おきつねさま、幾久しく【神様を孕ませた僕が、如何にしてその責任を全うするか】
最終更新:2020/7/31
作品紹介
彼女の名前はミコ様。 本当はもう少し長くて威厳に溢れる名前をしているんだけど、ミコ様って呼ぶ方が可愛いし、彼女にとっても似合うから僕はそう呼んでいる。 誰にも知られずにひっそりと廃れていく山奥の社で、存外に俗に塗れて暮らしている彼女だけれど………こう見えても歴とした狐の神様。 つまりはお稲荷様だ。 小さな僕を見つけ、保護し護ってくれた彼女に僕は当然の結果として惚れ込んでいて──つい最近お互いの想いを打ち明けて、身も心も重ね合ったばかり。 それはもう、ケモノのごとく交わりあい、愛し愛されイチャイチャと過ごして来たのだけれど。 やっぱりと言うべきか、当たり前だと言うべきか。 ミコ様は僕の子を孕んでしまった。 いや、『しまった』と言う言葉は不適切だろう。 愛しい愛しい僕のミコ様のお腹の中に、僕らの愛が実ったのだ。 当然僕は喜んでいる。あんまり感情表現が得意じゃないから勘違いされるけど、こう見えてとても興奮しているし喜んでいるんだ。本当だ。 そんな僕らは、人間と神様と言う関係である以上様々な障害を抱えている。 それは生きていく時間であったり、俗世との繋がりだったりと、考えるだけでも面倒なモノがどっさりだ。 だけど僕はくじけない。 愛する妻と生まれくる子供のために、僕は全力で責任を全うするだけだ。 これはそんな僕らの慌ただしくも退屈しない、幸せな毎日の物語。 僕が人間から…………『神様』へと至る、数年間の物語。 もしアナタがお暇ならば、どうか僕らの惚気話に付き合って欲しい。 え、ただの自慢だけど?
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