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カクヨムファンタジー連載:38話完結

ウィッチドライブ ~女の子と事故って魔法少女になり身体の相性が良いから働かされてるんだけど俺はこれを許すべきか? 契約したからもう遅いわよ〜

【物語は】 異形と呼ばれる怪物が出るようになった世の中が舞台。ある日、主人公は手違いにより、魔法使いのようなカッコをした女性に、女にされてしまう。被害を被ったのはこちらなのに、何故か不満を漏らしているのは相手である。 理不尽な状況でも、冷静に状況を把握しようとする彼。喋ることは出来るが、喋ること以外出来ないという事態に。つまり、身体が乗っ取られている⁈ 突然、日常から非日常へと引っ張り込まれることになった、主人公の運命とはいかに? 【登場人物の魅力】 段々と明かされていく、主人公の過去。主人公は自身の境遇により、荒れていた時期もあったが、常識的な考えを持つ人物の印象。祖母の教えを胸に抱き、寛容になろうとする場面も見受けられる。 主人公が、とても人間らしい。ここが物語の最大の魅力ではないだろうか。常識的=いい人とは限らない。世に出回っている多くの物語は、人類の為にあっさり戦うことを受け入れてしまう。しかし、それは子供向けの物語であると感じている。あくまでも良いこと悪いことを教えるために、極端にしているのではないかと思えるのだ。大人になれば分別もつくので、人間の感情に対するリアリティを求めるもの。その感情は複雑に違いない。 例えば、子供の頃は守られる側であったが、守るものが多くなればなるほど、リスクを考えたりするだろう。この作品では、そのリスクに対する対価についても描かれている場面があり、協力する理由の一つとして納得できる。 この物語では、主人公の心情がしっかり描かれているので、笑ってしまう部分、一緒になって腹が立つ部分など、感情移入しやすいことも、特徴の一つ。 ウィッチドライブをすることになった相手とのやり取りもとても面白い。相性は最高なのに、仲が悪いのである。しかし、言いたいこと言える相手なので信頼関係や絆は結ばれているように感じた。信頼関係があるからと言って、仲がいいとは限らない。これは現実にもあること。二人の関係が今後どうなっていくのか楽しみである。 【世界観・舞台・物語の魅力】 舞台は、異形と呼ばれる怪物の居る世界である。なので、それを倒すような人々も存在するようだ。 ウィッチドライブのシステム自体がとても面白い。原理は簡単に理解することが出来るのに、いろいろと興味深いことが起きてしまうのが面白い。何故、主人公が男から女になってしまうのか。何故胸のサイズが変わってしまうのか。その辺りの理由についても面白く、単に女性になって戦うのではなく、その為に起きる面倒なことについても描かれている。 本来ならウィッチドライブというシステムを使い、戦うはずではなかった主人公。手違いにより、戦うことになってしまった。この契約は簡単には、なかったことに出来ないため、ある程度の期間は主人公が変わりを果たさなければならない。必要なものは経費で落ちるのだが、それはどうやら国民の税金から支払われるらしい。 その為、必要なものではあるが、”これを税金で⁈”という状況が起き、そこにも笑いが起きる。主人公の複雑心境が笑いを誘うのだ。 この物語は、魔法少女に対する期待のようなものも満たされていると思う。男性が好きそうな際どい展開にて。もちろん、匂わせであるが。 単に笑いだけではなく、敵となる人物たちにも拘りを感じた。悪は一概に悪とは言えないかも知れない。関係ない人まで巻き込んではしまうが、発端がありそこに同情を禁じ得ないこともある。そして、そういう人の心に入り込む人間こそが、本当の悪なのではないかと考えさせられるのだ。 【物語のみどころ】 この物語の主人公は、ある理由から喧嘩などに対しては、腕に覚えのある人物。だからと言って、国民の為に戦う義理はない。それを行うのはそういう職に就いているものの仕事であると考える人間が主人公だ。 この考えには、多くの人が共感できるのではないだろうか。物語だから、フィクションだからこそ、正義の為に戦う者に憧れることはある。それは死なない前提だからではないのだろうか。 多くの物語の正義の味方は特殊な力を持っている。毎回入院シーンのある、ヒーローものは皆無とは言わないが、なかなか見たことがないのではないだろうか。しかし、自分の立場だったなら。いくら力があっても、やはり怪我は免れないし、死ぬかも知れない。そうなったら、何も考えずに協力などしないと思う。しかも、同意もなくいきなり体の性別が変わり、勝手に身体が戦い始めるなど、発狂しそうだ。 この物語には、大人になってからヒーローものや魔法少女ものを見た時の疑問などについても、ナチュラルに解決されている。とても人間らしいところが魅力の物語なのだ。 そして、何故異形が産まれるのか。そこにもちゃんと拘りと理由があるように感じる。正義とは一体なんであろうかと考えさせられるのだ。どんな人間にも心があり、悪が一方的に悪とは限らない。同情もしてしまう物語である。 あなたもお手に取られてみませんか? 笑いあり、怒りあり、ハラハラドキドキしてしまう物語です。果たして、主人公たちは真の敵を倒すことが出来るのだろうか? 是非、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/3/8
  • 投稿日:2021/8/8
小説家になろうファンタジー連載:119話

