君に捧げる花の名は、
最終更新:2023/4/8
作品紹介
────あたしを忘れないで、アキ 過去の失恋がトラウマとなり人を傷つけることを恐れる塩瀬晶は、星花女子学園で自分に自信が持てない同級生・川蝉弥斗と出逢い、様々な人の協力を経て友人関係を築いてゆく。人と深く関わることを怖がりながらも穏やかで誠実な弥斗と出会いともに過ごす中で、晶は彼女に対する自分の感情が友情ではなくなってしまったことに気付く。やがて自分のなかに生まれた恋愛感情に戸惑いつつも、次第に弥斗に惹かれてゆく晶。しかし恋愛感情を自覚した矢先、ある人物が彼女の日常に忍び寄って──── *** 熱い夏の風にのって、花の香りが鼻腔を擽った。目の前に呆然と立っている彼女は酷く悲しそうな顔をして、その表情に結局最後まで君を困らせることしか出来なかったななんて自嘲する。それでもこうでもしなければ君をますます傷つけるだけなんだなんて頭の中で呟いた自分の声が、やけに言い訳めいていた。 どうしてと夏の風に紛れて彼女の細く澄んだ声が聞こえた。この関係の始まりはボクだったのに終わらせるのもボクなのかなんて、どうにもならないことを考えてしまう。 ボクは「ごめんね」と呟いて彼女に向かって笑いかける。彼女の目に映る自分が酷い人間であるようにと願いながら、何度も何度も練習してやっと上手に言えるようになったその言葉をゆっくりと舌先にのせて出来るだけ冷たく聞こえるように呟いた。 「────ボクは、許されたらいけなかったんだ」 *** 主催:楠富つかさ様、星花女子プロジェクト 協力:星花女子学園、星花女子学園写真部、園芸部、空の宮市 キャラクター原案:桜ノ夜月(塩瀬晶)、今際ヨモ様(川蝉 弥斗様考案) 星花女子プロジェクト概要:架空都市S県空の宮市に建つ中高一貫型の私立女子校「私立星花女子学園」を舞台とする世界観共有日常系学園百合小説企画の第7期参加作品。11弾まで開催中(2021年8月現在) ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません ※不定期土曜更新(時々日曜更新)
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