復讐ものではないのだが。
スラムで暮らす主人公が、彼にだけ見える謎多き美女ナビゲーターと出会い成り上がっていく物語。
世界観やキャラクター造形がしっかり描かれていて全くブレない。戦闘描写も非常に詳細で展開も熱い。
主人公の性格も一貫していて、親しくなった相手でも心の底から信頼することはなく命を預けるのは相棒のナビゲーターだけ。しかしナビゲーター含め登場人物にはそれぞれ思惑があり底が見えない。
主人公視点で見ると殺伐とした世界を必死に生き抜いているだけなのだが、それを取り巻く周囲の人間関係の様相は読者視点で見ると段々チートハーレムじみていく。
主人公が生まれ持った特殊能力は世界でも有数のチートであり、それを狙う巨大な権力から隠れたり。ハーレムパーティーを従えた正義厨イケメン勇者に誤解されて敵対したり。
有能な美女はみんな主人公側で、勇者をチヤホヤする奴らは無能に描かれているところがご都合主義だが、ざまぁ展開が好きなら期待していい。自分はそういうのをメインにしているとあらかじめ分かっている話を読むときはいいが、この作品ではそこが主軸ではないのにあまりにもご都合主義な展開になったのでうんざりした。
ただそれを差し引いても非常に面白い作品だと思う。
登録:2021/8/12 18:25
更新:2021/8/12 18:24