この作品は単品でも読めるのですが、シリーズを通して読むと味わいが深まって大変よろしくて、ぜひとも「死神の共謀者」を読んで死神と主人公の凪との関係を知った上で「いつかまた奈落の底で会う君のために」で死神の過去を知ってから、本作にたどり着いていただきたいです。
凪はものすごい不幸体質ですが、父親を亡くした事をきっかけに命の危機レベルの不幸に見舞われるようになります。犯罪者に殺されかけるというのが主な危険ですが、大けがを負ったあたりで死神に助けられてるパターンが「共謀者」での死神と凪の関係。
このお話は死神の元にいる事に耐えかねた凪が逃げ出した後、新たな出会いと関係を築くお話になります。
鴨川千秋という作家と出会い、よくわからない微妙な距離感で二人は付き合っていくのですが、何故か彼といる間は凪から命の危機が遠のいていくという不思議な現象が。
凪の不幸の原因は何なのか、そしてその解決方法にたどり着けるか? というお話ですが、凪の死神への感情、死神の凪への感情、千秋の凪への感情、凪の千秋への感情など、3人の関係の距離感がとにかく良い! 今時ならエモいというべきでしょうか。
凪の事を想うと千秋との関係を深める方がいい、でも死神の気持ちを想うと凪とは死神との関係を深めて欲しいみたいな、くそどっちも捨てがたいという揺れが読者を襲う。
登場人物が全員男という事で、話の流れとしてボーイズラブの方向に行ってしまうのですが、でもそれも仕方なし! と思ってしまうのです。
登録:2021/12/22 17:39
更新:2021/12/22 17:34