ルヴァルフェンサ　遺石蒐集家

　魔法と魔術（類似しているけれど別個のものなのですが、ストーリーの本筋とは直接関わらないため詳しくは語られません）がある世界で起こる、残酷な連続殺人。殺人犯の目的は、人の体内にできる、魔力の結晶である「魔石」を奪うこと。世界でも最高峰の魔術の使い手たちが次々と殺され、しかも、物理的な証拠は浄化魔法で消され、魔術を用いた痕跡も見当たらない、被害者たちが残す意味深なダイイングメッセージ、次に狙われるのは？

　この殺人事件に挑むのは、自身は魔術を使えない少年、エテン。彼を見守る優しい師匠と、密かに思いを寄せている師匠の娘、ファロットと共に連続殺人鬼ルヴァルフェンサを追い詰める。疑い始めると全てが怪しく見えてくる。エテンがたどり着いた真実とは――？

　ファンタジー世界で起こる殺人事件を描いた本格的なサスペンスです。事件の行く末にも非常にハラハラさせられる一方、疑心暗鬼の日々の中で時おり語られる、エテンのファロットに対する恋心が非常に微笑ましいです。ぜひお読みください。