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作:金糸雀

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最終更新:2019/12/31

作品紹介

ある日、一年後に隕石が衝突し、それによって人類は滅亡すると伝えられた。 人々がパニックに陥る中、宇宙船を建造して 選ばれた人々が外宇宙へと旅立つ計画も併せて発表された。 日本人に与えられた枠は、百人分。 果たして、抽選に参加する条件は……?

SF第一回こむら川小説大賞隕石衝突宇宙旅行抽選

評価・レビュー

極限状態で明らかになる人間の本質

隕石衝突による地球滅亡まで一年、宇宙脱出のために足掻く人類のお話。 二部構成(幕間除く)のパニック劇です。前半と後半でかなりはっきりとお話が分かれる、その構成が実に特徴的。前半であんなにがっつり主人公していたキャラクターが、いきなりすぱっと退場してしまう。この瞬間の衝撃というか思い切りの良さというか、いきなり突き放されるような感覚がとても好きです。 後半の展開、特に結び付近の流れはもう圧巻でした。 すでに航行中の宇宙船内部、次々語られる権力者たちの醜聞。視点保持者の主観においては「最低に利己的」としか言いようのないそれらに対して、でもその当人もまた同罪である、という現実。呉越同舟、同じ穴の狢であることを知りながら、胸の内で他者を断罪することで自らを〝正しい側〟に置こうとするそのエゴイズム。なにより、そんな人間が個人の価値観で、命の選別を行おうとしている――その権利が自分にあると自然に思いこみつつあることの、まるで背筋が凍りつくようなこの恐怖! エグいです。宇宙船という限定空間における人の正気の脆さ。いち科学者(医療従事者)が己の持つ知識や技術を、なんらかの権威と錯覚してしまう瞬間。個人の中の倫理観が腐っていく様を描いた、非常に痛烈なSFサイコスリラーでした。

5.0

和田島イサキ