ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

検索条件

ジャンル:ファンタジー

Page65

条件をリセット
詳細条件で探す

天使が微睡む異世界で

異世界に召喚された主人公の、死のループを抜けた先にある未来とは?

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー ある日突然、異世界召喚された主人公。召喚者、召喚目的共に不明。異世界の街にポンッと捨てられたような状態だった。そんな彼が奴隷商である少女を引き取ったことをターニングポイントに、死のループに巻き込まれていく。そう、彼のチートスキルは『時間遡行』だったのである。知恵を働かせ、予測を立て、戦略を立てた上で協力者を導き出し、この死のループに立ち向かう主人公。果たしてその結末とは……? 【物語の始まりは】 廃城での少女による、意味深な言葉から始まっていく。本編に入ると主人公である少年の視点へと変わる。全く知らない場所で、呆然と立ち尽くす彼。一体彼の身に何が起きたというのだろうか? 【舞台や世界観、方向性】 ・主人公が飛ばされた場所は、奴隷制度がある世界。 ・明晰夢とは? 自分が夢を見ているのだと認識したり、コントロールできる状態を指す(web調べ) ・時間遡行とは? タイムトラベルのこと。 ・カタルシスとは? 心理学における、浄化および、排他のこと。(詳しくは辞書でどうぞ) ・主人公の能力は『時間遡行』のみ。身体能力は現実世界のまま。つまり頭脳、戦略で危機を乗り越えなければならない。シナリオ系のアドベンチャーゲームをしている感覚を味わうことができる。 【主人公と登場人物について】 主人公は現代より異世界に召喚された少年。 異世界に移る方法は大きく分けて三つだと思う。転生、転移、召喚である。彼が”異世界召喚”されたのではないか? と推測に至るまで少し間がある。というのも、”召喚”に良く見られる”召喚者”の姿が見受けられなかっためではないだろうか? その為、初めは明晰夢だと判断している。 それが”異世界召喚”されたのではないかと推測に至っても、それは限りなく正解に近い推測に留まっているのはやはり、決定打となる”召喚者”に遭遇してないからではないかと想像する。 この物語にはよく出てくる数人の少女がいるが、彼女たちの中には奴隷もいる。しかし主人公は現代社会からやってきた為、その風習(制度)に馴染むことはできない。良識的な人物。しかし、彼女たちにとっては当たり前の日常と化しているのか、主人公を変わった人と評価している印象。 【物語について】 部屋で寝ていたはずの主人公は、目が覚めたら全く別世界にいた。みたこともない街に途方に暮れるも、冷静な分析の結果どうやら”異世界召喚”されたのではないか? という結果に辿り着く。そして現在の状況を確認するも、ルームウエアのような恰好と所持品は圏外になっているスマホのみ。靴さえ履いていなかった。絶望的な彼に声をかけてくれたのはエルフの少女。彼は彼女人探しに、何とか同行することに成功する。 その後、奴隷商で廃棄されようとしていた兎耳の少女と出逢う。エルフの探し人は見つからなかったものの、途中で別れ宿で一夜を過ごし、最初の一日が終わるはずだった。しかし主人公たちは、寝込みを襲われ殺されしまう。ここで終わりかと思いきや次に目が覚めた時、数時間前に戻っていたのだ。自分を召喚したした人物が誰なのか分からず、召喚された理由もわからないまま、主人公は自分の行動で前回との変化が起きていることに気づく。これで死を回避できるかと思いきや、またもや殺されてしまうのであった。だが、またもや時間が戻っていた。自分のチート能力が”時間遡行”だと把握する主人公。彼はこの先どう行動していくのだろうか? 【良い点(箇条書き)】 ・ルートが変わるたびに少しづつ謎が解けていく。 ・主人公以外の視点からも物語が紡がれているので、深みを感じる。 ・それぞれの境遇が違い、複雑に絡み合っているのが面白い。 ・単にルートが変わると主人公の運命が変わるというわけではなく、互いが干渉し合い物語に変化をきたすというのが面白い。 ・頭脳戦。どうしたら攻略できるのか? 主人公が手探りではあるが、道を探そうと色々と思考している部分に面白味がある。 ・ただ生き残るのではなく主人公は、ある者を守ることも目的としている。 【備考(補足)】13話まで拝読 【見どころ】 この物語はざっくりと説明すると、”無事に生き残る”ルートを探すというものである。それは”死”のループから抜け出すということ。しかし、そう簡単に抜け出せるわけではない。そして死に方も生半可なものではなく、トラウマレベルのものである。主人公が必死になるのが頷ける物語。 物語は、主人公が異世界に召喚されたことから始まっていく。ただ、命を狙われているのは主人公ではない。巻き込まれて惨殺されるのだ。召喚された目的、召喚者は読了部分では不明ではあるが、ある人物と遭遇し共に行動することがターニングポイント。死が訪れると、数時間前まで時間が戻り、ループする。ここで面白いのは、経験したことにより相手への反応が変わること。自分のその時の選択により、変化が訪れること。ただし、変わらない部分も存在する。返答にとっては、相手の意外な部分を知ることもでき、思わず笑ってしまうエピソードも存在する。 そしてこの物語は、最初の死のループから抜け出せたといってもそこで終わりではない。正しいルートを自らの手で導き出し、先へ進まなければならないのだ。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?  どんなラストが待ち受けているのか、その目で是非確かめて見てくださいね。 お奨めです。