散華のカフカ

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ローファンタジー 「審判」から三十年。都市では人が灰になって消える灰化現象が続出。主人公たちは、その事件を捜査していた。灰の身元を調べようとしていたところある不一致に気が付く。更に詳しく調べようとしていたところ、ある人物に呼ばれ捜査資料を渡されるのだが。まさかそれが、自分たちのその後の運命を変えてしまうことになろうとは思ってもいなかった。彼らの運命はいかに?! 【物語の始まりは】 ”朽人”という意味深な言葉を発れられるところから始まっていく。ある二人が美しい砂のようなものを袋に詰めているが、一体それにどんな価値があるというのだろうか? 彼らを通して伝えられるのは、不思議な光景不思議な体験。そして、最後に残された言葉は誰のものなのか? 謎の多場面から始まり、本編に入ると何か事件が起きたことが分かってくる。被害者は二名のようだが、これが冒頭の彼らなのだろうか? 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 人が灰の様なものにされる事件が多発してる状況。 埋葬屋という謎の人物が存在する。彼の仕事は一体? オーディナルシステムというものが存在する。 多視点からなる群像劇。 【主人公と登場人物について】 主要な人物は三人の刑事だと思われる。 彼らはこの事件(人が灰のようなものにされる事件)の対策チームで初めて出会ったようで、妙に馬が合い捜査を行う時はよく三人で行動しているようだ。 【物語について】 彼らが灰の身元を調べようとしたところ、ある不可解な点を発見する。それをさらに詳しく調べようとした矢先に、彼らに会いに来た者がいた。その者は普段ならば、絶対に会うことのできない人物。彼らはその人物から直々に事件解決の依頼と、その事件に関する話を聞くことになる。その者から事件の情報を手に入れた彼らは、その資料から犯人を導き出したのだが……。 彼らは犯人を調査していたところ、自分たちもある陰謀に巻き込まれていく。この物語は、死=終わりではない。それは序章に過ぎないと感じた。果たして主人公はどうなってしまうのだろうか。 【良い点(箇条書き)】 ・あらすじに”裏で起こる巨大な陰謀の渦に巻き込まれていく”とあるが、巻き込まれ方が想定外。 ・タグに”主人公は最強”とはあるが序盤では想像がつかない。一般の刑事に見えるからである。しかしあるところまで差しかかると、想定外の展開に驚く。 ・バトルものであるということは先に分かってはいるものの、構成が巧いので先が読めず、意外性と独創性が素晴らしい。 ・冒頭の方は事件ものであり、ミステリーのような雰囲気を持つが、異能力者たちのバトルが熱い。不思議なバランスと魅力を持つ物語である。 ・一人一人戦い方が違うようであり、戦闘自体に見どころがある。 【備考(補足)】8ページまで拝読 【見どころ】 まず構成が面白い作品だという印象。推理モノのような始まりであり、主人公達が事件を追っていくところから始まるが、気づけば異能力バトルとなっている。事件の黒幕は早々に分かる為、早くも事件解決か? と思わせる展開も秀逸。しかしそれは始まりに過ぎないのである。まさか主人公たちが事件自体に巻き込まれるとは、あらすじを読んでも想像できない。意外性の詰まった作品である。何故彼らが戦っているのかも、序盤で明かされていく。一体どんなラストになるのか、誰が勝利するのか予測不能である。 主人公はこの戦いにどのような立場や位置で関わっていくことになるのだろうか? 果たしてその結末とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? この物語の行く先をその目で是非、確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2023/2/5
  • 投稿日:2021/11/6
カクヨムファンタジー連載:122話

