あたかも自分がすべて正しいような言動している人を見たことはないだろうか。
もしかしたら、それは、自分の親かもしれない。
本作に登場する母が、その典型的な毒親であるのだが、子に対して毒を効かせているところを読むことができる。
日記形式で母と子のやり取りを読むことができるのだが、本作の子にあたる私こと恵理子は自分の母が毒親であることには早々に気付く。もともとは恵理子一人で書いていた日記だが、ある日母親に日記の存在を知られてしまう。日記の中で「毒親だ」と指摘されていたことに気付いた母は、自分も日記に書き込みを始め、あらゆる言葉を使って恵理子を丸め込もうとするのだが、その母の言葉の隅々にある毒に、読んでいると震えてしまうだろう。
この母がどうやって子を丸め込もうとしているのか、そこに注目して読んでいただきたい。
母が毒親だと気付いた理恵子がこの母に洗脳されるのか、しないのか、どんな結末を迎えてしまうのかも、読んで確かめてほしい。
ある一つの家庭の、ある一つの事例に過ぎないが、そのリアルさにぞっとしてしまう作品だ。
登録:2022/10/14 09:53
更新:2022/12/4 21:21