ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

検索条件

サイト:エブリスタ

Page5

条件をリセット
詳細条件で探す

シーラカンスと黄色い潜水艦

空白が幸せを醸す

 冒頭から、詩愛(しいら)はひとりでいる。  彼女の隣、もしくは向かいに座るはずの浅黄(あさぎ)は思い出の中にしかいない。待っている彼女の立場で言えば、そこに誰も立ち入れない大きな空白だけを残して逃走中なのだ。  出会った時のエピソードや、成功していく過程、彼の失踪など、ラジオの進行に沿う形で、詩愛の回想が差し挟まれる。その中で、浅黄は天才であるが故に、自分の思い通りではない環境の変化に対応することが出来ず、潜水艦を降りたことが語られる。  だがシーラカンスはひとり、耐えて待った。耐えられることが彼女の強さであり、待っていられることが彼女の愛の大きさを伝えてくれる。  この話をキリストが語った「放蕩息子」のたとえ話と重ねるのは、いささかうがち過ぎかもしれない。だが失踪(=放蕩)の末の悔い改めと、迎え入れる側の愛と赦しの大きさは、やはり多くの共通点があるように思う。  私は最初、浅黄は心が弱く、詩愛の脇に空白だけを置いて逃げ出した無責任な男と感じた。だが彼は、ただ弱いだけの人物ではなかったのだ。  もしかすると彼は、詩愛の抱く愛の大きさが見えなかっただけかもしれない。失踪中、彼自身も空白を連れ歩いて、やっと置いてきたものの尊さに気づいたということはありうる話だ。  遠く離れて時間を置いて、それでも彼女が待っていると知り、浅黄は心を決めて戻ってきたのではないか。ぽっかり空いた空白を彼自身と、彼の持つ愛情で埋めるために。  イエロー・サブマリンは再び走り出す。その行く手には祝福が待っているだろう。空白に注ぎ込んでいた愛情を、これからはお互い相手に向けることが出来るのだから。

5.0
2
はやくもよいち

クリストキントの贈り物

あまねく人にクリスマスを

アドベントカレンダー2021(※1)のラスト、クリスマスイブを飾るに相応しい、心やさしい作品です。 作中の架空の村は、生まれついての貧富の差や職業的階級のある世界。それはコロナ禍や貧困、家庭の問題など様々な理由で子ども同士の繋がりが断たれる今の社会を反映しているかのようです。 その中でクリスマスイブに起こるささやかな奇跡は、より大きな奇跡のきっかけとなりました。与えられた奇跡よりも、自分たちに何が出来るかを考え、努力して掴み取った奇跡のほうが、よほど素晴らしいものでした。 この作品には、「人は他者と繋がって生きるもの」や、「未来を切り拓くには行動を起こさなければならない」、などいくつものメッセージが散りばめられています。 昔話やファンタジーの体を借りつつも、現代の、とくに子どもたちへと向けたメッセージはきっと、読者の心を打つでしょう ぜひ、ご自分の目で確かめていただきたいと思います。 はやくもよいち ※1 しのき美緒さん企画のアドベントカレンダー小説版 on エブリスタ   11/28から12/24まで、27名の作家が毎日、一作ずつ順番に新作を投稿しました。   詳しくは、下記リンクを参照してください。   https://estar.jp/novels/25879925

5.0
0
はやくもよいち

藍 深紅 ……

 私は以前、連載終了したあとに読んだので、いま連載中であったとしても完結するはずです。確かあと2/3あったかなぁ?(10万字行っていたような、行っていなかったような、くらいの読みごたえ) 【現在公開中分のご新規さん向けレビュー】  青春の生々しさ、家と学校では違う顔、と言う強弱がリアルです。文体が淡々としているので、あっさり登場人物へ移入することができます。  ボトルフラワーや「涙の味、わからへんかった」等、多感な女子高生、それが淡々と続く日常、ずっとなんもない日常をこうも淡々と続けられるとな…ではないんです。青春って、皆当事者の頃はなかなか拾わなかっただけで、大人になると面白く、拾えばキラキラしていますよ。そのポイントをがつっと押さえてあり、じわじわとくる。  思春期独特の、恋愛が少し怖い(大人の勇気のなさとはまた違う)女の子と、どないしたらええんやともがく男の子。上手く行っても行かなくても(2021/12/26現在57p)切なさ、暖かさ、殺伐さがある作品です。 【作者様への言葉】  以前読んだ頃より、遥かに達観している気がしました。以前も誰に寄っているのかな、まぁ、主人公の背中なのですがもう少し離れたような。これを良いとするか悪いとするかは読者様次第かなぁと、間口、司会は広くなったような気がします。当時の感じもかなり生々しく胸につまりましたが、これはこれで作者様のセンスが折り交ざり、それでも「うるさい作者主張」ではないので、本当に作品と共に歩んでいるなと感じました。

