たった千四百字あまりの短いスケッチ。それも、何気ない日常のワンシーンを描いただけのもの。それが、欧州の、小品だが美しい芸術映画を眺めるような感覚に私を陥らせる。ごく微かな断片としてしか語られない、流れる人生を私の中に滑り込ませてくる。
音が違う。光の匂いが違う。作品のもつ空気がまるで違う。この不思議な感覚を正確にあらわす言葉を、私は持たない。そのことが、今、ひどく歯がゆい。
幻想のうつくしさともまた違う、リアルを写すうつくしさを、是非味わってみて欲しい。
登録:2021/7/16 20:10
更新:2021/7/23 17:15