ガラスの私
最終更新:2017/4/2
作品紹介
サークル・シエスタ第五回短編課題『愛』 私は夜汽車に乗った。貧しさから逃れるために。 私は夜汽車に乗った。亭主の暴力から逃れるために。 私は夜汽車に乗った。我が子を護りぬくために。 窓ガラスのむこうに女がいる。 笑わぬ女は語りかけてこない。目を合わそうともしない。 ただ黙って私を見つめるだけ。 もの言わぬ女に語りかけ、また一歩、足を踏み出そうと私は決めた。 私が意思を甦らせたことを知った女は、曙光へ導くように朧になって消えた。
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