異世界でも珍しい「古代ローマ風」に惹かれて読んでみた。
まず私の心を掴んだのが、「ラニスタ」や「ディマカエルス」などのルビ。これだけで独自の世界へと誘ってくれる。もちろん社会的に抑圧された主人公の女性サクラの成長を縦軸に、アラタやクルトとの友情や恋愛関係を横軸にしたストーリーラインと心情描写も秀逸。
特に共感したのは、金も名誉も権力も容姿も性格のよさも、何もかも備えた嫌味にすら感じるクルト。彼の心情に、私は途中からギュぅっと(切なく)なりっぱなしだった。
ちなみに古代ローマにありがちな名前長い問題も、3文字のあだ名を著者がつけてくれる、優しい仕様なのでご安心を。「生き直してんだからっ!」など謎の多いアラタの言葉や、次回予告の気になるセリフが、次の展開を否が応でも期待させる。テンプレファンタジーにうんざりなあなたにこそ、ぜひ新感覚の異世界をオススメしたい。
登録:2021/12/18 21:10
更新:2021/12/19 23:13