主人公は異世界転移した女の子で、アイテムボックスこそチートなものの魔力など平均よりやや上程度、とてもチートではありません。まずやることは出てきた森の中で生活を整える、という人が苦手で恐い主人公ですが、衣服が駄目になる前にはなんとか頑張って人里に向かったところ、拾った女の子と恐怖に耐えながら会話したことでなんとか耐性もつき、代わりに交渉してもらうことでなんとか生活基盤も安定しました。
そしてその女の子と一緒に、アイテムボックスチートしつつ、職人気質な主人公の性格もでてきてモノづくりをしたり美味しいものを食べたりしながら気ままに旅をしていきます。
まず主人公が徹底して対人恐怖症なのですが、それがだんだん緩和されていきます。交渉役の女の子がいてくれたのはもちろんありますが、周りの人も実力が認められてからは優しい人が多く、恐がる主人公に無理強いする人はあまりでてきません。安心して主人公が精神的に成長していくのを見守ることができます。
もちろん悪人もいて闇もたくさんありますが、それらにも関わって主人公が少しずつ積極的に心を開いていくようになっていくのが微笑ましいです。
一貫して主人公視点であり、他の子が実はどう思っているのか、語られていないバックグラウンドなど、一切わからないようになっています。
ですがそれが逆に、主人公の淡々としながら未知の世界に向かっていく姿勢とあいまって、主人公と一緒にちょっと不安もありながら明日に向かって進んでいく気持ちで読めて、とても面白いです。
女の子同士で助け合いながら少しずつ信頼し、心を開いて一緒に旅をする。そんな話が好きな人にはお勧めです。
登録:2022/3/17 09:52
更新:2022/3/17 09:40