序章から、そのまま風景が目に浮かぶような漢字に埋め尽くされた圧倒的な表現に惹き込まれます。
硬質ですが、豊かな表現と心地よいリズムに、久しぶりに音楽を聞くように文章を読むだけでも心地よいと感じることができました。
一方で、中華風の世界を舞台に由霧という謎の瘴気や、どうやら泉が世界の中心で大きな役割を持っているらしいその世界観、謎めいた当主に、いまひとつ優柔不断ながらもだんだんとその本領を発揮する若者など、魅力的な登場人物たちが物語を彩ります。
圧倒的な筆力で語られる中華風ファンタジーの群像劇。彼らの行く末をぜひ最後まで見届けていただきたい一作です。
登録:2021/7/12 22:28
更新:2021/7/23 17:15