ＴＥＳＴ．　―天国住民適性試験―

ふと目が覚めると、見知らぬ白髪交じりの男が見下ろしていた。 「お気づきの様ですね、月本逞真様」 男は俺の名前を云った。 辺りを見渡すが、場所も見覚えがない。ベッドの上らしい躰は、何故か一切力が入らない。 それから男は、壁に映像を映した。 俺がダンプに跳ねられて死んだ瞬間の映像だった。 俺は、ダンプに跳ねられて、死んだ。 「月本様にはこれから、《天国住民適性試験》という五つの試験を受けて戴きます」 男は云った。 試験を受ける条件は四つ。 享年が十八歳以上六十歳以内である事。 犯罪歴が一切ない事。 知能、体力が共に、Ｂランク以上である事。 死因が自殺ではない事。 これ等に該当する死亡者は、《天国住民適性試験》という、五つの試験を受けなくてはならない。 全ての試験に合格すると、《天国》に行ける。失敗すると、《地獄》行き。 死後の行き先を決める、過酷な試験が、今、始まる。