ぐちゃぐちゃ節
地方に残るという伝承の歌を、現地に残る歌い継いで来た最後の後継者に歌ってもらったものを録音し、報告のためにレポートにまとめた、というような内容。 口伝のものは聞き間違いや覚え間違い、記憶違いで変遷し、原型をとどめてはいないのかもしれない。空耳アワーになってる可能性も無きにしも非ず。だがその変化も、文化の一部ではなかろうか。という事に想いを馳せる短編です。
- 作品更新日:2023/3/7
- 投稿日:2023/3/19
たとえ心がぐしゃぐしゃになっても
ダークファンタジーな設定に相応しい物語ですが、根底にずっと切なさの潮流があるといいますか。 殺し屋としての仕事で穢れていく両手。新たに芽生える感情。どうにもならないもどかしさが胸を打つ……! 短編の文字数の中にぎゅぎゅっと詰め込まれたエピソードが映画的です。
- 作品更新日:2023/3/6
- 投稿日:2023/3/19
月に向かってさようなら
主人公がすごく彼の事を好きなんだなあと思ってしまうのは、通うようになった本屋の店主を「彼に似てる」とずっと感じてしまっているから。 会いたくても仕事だから仕方ないと我慢しているところで、似てる店主を見る事で会えない寂しさを癒しているのかなあと、そういう部分でもちょっと切ない。 そんな恋心を叩き潰すような出来事。 彼女が救いを求めてしまったのは。 作中に出て来る本に合う曲として「Talking To the Moon」が店主からおすすめされるのですが、作中の本タイトルとこの作品のタイトルは同じ。つまり、この作品に合う曲なのです。流しながら読んでみるのもおすすめです。
- 作品更新日:2023/3/1
- 投稿日:2023/3/19
【KAC20233】ぐちゃぐちゃおばけのヘドロン
詩のようなリズミカルさに、絵本のような優しい文面で、どろどろぐちゃぐちゃ汚いけれど、みんなのために頑張ってるヘドロンを描き出した作品です。 少し哀しいお話だけど、随所でヘドロンの優しさが伝わって来るようで、見えないところで精一杯頑張っている存在に想いを馳せてしまいます。 涙の意味を考えたくなる、短い中に深みのある作品です。ぜひ読んで欲しいです。
- 作品更新日:2023/3/6
- 投稿日:2023/3/19
ぐちゃぐちゃ池
地方には我々の知らない不可思議なものがまだまだ多く存在する……を、リアリティある筆致で描き出すミステリー作品。更には、話題になってもいた「作家は経験した物しか書けない」に対する解答のひとつでもあるかも。 地元の人も滅多に近づかないような離島。その地方独特の言い伝え。うわぁ、なんだかありそう……。これを経験せずに書いているとは信じがたい。いや、実は多少のフィクションを交えつつも実際に……? 不穏な空気感に浸りつつ、あなたもこの池の秘密を知ってみませんか。お薦めです!
- 作品更新日:2023/3/6
- 投稿日:2023/3/19
テッドと呼ばれた女
死刑囚となった彼女に、インタビューをするというお話。 777文字の短いお話ですが、描写の妙と言い回しのセンスで、まるで海外ドラマか映画の映像を見ているかのような錯覚に陥ります。 少ない文字数であることを感じさせない濃厚な印象の読後感。おすすめです。
- 作品更新日:2023/3/3
- 投稿日:2023/3/19
ラスボス攻略のキーアイテムを忘れてきたので誤魔化したい
これはネトゲ、特にパーティを組んで攻略するRPGタイプのゲームで思い当たる人が出て来るやつだ! 主人公に悲哀を感じますが、忘れ物をしたときの気持ち、わかりすぎてとてもつらい。全ストレージを漁りまくって見つからなかった時の衝撃とか。緊張してたとか、持ち込む薬品が多いと、漏れるものが出て来るじゃないですかぁ(いいわけ開始)。 随所に「笑うしかねえな!」というエピソードや言い回しが出て来るので、これは外で読むのは危険。 すごく笑えて面白いのでぜひご自宅で! おすすめです。
- 作品更新日:2023/3/15
- 投稿日:2023/3/19
七席目の少年
短い話の中に、重量級のテーマとストーリーが押し込められてる作品。 まだ少年だった彼はその七席目を手に入れたけれど。繁栄とは、栄誉とは。 硝煙の香りと、刹那的な世界観、殺伐とした社会でそれでも生きる青年が好きなら刺さりまくる事間違いなし。
- 作品更新日:2023/3/13
- 投稿日:2023/3/19
胸の厚みが足りないからと婚約破棄されました。
流行りの令嬢ものかと思われた導入部分から、怒涛の展開。 ビジュアルをイメージすると、画面から圧を感じてしまうほどに。コミカライズをして欲しいと読みながら思ってしまいました。 設定の濃さに対し、読後の後味は爽やか。主人公にもとても好感が持てます。 気軽に読める短編なのでぜひ、手に取って欲しい作品です。
- 作品更新日:2023/3/11
- 投稿日:2023/3/19
指先に宿る筋肉
人間の体も人生が記録されるかのように、同じ姿勢を続ける事でその仕事独特の歪みができたり、漫画家やアニメーターの手には同じ場所にタコが出来ているとか、使う場所が必要に応じて変形する事が。その変化は、その人の歩んで来た歴史の証拠かと思います。筋肉は変化する体の中で、使わないと衰えてしまう部分。そこに筋肉があるという事は、現役であるという証拠。 この作品では一人の芸術家との、ほんの一瞬の邂逅の出来事が描かれています。 作者の当時の心情、出会いの衝撃。そこで得られたぬくもりが、読んでいても伝わって来るよう。 これは今現在、行き詰っている人に得られるものがある作品に思います。
- 作品更新日:2023/3/11
- 投稿日:2023/3/19