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恐怖に凍えた心に、貴方への愛が咲く。不遇な令嬢と死を願う英雄の恋愛譚。

5.0
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 封建制度の強い王国で政治的な思惑に振り回される令嬢と将軍の、政略結婚から始まる恋愛ストーリーです。


 私生児ゆえに虐げられてきた良家の令嬢エリーゼは、婚約者の死を悼む猶予も与えられず、政略的な生贄として、残虐で野心的と名高い将軍ヴォルフリートと結婚させられることになります。

 憂鬱な想いと募る恐怖を押し殺しながら将軍の家へと迎え入れられた彼女は、そこで彼の意外な一面を目にすることに――。


 丁寧に心情を描きだしつつ進む物語は、読者にやるせなさともどかしさを想起させてくれます。

 貴き家名を誇る人々のはけ口とされてきたエリーゼには、自分が優しく大切に扱われる価値があるとは考えられません。自分自身の価値を軽く思い、向けられる愛情を受け取ることができない彼女ですが、夫となった将軍の内面に触れることで、少しずつその考えが変化してゆきます。

 ヴォルフリート将軍もまた、強すぎる罪の意識に苛まれ、正しく優しさや愛情を受け取ることができない人物です。


 互いが、互いの傷に気づいたとき、その関係性は形だけの夫婦ではなくなっていくのですが、同時に二人の周りでは陰謀も蠢いています。差し向けられる悪意を乗り越えて、二人は幸せをつかめるのでしょうか。

 本編は完結しており、後日談と番外編もあって、一気読みにもちょうどいいサイズです。ぜひご一読ください。

眞城白歌

登録:2021/8/8 23:52

更新:2021/8/8 23:52

こちらは眞城白歌さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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