今日のソライロ~死の都 青空の下でまた君と笑い合えたら

【簡単なあらすじ】 ジャンル:現代ファンタジー 主人公の少女は、時代を超えた人物を含めた幼馴染みたち達と、平和な日常を過ごしていた。しかしある日、彼女たちはゾンビらしき人物に襲われたのである。このことを皮切りに、変化していく世界と日常。果たして彼らは日常を取り戻すことができるのであろうか? 【物語の始まりは】 主人公がゾンビに襲われそうになっているところから始まっていく。そんな主人公の絶体絶命の危機から救ってくれたのは、なんと義経であった。彼らは果たして生き残ることができるのだろうか? 【舞台や世界観、方向性】 ある日、主人公がゾンビに襲われるところから展開されていく。 100年後の未来から来た人物曰く”ゾンビが発生した原因は未来から来た軍の生物兵器の実験だった”(あらすじより) 群像劇。主人公、明日美以外の視点からも語られていく。 【主人公と登場人物について】 登場人物の多めな物語。 恐らく4人の幼馴染みと、歴史的人物。(彼らも10年以上の付き合いのようだ) 義経はとても有名な人物であるが、”竹崎 季長(たけさき/たけざき すえなが)は、鎌倉時代中期の武士。鎌倉幕府御家人。元寇における自身の戦いを描かせた『蒙古襲来絵詞』で知られる。”(Wikipedia調べ) あらすじに出てくる人物以外にも有名な歴史的人物が登場する。 【物語について】 主人公には現代人の他に歴史的に有名な人物が友人にいるようだ。彼らはアクシデントにより過去と現在を行ったり来たりできるようになったようである。 本編に入ると日常や、ゾンビと出逢った経緯について語られていく。 ゾンビが発生した経緯については、未来の少女視点から明かされる。彼女が100年前にタイムスリップしたのは、あと100日で人類が滅亡してしまうことを知ったから。もし滅亡してしまえば、今の自分たちも消滅してしまう。100年前に彼らを救うことが今の自分たちを守ることにもつながる。かくして彼女は叔父から大量の武器をもらい令和へと飛んだのである。 その後、異変の起きた現代では主人公が”様子を見に行く”と言い出し、他の幼馴染みたちも口々について行くと言い出す。最終的にみんなでぞろぞろと様子を見に行くことに。すると外は昼間なのに暗く、腐敗臭が漂っていた。 【良い点(箇条書き)】 ・発想とは自由であり、他人の想像力を大きく超えるためには、何物にもとらわれず発想することが大切であることを学ばされた作品。 ・過去に行ったり、未来に行ったりする話は多く見たことがあるが、過去からも未来からも人がやって来て、しかも彼らの目的が違うという物語は珍しいのではないだろうか? (過去からやって来た人物を、未来の人間が阻止するという方向性の物語ならば、見たことがあるが) ・幼馴染みたちの仲の良さが伝わって来る。 ・俗にいうパニックものではあるが、混沌とした様子や乱雑した様子(人々が個々に行動する様子)が巧く描かれている。 【備考(補足)】9話まで拝読 【見どころ】 スピード感のある物語。怒涛の勢いで進んでいく印象。ただゾンビと戦うだけではなく、幼馴染みたちとの関係についても掘り下げられている。時には笑い合い、喧嘩し、すれ違ったりしながら主人公の少女は心身共に成長していく。 どんなに頑張っても、認められないというのは辛いものだ。それが仲の良い間柄や、親であればなおさら。主人公は、自分自身に嫌悪している場面が多数見受けられ、成長期なのだなと感じられる葛藤なども描かれている。 人に怒られるというのは、とても怖いことだと思う。自分が相手に好意を持っているならなおさら。その事が原因で嫌われてしまったと感じることもあるだろう。しかし人というのは、そう簡単に他人を嫌ったりしないものであるし、心配しなければ本気で怒ったりもしないものである。 主人公はいろんなことを学びながら、助け合い、混沌とした世界を救っていくのではないか? と感じた。この物語はゾンビとの戦いを通して主人公が成長していく、友情物語なのではないだろうか? 果たして彼らはこの世界を救うことができるのだろうか?  あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2023/9/22
  • 投稿日:2021/12/5
小説家になろうSF連載:138話

神々のガラクタ船 ーWater alchemist and the Worldtree’s landsー

【物語は】 遠い昔に水が失われてしまった世界で、記憶を失ってしまったと思われるミーケという少年の境遇から始まる。彼が覚えているのは、水の豊かな地域に暮らしていただろうという記憶のみ。 それも、何処なのか定かではない。確かなのは、この世界において水が貴重であること。そしてこの物語には、水が深く関わっていること。 主人公たちはある日、自分たちの家に宇宙船がやって来ることを知る。その出会いが全ての始まりだったのだ。 【世界観・舞台・物語】 天然の水のない世界。地球が失われた後の世界のようである。 主人公は20年前に倒れていたところをリーザに助けられ、以来二人で暮らしていた。歴の感覚が地球とは違う為、初めは一部難しいと感じる部分もあるが、重要なのは彼らの目的であり、丁寧に説明がなされている為、段々に慣れていく。 ザラという人物から見えてくる”世界樹”について。 世界樹がどんなものなのか? この物語を理解するのに、一番重要な部分だと思われる。 ”世界樹という”言葉のイメージにより、少し世界観を理解するのが難しいかも知れないが、あらすじにイメージを確定する一文がある。 ”それはいくつもの星系国家の集まりであり、絡まり合う無数の枝のような知識ネットワークを共有している大コミュニティ”(引用) 作中には”世界樹"にも国家があり、経済というものもあり、時には、ある研究を行いたくても、財力の問題でそれを行えない科学者もいる”(引用)とある。つまりこの大コミュニティの名(総称)を”世界樹”というのだ。 主人公たちは”天然水”を巡り、その研究の為に運命的に引き寄せられたのではないだろうか。そしてその研究こそが、ミーケの失われた記憶に関係しているのではないだろうか? その部分に関しては、物語を読み進めると段々と分かって来る。 何故水が失われたのか。この物語には謎な部分があり、それが研究という形で明かされていく。事実や想定などを聞いているうちに、ゾッとすることなどもあり、いつの間にか主人公たちと共に話を聞いている気持ちになる。世界観が、研究報告に(レポート)より分かるというのは、とても面白いスタイルだと感じる。 【登場人物の魅力】 この物語は、両視点で進んでいくようだ。冒頭ではまだ分からないが、群像劇なのかもしれない。 恋愛に興味のなさそうなミーケと、複雑な心境のリーザ。この物語の中では、種族(出身)により考え方が違うようだ。 大事な話といわれたことを発端として、考え方の違いなどが語られていく。独特の世界観を持った物語だと感じる。 この物語は1-8までは、世界観や研究ミーケの記憶、リーザの想いなどについて描かれていく。ミーケの素性についての予想が立つまでは、リーザの複雑な心境についても語られておりハラハラしてしまう。この物語の世界観の中で面白いところは”世界樹”の人間というのは”恋愛感情”については疎いという所。つまり科学者であり、恋愛というものに感情が向かないという事だ。これは、恋愛以外に夢中になれるものがある人には、想像しやすい部分なのではないだろうか。”二人の関係がどうなっていくのか?”というところも、見どころの一つだと思う。 【物語に見どころ】 人によっては、序盤が少し難しいと感じるかもしれないが、読み進めるにつれて面白さを感じるタイプの物語である。 ”水”が重要なキーワード。世界観については、読み進めているうちに”なるほど”と理解することが出来る。 まずこの物語は、何らかの理由で水が失われ、地球(ジオ)も存在しない未来の話である。そして記憶のないミーケという、主人公の一人は二十年前、リーザという女性に倒れていたところを助けられる。 そこから一緒に生活しているうちに、互いがかけがえのない親友になるが、リーザの方は心に変化が表れ始めていた。 そんな時に、ある一人の研究者がやって来るのだ。このことを期に水についてのある説を知ることになる。 そして記憶のないミーケの”記憶”についてや、彼自身のことについて分かることが出てくる。つまり、物語はターニングポイントの日から始まっていくのである。 果たして、ミーケの記憶に隠されたこととは? ≪虚無を歩くもの≫とは? 少しづつ明かされていく謎と、真実。そして旅立ちの物語。 あなたもお手に取られてみませんか? この先彼らに一体、何が待ち受けているのだろうか? ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2024/3/10
  • 投稿日:2021/8/8
エブリスタファンタジー連載:10話完結

