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届かない抵抗、抜けだせない恐怖。

5.0
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 彼女には、消し去りたい過ちと、失いたくない宝物があった。

 

 DV被害者の女性がタイムリープして物語は始まる。眼前には魅力的な恋人だった頃の若い夫の姿。

 物語を彩るのは、鮮烈な描写の生々しさだ。

 指先から乳房の張りまでの容赦ない内省。刻印された恐怖への心情描写のリアリティ。

 作者の瞳の解像度の高さには賞賛を惜しまない。

 まず、夫の卑劣さを描き出すに筆致に圧倒され、視野狭窄していく女性の懊悩に対する解像度の高さに唸らされる。

 抑圧に晒された人間の諦観を学習性無力感と呼ぶが、可能性を得た希望と無力感の綱引き。

 人間の相反する価値観の鬩ぎ合いを見事な筆致で描き出している。

 

 パンドラの匣の底には、希望が残されていた。厄災の匣になぜ希望が入っていたのか? 一説では、希望こそ最大の厄災だからだという。

 主人公も、希望に縋って二度目の人生を繰り返す。その終着点を見届けて頂きたい。

竹尾練治

登録:2021/7/10 00:59

更新:2021/7/23 17:15

こちらは竹尾練治さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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竹尾練治