炎の国の王子アルベルトの元へ嫁いだ、雪の国の忌み子として幽閉されてきた王女セシルとの愛の物語。詳細はあらすじ参照。……なんですが。
もし。万が一。あらすじと第1話を読んで「ちょっと読みたいのとは違うな?」と思って回れ右しそうな方、いらっしゃったらちょっとだけ待ってほしい。騙されたと思ってまず3話まで読んでみてください。たぶん印象変わるから!
セシルの物語でもありますが、どちらかというとアルベルトの心情を深く掘り下げた物語となっています。アルベルトがセシルに向ける喜びの感情や苦しみの感情。どちらもが鮮明に表現されていて、読んでいて胸が締め付けられ続けました。といってもセシルの感情が軽んじられるわけでは全くなく、二人の心情が自然に交差して物語に入り込むことができます。
彼らの苦しみはセシルの想像を絶する過去からの悲劇によるものですが、その詳細は後半まで明かされません。焦れったくはあるかもしれませんが、無駄のない話の展開と、なによりこの世界に入り込んだかのように描かれる鮮やかな情景描写に目が離せなくなり、あっという間に読み進めてしまえます。魔法も描かれる世界ですが、それぞれの属性が効果的に使われ大切な要素ともなっています。
タグ閲覧必須ではありますが、あえてそこを無視してぜひ読んでみてほしい作品です。満足度の高い読書を楽しめるはず!
登録:2022/10/9 00:06
更新:2022/10/9 00:05