書記メルローチェと王家の呪い

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 度重なる失敗の為、クビの一歩手前となってしまった主人公が、その危機を回避するため古代爬虫人の王が残したという”無謬の鉄筆”を探す旅にでる物語。主人公は目当ての品を探し出し、無事に帰ることはできるのだろうか? 【物語の始まりは】 ある少女の失敗から始まっていく。そしてその失敗を上司である父から注意されるのだ。しかしどうやら彼女の失敗は一度や二度ではないらしく、後がない! という状況に。頑張り屋ではあるものの、そそっかしい性格が仇となっているようだ。果たして彼女は、生まれ変われるのか? 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 無謬(むびゅう)とは? 理論・判断などに、誤りが無いこと。 同じ竜族でも種があり、それぞれ気質が異なっている。 主人公は今まで神殿集落から出たことはなかったが、従兄や母は冒険をしたことがあるようである。竜以外の種族も暮らす世界。 【主人公と登場人物について】 主人公は落ち着きがなく、そそっかしい性格から頑張り屋であるにもかかわらず、失敗ばかりしてしまう。それは書記としては致命傷でもあった。 父は上司であり書記総長。 従兄に緑衣の騎士異名を取る青年がいる。 彼は使える主君を失ってから、諸国を旅しているらしい。今回彼女が捜すものに関しての情報は、彼から得たものである。 主人公はこの神殿集落をまだ一度も出たことがない。 父は安全第一。母は従兄と同じ、放浪や探索を好む種族(?) 【物語について】 失敗ばかりしていて、”解雇予告”されてしまった主人公は、従兄から数千年前に大陸の東側にあった国の王が所持していたとされる”無謬の鉄筆”についての話を聞く。それは間違ったことは絶対に書けない魔法の筆記具らしい。それは主人公にとって一条の光であった。 彼から行くべき先を教えて貰った彼女は、母の協力を経て旅立ちの準備を整えることになる。しかし父は彼女の身を案じ、反対をする場面も。それでも後がない彼女にとっては死活問題でもあるのだ。読み手としては仕事が好きだからこそ続けたいのではないか? と感じた。その為にはやはり自分の性格が壁となる。簡単に治せるものではないからだ。手に入る確証のないものではあるが、きっと藁にも縋る想いなのだろう。彼女の決心は揺るがなかった。一人で旅に出るのかと思った旅立ちの日、ある人物も同じ場所へ向かい旅立とうとしていた。初めて産まれた場所から旅立つ、冒険に出る主人公にとっては心強い。だが彼女はどうやら負けず嫌いでもあるようで、前途多難な旅になりそうである。果たして無事に目的のものを手に入れることは、できるのであろうか? 【良い点(箇条書き)】 ・娘の旅立ちについて、父と母の反応は違う。それは種族の気質の違いでもあるようで、とても分かりやすい。 ・主人公の性格や気質が言動から伝わって来る。 ・危なっかしくて、ハラハラしてしまう。 ・登場人物それぞれに個性がある。 ・情景が分かりやすい。 ・旅に出てもすんなりいかず、物語に主人公の性格が活かされている。 ・自分にあった武器というのが良い。どのように使われていくのだろうか? 【備考(補足)】92ページまで拝読 【見どころ】 仕事で失敗ばかりしている主人公は、もし次に失敗をしてしまったらクビになってしまうところまで追いつめられていた。問題はそそかっかしい性格。しかし性格はなかなかどうにかできるわけではない。そんな時、従兄から絶対に間違ったことを書けないという”無謬の鉄筆”の話を聞くのである。彼女はその道具を手に入れるために旅に出ることを決意する。神殿集落を出たことのない彼女にとっては、とても勇気のいる選択。しかし他に道がないほどに追い詰められていたのだ。 父に心配されるも意志の変わらない主人公は、母にサポートされ旅立つことになる。そして実際旅立つ日には従兄からもサポートを受けることになるのだが、彼女はカチンときやすい性格なのか半日で失敗してしまう。とても危なっかしい。だが転んでもただは起きぬ、ということなのだろうか? 良い出会いも果たすことになる。知らない土地での出会いは、今まで一つの集落にしかいたことのない彼女が新しいことを知る機会でもあったのではないだろうか? ハラハラするものの、ワクワクする展開も待ち受けているように感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 読了部分ではまだ、お目当ての品は見つかってはいません。これからどんな展開になっていくのか、その目で是非、確かめてみてくださいね。おススメです。