5.0
0
詩木燕二

最近の「いいね!」

小説家になろう恋愛書籍化コミカライズ連載:67話

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない

人は見た目じゃない

第一部は俺様王子編。 傲慢俺様なイケメン王子が『良い』と思えるのは、ヒロインが王子のことを好きになることが前提かつ、ヒロインとのふれあいで傲慢で俺様なだけではない王子の奥底にある良さ等が見えてくるからであって。 ヒロインに好きな人がいて王子のことはこれっぽっちも好きではない場合、権力と自身の魔法の力に物を言わせて人の話を聞こうともせず迫ってくるような俺様っプリは、『キュン』とするどころか『ただただ壮絶に面倒くさい』としか思えないんだな……と乙女ゲーマーとして目から鱗が落ちる思いがした。この手のタイプは乙女ゲではわりとメイン攻略対象として存在するので……前提と視点が違うとここまで意味合いが変わってくるのか……と。 王子の言動と彼自身が迷惑でしかないヒロインと、王子に憧れているヒロインの友人との会話での分かりやすい見え方の違いにめちゃめちゃ納得した。 第二部は俺様王子の弟の腹黒王子編。 第一部は学園内でことが収まっていたけれど、第二部はガッツリ王家が絡んできてヤバさが一段とアップ。 人の話を聞かない第一王子の次は、やはり人の話を聞かない第二王子に王妃と、この国の行く末が非常に不安になる。 が、番外編で第三王子が登場し、なんとかなるのではないかと一息つける。 物語全体を通して会話のテンポがよいので読み進めやすく、最初から最後まで一気に楽しく読めた。 いつも全力で好きを押し出すシャリーナと、困惑しながらも段々惹かれていくリオルの二人が可愛い、物凄く可愛い。 見た目は地味なガリ勉少年で、しかも魔法が使えないという欠点があるけれど、シャリーナの為に己が頭脳と持てる力を全力で使って戦うリオルは本当にカッコイイ。

小説家になろう恋愛連載:66話完結

【完結】セクハラ貴族にビンタしたら社交界を追放されたので、田舎で人生やり直します。~一方、そのころ王都では~

難アリ家庭から逃げた先で努力し幸せを掴む物語

親の歪んだ教育方針により世俗に疎くすれていないヒロインのため色々とおぼこいが、助けてもらった先の家で色々と教わり、『自分』を出せるようになっていく変わりようが良かった。こういう、若干テンションのおかしいヒロインは好き。 ヒーローも少々珍しいタイプで好ましかった。 さくさくとテンポ良く話が進むため、じれじれな恋愛ではあるがイラつくほどの長さではなくニマニマと過程を楽しめた。悪党が断罪されているのもよき。 軽めですっきりと読了できる作品だった。

小説家になろう恋愛連載:119話完結

美醜あべこべ世界で異形の王子と結婚したい!

男性のみ美醜逆転の異世界に美少女イケメンハンター出陣します!

前世で喪女だった後悔からイケメンにガツガツの肉食系女子となった美少女主人公。前世含めて一目ぼれした異形と言われるほどの美少年(前世観)にアプローチをしてさっさと婚約者候補に収まり、誰も寄せ付けないいちゃらぶカップルになります。 外面もよく美少年に目がないですが、自分主観で醜いからと嫌うことはありません。恋愛対象ではなくてもちゃんと人として接する、人として優しい女の子だからこそ素直にその恋路を応援することができます。美少年と付き合うためにしていた善人の外面がよすぎてまわりからは誤解されてもいますが、そこも美醜逆転独特の笑いポイントとして楽しめます。 義理の弟を可愛がったり、不遇なイケメンも多数出てきて、乙女げー系小説っぽい世界観な感じですのでさくさく読めて最後まで一気に楽しめます。 ヒーローにも秘密がありちゃんと後々秘密を打ち明け合って、主人公が面食いなのも全部わかってもらって思いあうラブラブ小説です。 最後までぶっとんだ美醜観によるドタバタギャグが楽しいですし、完結済みなので一気に最後まで楽しめます。 世界観も楽しくもたくさんのキャラクターもそれぞれ個性がありいい人が多く、美醜逆転好きだけではなく乙女ゲー系の愛され主人公恋愛物が好きな人にもおすすめです。