平成30年。渋谷のスクランブル交差点で27人の犠牲者を出した痛ましき事件。
犯人は20代の男性。現場に駆けつけた警官によって現行犯逮捕される。
動機は不明、凶器は素手……。
衝撃的な事件で始まる物語。
主人公の『奥山情門』はこの事件の犯人である。だが犯行の記憶はない……。
刑事の厳しい取り調べの中、現れる公安第五課の『天羽』。彼から告げられる『鬼』の存在。
奥山の身に起きた驚愕の真実、明らかになってく未知の存在。物語は序盤から衝撃を与え続けてきます。
丁重な文で書かれる物語は、迫力ある戦闘に躍動感を、悲劇にはどこまでも残酷さを、非現実に身を置くことになった者たちが持つ不安と、僅かな希望に揺れる心を表現していて鮮明に伝えてくれます。
敵のおぞましさ、迫力も然る事ながら、事件を解決に至るまでの考察、思考の描写は、身の危険が迫る極限状態での推理小説を読んでいるようで一番興奮しました。
おすすめの作品です!!
登録:2021/10/24 09:56
更新:2021/10/24 11:27