5.0
  • 作品更新日:2019/3/2
  • 投稿日:2021/11/22
小説家になろうファンタジー完結非公開

吸血鬼は陰陽師と踊る01 ~吸血鬼と鬼の末裔のコンビの妖怪退治の物語~

【物語は】 意味深なシーンから始まっていく。どんな場面なのか、そこにいるのが誰なのか分からぬままに。冒頭の部分が過去なのか、未来なのか、それとも物語の途中なのか。謎を残したまま、物語は始まっていく。 本編に入ると、この町に引っ越してきたばかりの主人公は、母からの買い物の途中、買い忘れがあることに気づく。仕方なくもう一度スーパーに向かうが、商店街のタイムセールに遭遇。 買い物ラッシュにより、人酔いしてしまった為、何とか狭い路地を見つけて逃げたが、そこである現場に出くわすのであった。 【世界観・舞台・物語の魅力】 主人公の反応をみていると、陰陽師がその辺にいても不思議に思うことが無く、驚くこともない世界観だということに気づく。そして吸血鬼が、人間の敵というわけではない世界なのだろうか。少し不思議な世界観である。 冒頭の光景は誰が見たものなのか、それは間もなく明かされていく。 この物語の面白いところは、”思い込みや言葉(物の名)のイメージ”が覆されるところにある。陰陽師が妖怪と戦っている場面を見て”陰陽師は妖怪と戦うもの”と思ってしまうが、主人公の心理描写により”彼が何故妖怪と戦っていたのか”という疑問を感じている部分が出てくる。つまり陰陽師が妖怪と戦うのは、当たり前ではないということだ。 この物語の中で吸血鬼である主人公は、普通の人間として生活を送っている。人間として、毎日をエンジョイしているのだ。その理由や経緯については作中で明かされる。 【登場人物の魅力】 主要人物は恐らく、二人。吸血鬼である主人公と、転校先のクラスメイトである陰陽師の彼。二人は性格が反対のように感じた。 主人公は過去に何かありそうではあるが、とても明るく人に好かれるタイプのようだ。見目も良く、素直で家族想いの印象。 それに対して陰陽師の彼の方は、少しクールでぶっきらぼうな印象を持つ。だが冷たいというわけではない。もしかしたら好んで人つきあいをするタイプではないのかもしれないし、不器用なだけなのかもしれない。 急激に仲が良くなるような会話を交わすわけではないが、なんとなく互いに信頼をしているように感じる部分がある。 それぞれ、能力が違い戦い方も違う。陰陽師の彼は(途中で、陰陽師ではないと否定する部分があるが)戦い方も読者の期待通り。とてもカッコいい。 話が進んでいくと更に二人の特徴が分かって来る。 主人公は面倒見が良いタイプであり、その一方、陰陽師の彼は自分の使命以外には無頓着。しかし反抗的というわけではなく優しい一面もあり、やはり不器用なのだという印象が強い。二人はとてもバランスが良いと組み合わせだと感じた。 他に面白いなと感じたところは、当たり前なのかもしれないが、吸血鬼や妖怪にも多様性があるというところ。力の差や考えかた、戦う理由など、それぞれ違うものだが、あえてそれを多様性としている(感じる)部分がとても素敵だなと感じた。 人間だけではなく現実にも、身近な所だとイヌやネコも性格は違うと聞く。そういった部分がナチュラルに描かれているところが、魅力の一つではないだろうか? 【物語の見どころ】 今まで接点のなかった二人がある出来事を期に、互いの素性を知る。主人公が転校してきたのは、運命だったのだろうか? 吸血鬼だから人間の敵というわけでもなく、妖怪だから絶対に倒さなければならないというわけでも無い世界。しかし、陰陽師も吸血鬼も存在して不思議ではない世界なのだ。 そこで主人公は初めての陰陽師に出逢い、陰陽師の彼は初めての吸血鬼に出逢う。彼らは、はじめは友好的には見えないのだが、出会ってたった二日で、自然と相棒のような関係になっていく。戦いを通して主人公の力が陰陽師の彼に認められ、信頼関係を築いているように感じた。 陰陽師の彼の目的が分かってくると、更に面白さが増す。彼には一体どんな秘密があるのだろうか。彼の追っている敵との関係は一体⁈ あなたもお手に取られてみませんか? 彼らは、目的を果たせるのかを是非、その目で、確かめてみてくださいね。 お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2020/6/20
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムその他連載:126話完結