5.0
0
crazy's7

召喚に巻き込まれましたが、せっかくなので異世界を楽しみたいと思います

タイトルに偽りなし!

主人公は聖女召喚に巻き込まれた中年女性、特技なし、容姿普通、肉付きやや良し。 神様の3つの力を授けてくれる特典の内1つを使って元の世界の家族の幸せを願うような、そんな平凡だけれど優しい人。思いやりと情が深くてお人好しで食いしん坊で心根が馬鹿みたい真っ直ぐで不器用で、読む程に彼女が好きになる。好きになれたら、彼女のトラブル続きの異世界旅行記はきっと楽しい。逆だとずっと彼女視点で物語が続く分、辛いかも。 初っぱなからのトラブル連続、色々能力は授かったけれど上手く使いこなせない、体力・運動能力幼児並、頭も良くない(正し運だけはスーパー良い)主人公が、ない頭を振り絞って見知らぬ世界を精一杯生き抜こうとする、そんな物語だった。 その世界での平凡な容姿に姿を変えて下さいという、割と見ない願い事をしたり、やることなすこと裏目に出たり、本当に読んでいて飽きない。 多少残酷なシーンを含むものの、メイン登場人物がみんな良い人なので読んでいて辛い悲しい気持ちにはあまりならず、サクサク先に進めるのも良かった。 初期に「うーん?」ってなる人物の行動理由などは後半で明かされる。 長編で、これだけのボリュームのある者を最後まできちんと風呂敷畳んで書き切って下さった作者さまに何よりも感謝したい。最後の方の怒濤のあれこれ、読後感が最高でした。

5.0
0
ゆうき

棺桶少女

いろいろと想像力を搔き立てられる物語である。

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと) あらすじでは予想はつかないが、 誰の棺桶なのか? 何故、引きずっているのか? どこへ行くのか? 謎が多そうである。気になるのは”行く先々で出会う人々は少女に何を残すのか。”の部分。救われるのは棺桶を引きずっている少女ではなく、周りなのかもしれない。 2 物語は(どのように始まっていくのか?) 車輪のついた棺桶を引きずって歩いているところから始まっていく。当然のことながら、少女には不釣り合いな荷物(?)である。人目を惹くのだろう、好奇心丸出しのような露店の人物に話しかけられる。棺桶なのだから、当然人が入っているかこれから使用することになるか、どちらかだとは思うが人間とは好奇心からなかなか逃れられないもの。中身が気になるのは、登場人物だけでなく読者も同じだと思われる。果たして、中身は? 3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。 ・少しづつ明かされていくのが主人公の過去なのか? それとも事実ではないのか判別し辛く、ミステリアスである。 ・初めは淡々と進んでいくように感じるが、目的地に着くまでの間に色んな出来事があり、そこには優しい人もいれば親切な人、悪人などもいる。 ・ラストがどうなるのか凄く気になる物語。 ・山場からラストへの繋がり(流れ)が素敵である。 4 作品の感想 初めはどうなるのか全く予想がつかないが、ちょっとずつ秘密が明かされていく。ただその話が本当なのか作り話なのか分からない部分もあり、ラストに分かっていく。構成がとても巧いなと感じた。特に騎士からラストにかけては、ロマンチックですらある。こうだと明確にしているわけではないのに、謎がちゃんと明かされていくというのはとても面白いと感じた。 5 物語のその先を想像して この物語はとても想像力を掻き立てる。その材料は物語のあちこちに散りばめられていて、読者の想像に任せるという部分も感じられるのだ。 二人はこの後仲睦まじく暮らしたのではないか? と想像する。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? おススメです。

