人は追い詰められたときにこそ、真の姿を見せるものなのかもしれません。
その姿は自分も知らないもので、果てしない残酷さを持っていたりして、知りえたところでそのことに向き合えないかもしれません。
人の醜さ、残酷さを突き詰めていく先に、ある種の美しさが花開く。そんなことを考えさせられました。
物語の主人公、人の体に犬の顔をもつコボルトのハインは間違いなく強く経験も申し分ない。でも心にある危うさ、敵の精神を削るような対応にドキドキしっぱなしでした。
一緒に行動を共にするルッサオもクセが強く、二面性が極端に振っています。それに喋る犬のリタが加わり、一癖も二癖もあるメンバーが周囲を巻き込み織りなす物語は、人の様々な感情を極限まで見せてくれます。
タイトルの『Ⅰ』が示す通り物語は始まったばかり。まだまだ謎は多く、これからの展開に期待しつつ『Ⅱ』へ向かって私は読み進めていきます。
残酷な描写もあり、読み手を選ぶかもしれません。でも刺さる人にはこの世界感は間違いなく刺さると思います。まずは一度覗いてみませんか?
登録:2021/10/10 22:24
更新:2021/10/10 22:23