C-LOVERS

【物語は】 雑誌の特集に組まれた話から始まっていく。その後、成功への第一歩となるのだろうか。主人公の一人であるYOSSY the CLOWNが、インタビューを受けている場面へと変わる。この物語は、群像劇。 ここで、作中のあるセリフが胸を打つ。 「コンプレックスと上手く付き合っていくような(略)」のくだりのセリフにとても惹かれた。と同時に、このセリフ部分から彼のこれからの目標や、目的が明らかになる。それは輝かしいスタート。 しかし彼の成功(ソロデビュー)を喜んでいるものばかりではないようだ。意味深な場面からオープニングクレジットと移り、その後本編へ。 【各登場人物から見る、物語の魅力】 第一幕に入ると視点が変わる。 服部若菜という女性の視点から、YOSSY the CLOWNがどのような人物なのか明かされていく。この物語の面白さは、各登場人物がYOSSY the CLOWNに対し、どのような想いを抱いているのかというところにあると感じた。 服部若菜という女性は、YOSSY the CLOWNに対して憧れの気持ちを抱いている。その理由は、彼女が自身の笑顔に対し、コンプレックスを抱いているから。自然に笑えたのは彼の芸でのみであり、初めての経験だった。彼に憧れ弟子入りを決意し奮闘するが、あっけなく断られる。 しかし、必死に自分にできることを告げた時、あるワードが彼の心に引っ掛かった様だ。彼から”世界が認める凄腕マジシャン”を紹介してもらうこととなる。 彼女との出会いの中で、YOSSY the CLOWNは独特の話し方をする人物であると言うことがわかってくる。それが彼のスタイルであり、パフォーマンスの一つであるという事も。確かに彼は、人を楽しませることに長けている。それは、インタビューでのやり取りからも感じることが出る。しかし、本心では何を考えているのか分からないという印象も同時に持つ。シビアな一面も併せ持ち、仕事(パフォーマーとしての)へのプライドも感じられる。 【世界観・舞台の魅力】 YOSSY the CLOWNの活動理念は、『世界を笑顔で満たし、そうして美しく変えること』(引用)である。(詳しくは作中にて) 活動理念を見ると、とても志の高いパフォーマーであるという事が感じられる。しかし、世の中のいい人が性格までいい人とは限らない。 世の中、優しさだけでは自分の目的、目標を達成することが出来ない。これは当たり前のこと。どんな良いことであろうが、情だけではどうにもならないことがある。YOSSY the CLOWNは、人から憧れを持たれるほどに凄いパフォーマーだが、誰にでも愛されるいい人というわけではないのだ。 自分の理念を貫くために、情では動かない。そして当然、なんらかの恨みを抱いている人も現れる。人間ならば、誰にも嫌われずに生きるのは難しい。そして、彼が誰からも愛される”完璧な人間”というわけではないところに、ヒューマンドラマとしての面白さがあると思う。 どんなに優れている人であっても、その人物を好きな人もいれば、いけ好かないと感じる人もいて当然だということ。完璧だから愛されるとは限らない。そして、完璧に見えるからと言ってコンプレックスを持っていないとは限らないという事だ。人間らしさを描き、表現している。この部分こそが、この物語の魅力なのではないだろうか。 【物語のみどころ】 YOSSY the CLOWNという、魅力あふれるパフォーマーがソロデビューを果たした。その事で動き出す、歯車。彼に憧れ弟子入りを希望した女性は、笑顔にコンプレックスを抱えていた。彼のパフォーマンスにより自然に笑えたこと。自分のようなコンプレックを抱えている人々を笑顔にしたい、それが彼女の原動力だったのではないだろうか。 しかし、YOSSY the CLOWNもまたコンプレックスを抱えている。この物語は、あらすじにもある通り、コンプレックスを抱えた人々の群像劇である。 それぞれがそれぞれの悩みを抱え、目標を持ち、夢を持っている。そんな彼らは果たして、コンプレックスを克服し、自身の道を切り開くことが出来るのだろうか? あなたもお手に取られてみませんか? この先、彼らがどのように関りあい、どのような人間模様を展開していくのか。そしてコンプレックスを克服できるのか、是非その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/6/10
  • 投稿日:2021/8/8
エブリスタBL連載:51話