5.0
0
crazy's7

週末は異世界で賢者やってます。

これぞ真の賢者! 読書とはなにかについても考えさせられる名作。

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと) 主人公は元青年海外協力隊で週末だけ賢者。平日は何をしている人なのかとても気になる。もし平日に働いているとしたら、週末の異世界はスポーツ感覚なのだろうか? それとも自分の魔法で疲れを回復したりするのだろうか? いろいろと想像力を掻き立てられる設定だなと感じた。さて真実は?! 2 物語は(どのように始まっていくのか?) 最近の異世界ワープ事情についてから始まっていく。主人公は現在のアパートへ引っ越したことをきっかけに、週末だけ異世界へ行けることになった。その国では賢者と呼ばれるようになるのだが、それはファンタジーなどでよくイメージされる魔法や回復などをする賢者ではなく、本来の意味の賢者だったのだ。まだ科学が進歩していない場所で、彼は自身の経験を元に彼らに文明を授けていく。現代人の自分たちも彼らと一緒に学べる物語である。 3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。 ・青年海外協力隊が後進国でどんなことをしているのか、勉強になる。 ・文明の進んでいない国で、人はどのように信頼を得ていくのかわかりやすい。 ・見たことのないもの、知らないもの、新しいものを信用するのは、自分たちがそういう国で生まれ育ったからだということに気づく。 ・先のことを考えられる、想像できるのは教育に賜物なのだということに気づく。以前アメリカで”電子レンジでネコを乾かした”や”米を洗剤で洗う人がいる”という話を聞いて、頭は大丈夫なのだろうか? と感じたことがあるが常識とは経験や教育によるものなのだなと思った。 ・単に思い付きで教えていくのではなく、彼の環境を見ながら優先順位が決まっていくような流れが良いなと思った。実際にベットを使って感じたことなど。 ・ホームセンター好きにはわかる、ホームセンターの便利さと素晴らしさ。 ・国家機密がてんこ盛り。 ・チートの能力を持っていたものが意外。 4 作品の感想 まるで体験記。いや、主人公の体験記なのだろう。 初めはある一つの知識を授けるところから始まり、国が少しづつ変化を遂げていく。知識を授けるにしても、ただ便利なだけでは人の興味を惹くのは難しいのだなと感じた。体験して”必要”かどうか知ること、それが人の心を動かしていく。ただ便利になっていくだけではなく、段階が必要というのも勉強になった。そして、日本がどれだけ恵まれた国であるのかということも。 人を助けるには、まず自分が助けるだけの力や知識が必要となる。主人公は彼らに何が必要で、何を教えてあげるべきなのかを吟味している。それは経験によるものでもある。自分たちの生活がどれほど便利なのかを改めて考えさせられる物語だなと感じた。 5 物語のその先を想像して これからがあの国にとってのスタートなのだと思う。自分たちの力で発展していくのか、それとも衰退していくのか。賢者から得た知識を得て、これから皆で頑張っていくのだろうと想像する。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? おススメです。

