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作:武州人也

サキュバスネード

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未評価

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最終更新:2021/6/20

作品紹介

ニューヨークに大型ハリケーン「ギャレス」が迫る中、とある一人の男はサキュバスを呼び出す召喚儀式を執り行っていた。儀式は成功するが、直後に男はハリケーン被害によって死亡。残された魔法陣から次々と召喚されたサキュバスは、竜巻に巻き上げられ飛び散ってゆく…… その頃、富豪一家に生まれた金髪碧眼の美青年メイスン・タグチは、家を飛び出し私立探偵を営んでいた。だが仕事はなく、テナント料を払えなくなったメイスンは、彼の美貌に目をつけた女社長に資金援助の見返りとして若い肉体を貪られていた。 この作品は「アタック・オブ・ザ・キラー・ダイコンhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054900709539」 「アカピッピミシミシガメVSアヘガオザリガニhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054917464067」 「ニュースペーパー・ジョーズ〜〜新聞鮫〜〜https://kakuyomu.jp/works/1177354054918371616」と世界観、登場人物を共有しておりますが未読でも差支えありません

現代ファンタジーサキュバス淫魔トンチキ金髪美男子長髪美男子

評価・レビュー

タイトル+キャッチを目にした瞬間のときめき、忘れない

 突如ニューヨークを襲った未曾有の危機、大量のサキュバスを含んだ巨大ハリケーンと、それに立ち向かう男たちの物語。  混ぜるまでもなく危険物だったはずのコメディを、さらに混ぜるな危険のコメディにしてしまった恐るべき作品です。ていうか暴力。こんなの発想力を凶器にした殺人だと思います。  緊迫しているはずのドラマチックな状況に、でも明らかに場違いな〝サキュバス〟の一語を混ぜるだけで、もういろいろどうしようもないことに。いやおそらくオマージュ元と思われる映画の時点ですでにどうしようもないのですが(サメの竜巻)、でもそのどうしようもなさをさらに上書き・倍増してくるこの発想。だって元が完全なインパクトの塊なのに、それに押し負けない出力という時点で相当な異常事態ですよ……こんなの思いついた時点でもう勝っている……。  いや本当すごいです。おそらく『パロディ』と言っていいくらいにネタ元を連想させるタイトル(及び設定)ではあるのですが、でもその魅力や面白み自体はパロディのそれではないんです。作品外の何かに依存しない、独立した作品としての面白さ。逆に言うと『独立してるのに綺麗に被せている』という、ある意味矛盾したことを同時にやってのけているのがすでにすごい。  お話の内容は徹底したコメディで、頭を空っぽにして楽しめます。わかりやすさと勢いがあって、その辺りは下敷きとしたモチーフ、B級サメパニック映画のそれをそのまま再現しているような趣を感じるのがとても好き。ジェットコースターのように進行していくスリリングな状況を、ただそのまま(そして細かいあれやこれやに笑いながら)楽しめばいい作品だと思うのですけれど、でも同時に意外としっかりした人間ドラマが描かれていたりするところも面白かったです。  主人公であるメイスン・タグチの来歴や境遇、そしてそこに生じる苦悩や葛藤など。それが本編の活躍を経て解決あるいは前進するなどして、つまりよく見るとしっかり物語しているのだから侮れません。バーバラの存在や父との確執、そしてマークに対する感情の変化等、むしろ分量の割にはドラマが多いくらいなのだからまったく恐ろしい話。  とまあ、すごいところや好きなところ、そしてコメディとしての笑いどころはいくらでもあるのですが。中でも一番好きなのは——若干ネタバレになってしまいますが、このお話のラスボスにあたる存在です。ある意味どんでん返しとも言える衝撃の造形(※場合によっては「やっぱり!」あるいは「待ってた!」かもしれません)に加えて、今までの淫魔に比べて破格の扱い。いやむしろその「今まで」の方が軽すぎるのですけれど、でも実際ハリケーンの中に何匹でもいる以上はそりゃ大安売りにもなるよね、というこの無常感。笑いました。それもこの笑ったという感覚に、謎の爽快感がついてくるような不思議な面白み。  凄かったです。心を鷲掴みにして離さない強烈なインパクトと、その傍らで丁寧に綴られる人間ドラマ。にもかかわらず『B級』っぽさを失わない、しっかりした芯のある作品でした。

5.0

和田島イサキ