誰しもが何かしらの加護を持つ世界でなにものからも加護を与えられなかった、プレイ済ゲームの悪役令嬢に転生したヒロイン。大好きな婚約者を殺したり自らが処刑される運命を避けようと、ゲーム知識を駆使しながら『死』が絡まないよう自分なりの生き方を模索する物語。
……だったはずなのだが。
途中まではよくある【両片想いすれ違いアリの育成系物語】で、ヒロインが育成により力をつけ真の加護の力を解放し、ゲームヒロインの暴走を止めて、婚約者の王子との誤解も解け大団円ハッピーエンド……になるのだと思っていた。
ヒロインとヒーローの両片想いっぷりは最初から描かれ続けていたため、ゲームヒロインがどれだけちょっかいをかけてこようと二人の関係は固いと思っていた。ので、ゲームヒロインは関係なく、二人目のヒーローが出てきてあっさりと彼にヒロインが奪われたときには「はあ?」となった。
無理矢理ではなくヒロインの同意はあったのだが、自分の家門や領地、大きくは国を救うため……という理由からの自己犠牲によるもので恋愛感情はなく。それでいいのかヒロイン……という展開の中、トントン拍子で二人目のヒーローとの婚約・結婚が進んでいき(この間、ゲームヒロイン自身に関してはスルー)、いよいよ結婚式当日。そこで大騒動が起こり、ヒロインが己のチートな加護を全力で発動させて騒動を捻じ伏せて物語は終了。
読み終えて「え? ここで終わり? 全然何も片付いてないのに?」とポカンとしてしまった。
結婚式の最中に二人目のヒーローに対して結婚できない宣言をしてしまい、その後どうするのか。
想い人たる一人目のヒーローとはどうなるのか。
問題を起こしまくりのゲームヒロインの存在と、その意義は。
ラスボスとなるはずのキャラが封じられていた本当の意味と、なぜラスボスになる予定だったのかの理由は。
ラスボス化する彼と、その兄である二人目のヒーローとの関係は。
結局、神獣とはなんだったのか。
……等々他にも色々と語られないまま完結とされてしまい、もやもやする感じだけが残った。
書籍版はハッピーエンドで終わらせているらしいので、そのように書けるのならWEB版の最後ももう少しどうにかならなかったのか……と思う。
登録:2022/3/15 15:51
更新:2022/4/9 18:46