5.0
0
crazy's7

侍、刀、そして魂。—時代劇風冒険活劇ファンタジー/Samurai, Sword and Souls—

作者の拘りを随所に感じる、ファンタジーと時代劇が融合した冒険活劇。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 二人のお供を連れていたはずのヒロインは、一人で追手と対峙する羽目になっていた。一体何があってこうなったのか? 全ては彼らに出会う前の経緯から始まっていく。彼女の旅の目的とは? 何故追われることになったのだろうか? 備考・このレビューでは主人公ではなくヒロインと記載しています。 【物語の始まりは】 ある少女が追手から逃げていた。連れていたはずの二人のお供が今は傍に居ない。一体どうしてこうなったのか? こうなった発端から語られていくようだ。ここに至るまで、一体何があったのだろうか。 【舞台や世界観、方向性】 天下泰平の世において、何故冒険者が産まれたのか。その理由が明かされるところから始まっていく。 用語・補足 (個人的に検索した言葉) 有象無象……(意味)世にたくさんある、くだらないもの。 しかつめらし・い【鹿爪】…… 堅苦しくまじめくさった感じ。 しゅっぽん【出奔】……行方をくらますこと。 【主人公と登場人物について】 ヒロインと後に一緒に旅をする二人の男性の三人組。群像劇。 名前や素性が明らかになるのは一章の六話。分かり辛い部分を解説。 ヒロイン:ミト……少年のフリをしている少女。(冒頭の方は少女、途中から少年と表記されている為、同一人物と分かり辛いが六話で明かされる)子供と言われると頭に血がのぼるようである。お供を二人連れ、冒険中。 侍……剣士ジュウベエ  殴り術士……ハンゾウ (あらすじにある、役職と六話で出てくる名前) 【物語について】 恐らく、1ページの最初の部分がプロローグとなる。この時点ではヒロインを少女と表記しており、続く部分には少年と切り替わっているが、少女が追われることとなった発端から始まっていくのではないかと思われる。少年のフリをしていたが、六話にて素性を明かすことになる。一方、侍視点からも物語は進んでいく。ヒロインは仲間探しをしようとしていることから、この侍が仲間になるのではないだろうか? 侍が飯屋で食事をしようとしていると、ある胡散臭い男から声をかけられる。彼との話の最中に飛び込んできたのが、ヒロインであった。この後、三人は追手から逃れたのちにそれぞれ名乗ることになる。どうやらそれぞれ事情がありそうなのだが? 【良い点(箇条書き)】 ・表現の仕方、言葉の選び方に時代らしさを醸し出している。しかしながら会話部分(口調)は現代風なので分かりやすいと感じる。 ・地の文の書き方に拘りを感じた。 ・あらすじにある他種族が、物語にどんな風に関わって来るのか謎であったが、その部分が明かされると意外性を感じた。 ・旅の雰囲気が出ており、旅情を感じる部分もある。 ・それぞれの過去について謎の部分があり、興味深い。ヒロインの見た夢の謎も気になる。 【備考(補足)】19話まで拝読 【見どころ】 一章ではヒロインとお供の二人が一緒に旅をすることになった経緯が語られている。三人は元は見知らぬ他人であり、ある飯屋で初めて会うことになる。しかしその裏舞台では、一人はヒロインのことを知っており、もう一人は初対面である。それぞれに事情があり、後に一緒に旅をすることになるのだ。三人は一緒に旅をしてはいるものの、それぞれ目的が異なる。利害の一致の部分もあるという印象。 タイトルの”時代劇風”がどのように作品に織り込まれているのか。 これは作品自体にかなりこだわりを感じる。意図した演出なのだろうとは思うが、ナレーション風に感じる部分や、瓦版を読み上げるように感じる部分など。会話は分かりやすい現代文も交えてはいるが、表現や言葉選びに時代物である雰囲気を醸し出している。戦いのシーンなども時代劇を思い起こさせるような演出を感じた。随所に作者の拘りが詰まった作品である。 そこに異世界、幻想の住人を巧く取り入れた物語であると感じる。二章にて、それぞれの境遇や過去なども明かされていき、奥行きが出てくる。一回に全てが明かされていくわけではないので、謎の部分について早く知りたいなと感じさせる。三人の旅(冒険)はコミカルかつ軽快なやり取りで、明るい雰囲気で進んでいくが、それぞれの過去には暗い部分もありそうである。 果たしてヒロインはこの旅の目的を無事、果たすことができるのだろうか。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy's7

彼は、英雄とは呼ばれずに

これは人間の本質について考えさせられる、ヒューマンドラマだ!

