最後まで読んでみると、タイトルの意味がわかる。二度三度読むとさらに味わい深くなる。とても趣のある作品だなあと思いました。
しんどいことつらいことが重なると人は、自分の想いを自分のなかで抑えておくことができなくなりあふれ出してしまう。でもその気持ちはどこへいくのだろう。この物語は恋愛小説のかっこうをした母と娘の物語だ。
二人はとても対照的で、都度都度発散する母親とは違い、娘はぬいぐるみのジョジ―のなかに隠す。ジョジ―がしゃべりだすほどに。
手違いなのか、それともわざとなのか、もしくはファンタジーなのか、それは読者の判断にゆだねられているが、主人公は、ジョジ―をくれた男の子と再会する。そしてその間に母親がジョジ―の秘密を知る。
この対照的なシーンが、秀逸だ。
これは和解の物語だ。
母と娘が和解したのではない
母娘が同時に、自分以外の「世界」と和解したのだ。
できれば、僕のレビューを読んだ後、もう一度この作品を読んでほしいと思う。特に母親がジョジ―を洗おうとするシーンを。
そのあと、ジョジ―がもうしゃべらないということを、わざわざ書かない憎らしい演出を、味わってほしいと思う。
読めば読むほど、作家がかくしたいろいろなものが、みつかると思う。
なので、僕はきっと何度でも読み返す
登録:2021/12/18 01:58
更新:2021/12/18 09:26