原罪のノクティス
最終更新:2011/11/28
作品紹介
2019年 日本 東京都心を中心として発生した大規模な地盤沈下。それは都心を巨大な大穴へと変え、何千の命を奈落へと吸い込んだ。 政府は安全の一時策として大穴を囲うように巨大な壁を築く。しかし、何年かければ総ての壁が築かれるのか? それさえも不明なままだが、それがその時にできる精一杯の対応策だった。 一年後、災を免れた学生たちに噂が飛び交う。「壁の向こうでは穴から出てきた怪物が死骸を貪り食っている」「未知のウィルスが発生し、ゾンビになった人間が何人も壁に縋りついている」 ただの噂だ。何の証拠もない。頭のいい現実主義者はそう言って鼻で笑う。―――――でも、もしかしたら……マイナス思考の人間は恐れを抱く。 そんなことが普通の時代。一人の学生が高校を中退した。若干伸びた黒髪に眼の下のクマが少し異彩を放っている以外は至って普通の少年。容姿も飛び抜けて良いわけでもない。 少年はいつもよりも断然早い時間、仕事場であるとあるファミリーレストランのチェーン店へと足を運び、一人黙々と開店の準備をする。店長不在の店で代理である少年の日常はいつも通りのはず――――――だった。 ――――――――――――幼馴染が亡くなったと知るまでは………
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