僕は君と踊る夢を見る

【あらすじ・物語について】 主人公が社長室へ赴くと、主は霧雨が降っているにも関わらず窓を開けたまま、長椅子で仮眠をしていた。そこから明かされていく、国の情勢と彼の最近の事情。その後、二人の出会いなどが語られていく。 この物語は二人が結ばれるまでではなく、二人の想いが一つになっていくことから展開されていく。主人公の友人であり雇い主が、主人公を夜会へ”連れて行く”という話から過去にあったことや、隠してきた気持ちなどが明かされていくのである。結ばれるところから始まる物語。タイトルに年代が記されていることから、過去のエピソードなども描かれていくようだ。 【登場人物について】 中等部二年の時、あることがきっかけで親友以上の関係となる。 主人公であるオリヴィエは、元々感情を表に出さない世渡り上手なタイプだった。しかし、ラウールに対してだけは変化が訪れる。 彼に出会うまでは、誰とでも(固定ではなくという意味合いであり、誰でもいいということではないが)情事を重ねるような人物であり、相手に対し執着はなかった。そんな自分自身を周りがどんな風に感じているのか? どう思っているのかは、冷静に把握している印象。しかしあることをきっかけに、変わっていく。それほどに彼にとってラウールは特別だったと言える。 手放したくない相手であるにも関わらず、社会人となってからは彼の大切にしているもの(家)を優先、尊重し一歩引いた状態で彼を支えていく。我を通さず、立場を弁え自分の気持ちを犠牲にするなど、それが出来るのは愛あってのことだと思われる。ただ、周りは主人公の方針に賛成はしていない様だ。ちゃんとしたポストで、彼を支えて欲しいという期待があったと言える。 【良い点(箇条書き)】 ・言葉の選び方が美しく、表現も綺麗である。その為、優雅さを感じる。 ・主人公がどれほど彼に夢中になったのか、心情や行動から伝わって来る。 ・ジャンルはBLであり、BLの要素(男性同士が恋愛をする前提のジャンル)を持ってはいるものの、ヒューマンドラマ主体であると感じた。 ・言動などの描写や心情などが丁寧であり、舞台である世界観も細かく設定されている。 ・BLというジャンルにありがちな同性間恋愛に対する偏見描写がなく、どちらかと言うと男女ではなく一人一人の”人間”という印象なので、とても読みやすい物語だと感じた。 ・焦点が二人に合っている為、全体では登場人物が多いようには感じるが、分かりやすい。 【物語の感想】 身分のある世界観が舞台ではあるが、同性だから結ばれない、身分違いだから結ばれないということではなく、主人公の想い人は家を守るため(繁栄)に子孫を残さなくてはならない使命があるように感じた。その為には女性と婚姻し なくてはならず、主人公もそれを望んでいる印象を受ける。 心に秘め傍で支えるというのは、深い愛がなくては難しい。人は身勝手な生き物だ。このような境遇の場合、自分の愛を突き通す者もいれば諦めて他の人に目を向ける人もいるだろう。しかし主人公の気持ちは変わらなかった。例え結ばれることがなくても、一生尽くそうとしている。なかなかでできることではないと感じた。 *33ページまで拝読 【物語全体の見どころ】 一話では過去の話しが出てくる。その場で終わりではなく、その時のエピソードは別の話にて詳しく描かれていく。この作品には番外編もあり、他の人物視点から語られていく物語もあれば、秘めた想いが明かされていく物語もある。 一番の見どころは、主人公の変化にあると感じた。彼がラウールの意外な一面を知り、それまでの苦手意識が払拭されるどころか、彼に陶酔していく。しかもその陶酔の仕方は自分勝手なものではなく、彼の意志も尊重するものであった。相手を想うからこそ、大切だからこそ自分を犠牲にできる。しかし周りの望むものと、自分の行動には溝(隔たりや差)がある。 彼が許さなくてはならないのは、自分自身なのかも知れないと感じた。それは罪や罰のようなものではなく、一線を超えたり、望んではいけないと思い込んでいることからの解放という意味合いだ。 そして彼らは、心が結ばれるところから始まっていくのである。その後に続くエピソードは、周りのもどかしい気持ちや、二人の過去などである。魅力の詰まった物語だと感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2024/3/28
  • 投稿日:2021/12/5
カクヨムファンタジー連載:634話

断頭台のデュラハン

【主人公の目的と世界観】 ・異世界転移(死後なので転生でもある) 〈どんな状況で転移したのか?) 主人公は不運な死を遂げ、死後裁判を受けていた。判決が出ようとしていた時、警報が鳴り裁判を行っていた女神と共に、異世界に転移してしまったのであった。どうやら誰かの召喚術が失敗し巻き込まれたようである。 〈主人公が抱えている問題とは?) 転移直後は女神と共にいたが、そこが何処か分かると帰ってしまった為、一人で異世界に残される。主人公が肉体を持ってしまった為、彼女の管轄外となった為である。つまり、孤立無援。目的も持たぬまま、彼はこの世界で生きていくことになる。スキルを持っているのかは不明。異世界転生の王道的な、トラックに轢かれて転生、スキルを貰うという流れ(物語)とは異なる。 【どんな物語なのか?】 主人公は不運な死を遂げ、死後裁判を受けていた。彼は何にも期待をしていない人間。なんの希望も持たず、諦めたような印象を受ける人物。その彼が、裁判の判決の下る直前に異世界へ飛ばされてしまう。誰かの失敗した召喚術に巻き込まれたと女神は想定。どこにいるのかもわからない森に辿り着いた主人公たちであったが、その場所にはたくさんの白骨化した遺体が転がっていたのである。その遺体についていた紋章から居場所を特定した女神は、自分の世界へと戻ってしまう。一人取り残された彼は、ある声に気づき声の方へ向かう。しかしそこは”いかにも”という洞窟の入口だったのだ。なんとか勇気をもって中に入ると、そこには胴体のない美しい顔があった。 ひと悶着あった後、言葉を交わせるようになるのだが、その経緯に飛んでもない事情があったのだ。それと引き換えにこの世界の知識などを得ることができたはいいが、ある意味諸刃の剣状態に! 【オリジナル要素などについての感想】 主人公はかなりクールで合理的な考え方の持ち主であり、現実世界ではなんの面白味も感じずに生きていたのではないか? という印象。しかし異世界では、順応が速く楽しんでいるようにも感じられる。この物語のオリジナルの部分は、かなり面白い。それは失敗(異世界への召喚とは別)により結果そうなってしまったというものであるが。彼はそれにすら順応している。 そしてデュラハンとは良いコンビだと感じた。 【見どころ】 異世界転生ものというのは、転生や召喚と違い突然飛ばされ”目的がない”まま始まることの多いジャンルである。転生の場合は現世の記憶などから、以前とは別の人生を歩む、もしくはやり直すと言った方向性に進み、召喚の場合は予め主人公のやるべきことが決まっていることが多い。しかし異世界転移は例えるなら、”ノープランで旅に出て、ついた先で目的を決める”というスタイルに近いものが多い。この物語も、主人公は目的を持って異世界へ来たのではなく現地にて、何をするのか目的が出来たというスタイル。 とはいえ、主人公は出逢ったデュラハンの目的を叶えるために同行するという方向性の物語である。序盤ではまだザックリとしかこの世界のことについて明かされてはいない。しかし主人公は、前世よりも生き生きとしているように感じた。果たして彼らは、胴体を見つけることができるのだろうか? この旅の終わりに主人公は何を想うのだろうか? そして結末とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2024/3/27
  • 投稿日:2021/12/29
カクヨムファンタジー連載:653話

②俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部2章~ガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブロー編【カク12+なろう54合計66万PV】コレは親を殺された少年の復讐物語だと思う…

【物語は】 コメディ調の明るい日常から始まっていく。 女神様なのに何故か、記憶を失い役に立たない少女と貧乏な主人公。なぜこんなに貧乏なのか。どんな経緯があって主人公が女神と暮らしているのか。疑問を抱きつつ読み進めていくと、明るい雰囲気は一変し、主人公の回想から過去の出来事へと移る。 緊迫した空気の中、主人公の過去は明かされていく。それは、魔人によって父を殺されるという壮絶な過去であった。 【世界観・舞台・物語の魅力】 意味深な言葉でくくられる過去。そこから一転し、場面は現在と戻ってくる。どうやら、女神の方が主人公に想いを寄せているようだが、当の本人は全く気づかない様子。どうやら胸と道具作りにしか興味がない様子。 このあと、詳しい道具作りの話から魔人と魔物の話へと入っていく。この魔人と魔物がどんな存在であるのか、なぜ存在するのか、どんな生体なのかについて。まずバランスがとても良い。人間は彼らよりも弱い存在であるが、彼らもまたただ強いわけではなく欠点もあるのだ。 その後、戦いのシステムや身分などについても明かされる。身分制度の中には、奴隷という身分も存在する。この中で一番驚いた点。奴隷に関しては、一般的なイメージとは異なるのだ。 そしてこの物語のオリジナル要素でもある、特殊なシステム”休息奴隷”というものが、この作品に独創性を齎している。(詳しくは作中にて) これは、新しい可能性と予測不能な展開を期待させるのだ。現に主人公を養ってくれているのは、この特殊システムの”休息奴隷”という立場の者。それに対し主人公は”一般国民”。身分逆転といっても過言でない制度のようである。 【登場人物の魅力】 主人公は明るく振舞っているが、心に傷を残しているように感じた。まだ幼かっただろう頃に、父が目の前で殺される姿を目撃したのだ。しかも母は自分を必死に守ろうとしていた。その事件について”主人公自身が原因”だったのだろうか、という憶測が出来てしまう部分がある。これついては、まだ詳しくは明かされていない為、憶測の域を出ないが。 この物語には、詳しく語られている部分と謎を残した部分がある。世界観については、詳細に丁寧に描かれている為とても分かりやすく、想像しやすい。 それに対し、過去の事件については謎が多く残されたままである。母の言葉に隠されたもの(伏線と感じる部分)や主人公が狙われていた理由、神である少女がどうやって主人公を助けたのかや、記憶喪失になった理由など。 恐らくこれらは、何かの伏線だと思われる。これから、少しづつ謎が明かされていくに違いない。つまり、ミステリー要素も含まれていると言う事だ。 謎の部分というのは、どうしても知りたくなるものである、すなわちとても、読者の好奇心を刺激する物語であると言える。 【物語の見どころ】 この物語では、主人公がとても複雑に描かれている。冒頭はコミカルであり、女神とのやり取りも軽快な為、遠慮のない様子が伺える。しかし、一方ではとてもデリケートな部分も持っている。時々主人公がシリアスさを見せるのは、過去の出来事に寄るものだろう。 そして話を読み進めると分かって来るのが、彼の優しさの部分である。自分が貧困であるにも関わらず、貧しい人に手を差し伸べてしまう。その優しさは、自分を養ってくれている人の生活さ、え圧迫している様子。優しさではご飯は食べられない。現に豊かとは言い難い生活を、彼らは強いられているのだ。 それが発端ではないのかも知れないが、彼はイジメにも遭っている。道具を作ることが出来るにも関わらず、”いじめっ子たちに報復する”ために道具を作ることはしないのだ。母の最期の願いを守ろうとし、何処までも不器用に生きる主人公。それを自分のせいだと思う女神。 この物語は父を失い母の最期の願いを守ろうとする、貧乏でありイジメに遭いながらも人としての心である優しさや、思い遣りを失わない主人公と、記憶喪失の為に彼を不幸にしてしまっていると思う女神が、必死に生きている部分にみどころを感じる作品なのではないだろうか。しかもそんな状況にもかかわらず、シリアスだけではなく笑える部分もある。 あなたもお手に取られてみませんか? こんな二人が、この後どうなっていくのか? 門をくぐり、果たして生きて帰れるのだろうか。 復讐を果たせる日は来るのだろうか? 是非、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2024/3/20
  • 投稿日:2021/8/8