる。 この恐るべき娯楽性の分解能、そしてその後の再構築の精度に、ただひたすら感嘆させられました。 冒頭の文章が最高に好きです。「怪獣が当たり前に存在していること」が前提の世界観、それを一切の説明なくわからせてしまう手際。他、内容に関わる部分としては、〝子供〟の使われ方が非常に印象的でした。演出が巧みというか、物事の見せ方や切り取りかたが非常に手慣れていると感じる作品でした。

5.0
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和田島イサキ

公正な抽選

極限状態で明らかになる人間の本質

隕石衝突による地球滅亡まで一年、宇宙脱出のために足掻く人類のお話。 二部構成(幕間除く)のパニック劇です。前半と後半でかなりはっきりとお話が分かれる、その構成が実に特徴的。前半であんなにがっつり主人公していたキャラクターが、いきなりすぱっと退場してしまう。この瞬間の衝撃というか思い切りの良さというか、いきなり突き放されるような感覚がとても好きです。 後半の展開、特に結び付近の流れはもう圧巻でした。 すでに航行中の宇宙船内部、次々語られる権力者たちの醜聞。視点保持者の主観においては「最低に利己的」としか言いようのないそれらに対して、でもその当人もまた同罪である、という現実。呉越同舟、同じ穴の狢であることを知りながら、胸の内で他者を断罪することで自らを〝正しい側〟に置こうとするそのエゴイズム。なにより、そんな人間が個人の価値観で、命の選別を行おうとしている――その権利が自分にあると自然に思いこみつつあることの、まるで背筋が凍りつくようなこの恐怖! エグいです。宇宙船という限定空間における人の正気の脆さ。いち科学者(医療従事者)が己の持つ知識や技術を、なんらかの権威と錯覚してしまう瞬間。個人の中の倫理観が腐っていく様を描いた、非常に痛烈なSFサイコスリラーでした。

5.0
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和田島イサキ

デリリウム・デリュージョン

自己認識の不安定さを追体験させられる

自分で書いたバトルもの現代SFファンタジー小説の世界に、なぜか主人公として入り込んでしまった人の物語。 あらすじ(作品紹介)にもある通り、既知の創作物の世界に入り込む、ある種転生ものにも似た構造のお話です。と、その前提で読み始めると、まず度肝を抜かれるのがその『バトルもの現代SFファンタジー』部分の骨太さ。 作中の自作小説にあたる部分の設定を、決して等閑に済ませない。中身自体は決して手を抜かず、といってやりすぎることもなく(やりすぎると多分「こっちだけでよかったのでは?」ってなる)。ケレン味の大盛り感でそれっぽさをしっかり演出し、しっかりお話の軸をぶらさない。 このバランス感覚。こういうの好き、なんて余裕こいて読んでいて、そして実はそれが巧妙に仕組まれた罠でした、と、そう気づいたのがだいたい中盤くらい。 どっちなのこれ!? 実は結構シビアというか、実際に身を投じてみるまで絶対に答えのわからない、この背筋の凍るようなハラハラ感。 やられました。日常パートの軽妙さが見事に煙幕の役割を果たし、気づけばとんでもないところに誘い込まれていたこの衝撃。もはや完全に掌の上、なんか一方的にボコボコにされるような感覚で読みました。 メタ構造をただ便利な道具として、あるいは枕や土台として使うのではなく(というか、使うと見せかけて)、メタそのもので殴りかかってくる荒武者のような作品でした。

5.0
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和田島イサキ

ホログラムと少年

幻像と滅び

 廃墟となった世界に住まう少年アンドロイドと幻像の物語。途中引用されるイェーツの詩がこの小説を読み解くヒントを与えてくれたように思いました(この詩から発想したのかなと思うくらいに)。とはいえ、本作を読めている自信はあまり無いので、これから延々と妄想を語るかもしれません。  最初の方で見事だなと思いました。風が吹いて崩れ去ったビルからガラスの破片が落ちるところ。これでもう人類が滅びていることが十二分に描写されています。全体的にいい意味で色彩の薄い世界で、それが美しいです。  少年が好きなものは滅びを感じさせるもので、今回の戦利品の玩具はビー玉で、これは壊れやすいガラス玉。そして塒を移す時は集めた玩具を持って行かない。熊も、好きになったそもそものきっかけはエイン博士の言葉だったけれども、恋をして逢瀬に出かけているのはホログラムの熊で、しかものどかなそれではなく三毛別羆事件の、人間の団欒を滅ぼした熊。少年が動く先には透き通るような滅びが見えます。  少年が行く場所には人類がまだ生き残っていた時から残していた幻像があります。九龍城のレプリカたる集合住宅も過去の再現というその試みからして一種の幻像ですし、それこそホログラムも幻像。エイン博士も人類も今となっては全て幻像。というより、人類は生きていた時から(一応実体はあるわけですけど)幻像だった気がします。でも幻像を愛し、(たとえそれが既に滅びていたとしても)その先を愛することもできて。  滅びた世界を書くと、自然とそれとは対照的に思える生きていた頃の人間の営みであったり、痕跡であったりを書いてしまうものですが、本作の場合生きていた人間の名残が温度を伴うものではなく幻像として立ち現れています。それが本作の独特の雰囲気を作ってもいて、引き込まれました。  言葉遣いだとかデティールに踏み込んでいるときりがありません。素晴らしかったです。読ませてくださりありがとうございました。

