うちの子転生！

　アバターは可愛いけどゲームバランスがちょっぴり残念な長寿MMORPG『NeCO』がサービス終了を迎えた日、眠りから目を覚ましたNeCOプレイヤー”メル”は自キャラクターの姿で異世界へ降り立っていた。猫耳と尻尾がついた自身の身体に戸惑う彼女であったが、偶然にもNeCOを一緒にプレイしていたフレンドと再会を果たし、新たな冒険の予感に胸を躍らせる。 　ただし本人のやる気とは裏腹に、メルのキャラクターはポンコツ系地雷ヒーラーだった。魔法使い系ジョブであるにも関わらず、筋力と素早さのステータスを重点的に上げため、肝心の回復魔法が残念な事になってしまっていたのである。それが原因で他プレイヤーのパーティに加入させて貰えず、NeCO内で友人が出来るまで延々とソロプレイを続けるしかなかったという悲しき過去を持つ。 　そんな彼女が愛情と時間を注ぎ込んで育て上げた「自慢のうちの子」は、一見すると幼い猫耳少女にしか見えない。だがその小さな身体には誰しもが目を疑う驚異的な能力が秘められていた。凄まじい威力の素殴りに加え、実世界だと便利すぎる回復魔法を駆使しつつ、さらにはNeCOで培った”理不尽な状況への対処法”を武器にして、メルは異世界を巡る旅へと踏み出す。