5.0
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辰井圭斗

惑星パレパレの待合室

上質な異文化交流もの(変化球)

 上質な異文化交流ものでした。デティールからいくと、年間平均気温摂氏25度の花咲き乱れる惑星パレパレは鬱鬱とした気配がまるで無く、パレパレ人は造形、言語ともにとてもラブリーです。もっとこの惑星の文化や人を見せて、と言いたくなるような設定は異文化交流ものを書く上での大きな強みだと思います。好きなところはパレパレ人の子供が退屈して脚を伸ばしたり縮めたりして遊ぶところです。その身体を持っている子供ならすごくやりそうなことで、これを書けてしまうのはすごいなと思いました。パレパレの描写だけで十二分に楽しめます。  さて、本題に入ります。異文化交流とは何か。私は三つフェイズがあると思っています。  ①各種の限界は抱えつつも異文化の人々と交流を図る。  主人公の翻訳機が旧式であり、“相手の言いたいことは何とかわかる”程度であるのは、それ自体コミカルであるとともに、異文化交流に必ず付いてまわるある種の限界を示していて、いいギミックだなと思いました。互いに完全に分かりあうことはできないけれども、意思疎通を試みることはできるというバランス。  ②相手側と自分側の差異や類似点に気付き、異文化への理解を深める。  地球人とパレパレ人では身体のつくりも言語も全然違うけれども、小さい子供が「うんこ!」と楽しげに言うようなところは同じで。その辺りの気付きが主人公だけでなく読み手であるこちらにとっても心動かされるものでした。  ③それによって自分側の世界に対する眼差しが変わる。  自分とは異なるものを見ることによって、自分の世界に対する認識が従来とは変わるということ。  ……ここが本作の難しいところだなと思った箇所で。話がこの③に乗りそうになって、乗りきらないんですよね。もちろん私が勝手に考える三つのフェイズに乗らなければならない決まりなど無いのですけど。  主人公はパレパレ人の子供と無関心な父親の様子を見て、自身の子供時代とほとんど構ってくれなかった父親のことを思い出して腹を立てたりして、「こうなったらこいつをかまってやろう」なんて思う。自分で自分のこども時代を少し救う話になって、違うドラマが走り始めるんです。そして“遠い異星の地に、日本の子供と同じく「うんこ」という言葉で爆笑できる子供が誕生したことに、不思議な感慨深さと喜びを覚えて”幕。この最後のところで主人公が自分の過去のあれこれを分かりやすく解消したりしない所が、この作品の穏やかなところでもあり、大人なところでもあるなと思いました。  基本的には異文化交流のフォーマットにきっちり乗りながら、最終的にはちょっと横に軟着陸する作品。とても楽しみながら読みました。

5.0
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辰井圭斗

瑠璃色の髪の乙女

宇宙の中の柔らかさとロマン

「みひつのこい」を拝読した時にも思ったんですが、冒頭で状況を示すのが本当にお上手で。 書き手の方は分かってくださると思うんですけど、冒頭って焦るじゃないですか。ああ、あれも提示して、これも言ってって、どうやって読者を物語に乗せようか腐心する。読者が想像を働かせて物語に入っていけるだけの情報は示さないといけない。それでややもすると、すごく説明くさくなったり、或いはそれを避けようとした結果、なんだかよく分からなくなる。 でも本作はすごくすんなり読ませた上で、物語の背景とかがしっかり分かるようになっていて。あの、好きなセリフ挙げていいですか。 「さぁ起きて、オーナー。今日も地球がきれいよ」 一回目に読んだ時しばらく固まりました。あまりに見事なので。そりゃ、読む前にキャプションは見ているのでそういう場所の話だということは分かっているんですけど、小説本体の冒頭は、「ああ近未来なんだな」くらいでどこか分からない。でもあのセリフでいきなり”位置関係”を叩き込まれるんですよね。世界がわっと広がる。実際地球見えましたし。このセリフがあるから次の” ここは地球と火星の間にある、小さな燃料スタンド。”という一文がすとんと入ってくるんですよ。それを読んだ途端、地球と火星を入れ込んで宇宙の中の燃料スタンドを捉えた遠景が目の前に広がる……という。見事です。 レビューのひとこと紹介は悩んだんですけど、宇宙の中の柔らかさとロマンで。柔らかさはオーナーとシレーネの関係性であったり、文章が持つ雰囲気の柔らかさであったり。オーナーとシレーネの関係いいなあと思います。別にオーナーの気持ちが直截に語られるわけではないけれど、接し方から十分心情が見える気がします。お腹いっぱいです。 ロマンの部分はやはり舞台設定であったりシレーネの設定から。いや、もうこの設定の段階でそりゃもえますよ。あと、髪、ですよね。 事程左様に感嘆しながら拝読しました。

5.0
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辰井圭斗

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