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 平和だと思われた待ちで突如起こった、事件。初めは幻想や見間違いだと思われたが第二、第三の事件が起き自警団が動き出す。解決はするものの、それは一筋縄ではいかなかった。事件の後に起きた出来事と、真相とは? 【物語の始まりは】 ある一人の人物の想いから始まり、ある料理店へと場面が移っていく。しかしその店は、普段ならこの時間に開いていることはなかった。というのも、ある親子が何者かに襲われる事件がこの街で起きたからである。彼らを襲ったのは化け物というが、厳重な警備が為されているこの街でそのような事件が起きるはずがないと誰もが思っていた。だが第二、第三の事件が勃発。放っておけないと自警団も動き出したのだ。そんな経緯もあり、この店は普段なら開いていないはずの時間に、店を開けていたのである。果たして、事件の真相とは? 【舞台や世界観、方向性】 かつては冒険者というものが存在しており、未開の地や化け物と戦うものなどがいた。しかしそれから100年後の物語であり、伝承のみとなっている。 今でも魔物は存在する世界。 この物語での冒険者とは、未開の地などを旅し、冒険をしながら生計を立てる人間を指す。100年前には未開の地や伝説や伝承となる魔物も存在したようだが、その頃と比べると平和。その為かジェノの冒険者仲間の彼女が、冒険者となるまでは、街の外にはまだ魔物が存在することは知らなかったように感じる。 【主人公と登場人物について】 この物語は群像劇。 料理店は三人で切り盛りしており、ジェノという少年は料理屋のウエイターであり、冒険者でもあるようだ。物語はジェノの仲間の冒険者である女性の視点から始まり、ある自警団の男性の視点へと変わっていく。 自警団に所属する一人の少年(レイ)と冒険者仲間である女性(イルリア)の二人の視点から、一人の少年(ジェノ)について語られていく。 彼女からみるとジェノは、自分を含め人に心配をさせている印象。しかし自警団のレイの視点では、”何を考えているのか分からない”愛想のない人物という印象を持っている。タイトルにある”彼は、英雄とは呼ばれずに ”の彼が誰を指しているのか現時点(27ページ)では推測の域を出ないが、二人の視点から語られる冒険者、ジェノのことではないだろうか? 【物語について】 ジェノの冒険者仲間の女性は、冒険者という職に対して良く思っていなかった。というのも冒険者とは未開の地などを旅し、冒険をしながら生計を立てる人間ではあるが、冒険者の英雄と名高い人物が生きていた頃から100年がたっており、様々な古代の魔法品や財宝が眠る神殿などは、この数百年でそのほとんどが発掘され尽くしてしまったからである。 彼女にとって冒険者とは、”定職に就かずに叶いもしない夢を追っている馬鹿な人間というイメージ”だったからだ。しかしある事件が起き、そのイメージは変わったものの、良いイメージでないことは変わらなかった。 【良い点(箇条書き)】 ・女性の観点と男性の観点との違いが良いと思った。 この物語で描かれている一部の女性は感情的であり、物事の本質が見えていない。そして逆に、男性の一部は本質を見抜いている。人間というものに、リアリティを持たせていると感じた。男女の区別というよりは、どちらの考え方を持つかによって、どちら側に賛同できるか変わる物語だと感じた。 ・周りから理解されないジェノが不憫でならない。とても同情してしまう。物語が進むと、理解者もいるので、ホッとするが。 ・この物語で一番共感できるのはジェノだなと感じた。 ・それぞれの事情がある物語。誰が悪いとは言えない部分が複雑な気持ちにさせる。 ・ヒューマンドラマ部分が深い物語だと感じた。 【備考(補足)】27ページまで拝読 【見どころ】 この物語は英雄譚ではない。あらすじにも書いてはあるが、あえて言いたい。 魔物も存在し、一部先天性の素質をもった魔法使いも存在するファンタジー世界だが、ヒューマンドラマである。心を抉るような物語だと感じた。 モンスターと戦い、仲間と絆を築き、魔王と戦う。そういう所にスポットをあてているのではなく、登場人物たちが、それぞれ自分自身と向き合っていく物語であるという印象を受けた。 そこには他者に対する憎しみや嫉妬など負の感情が渦巻いており、理解されない者もいれば、一方的な感情を向ける者もいる。人間の負の部分をこれでもかと突き付けられているような気持ちになる作品だと感じた。 それぞれに事情があり、抱えているものもある。そして考え方の違いにより、いがみ合ったりすれ違ったりもする。そして他人から見るとエゴでしかない部分も存在する。しかし彼らは”そこに生きている”と感じられるほどに、読者の心を抉っていくのである。好感を持つ人物もいれば、嫌悪してしまう人物も存在する。綺麗ごとではないからこそだと思った。 登場人物それぞれの性格が分かりやすく、どうしてそういう言動なのか? それは後から語られ、真実が明かされていく。その真実から登場人物に同情を抱くか、共感するか、嫌悪していしまうかは読み手のこれまでの人生経験や、性格、考え方によると思う。読む人によって感じ方の分かれる作品である。人間について、深く考えさせらえる物語であると感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? おススメです。

5.0
0
crazy's7

超一流清掃用務員異世界転生譚。元暗殺者兼公爵令嬢側近従者転生後、前世記憶復活、清掃魂覚醒。周辺汚染物徹底清掃開始。異世界清掃黙示録。 ~咆哮、清掃魂~

前世の記憶を取り戻した主人公は、超一流の腕でありとあらゆる心の汚れを落とします!

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー 彼女の前世は伝説級の"超一流清掃用務員"?! 知らず知らずに異世界に転生し、アサシンとして生きていた主人公は、仕事に失敗し路頭にまよっていたところを、メイドとして雇われることになる。それから10年後。あることをきっかけに前世の記憶を取り戻す。戦闘服はメイド服。武器はお掃除道具。報連相は的確に! しかしお掃除するのは心の汚れ?! 【物語の始まりは】 ある公爵令嬢の側近としてメイドとして働いていた元アサシンの主人公が、前世の記憶を取り戻すことになった経緯から物語は始まっていく。彼女は自分の失敗(不注意いや不幸な事故?!)にて生を終えてしまったが、前世最期に呟いた願いは叶っていたようである。前世を思い出した彼女。まず初めに行ったことは報連相?! 【舞台や世界観、方向性】 異世界転生ものであり、あることをきっかけに前世の記憶が戻る。 前世は"伝説"と呼ばれるほどの"超一流清掃用務員"。現世では元アサシン(暗殺者)でありメイド。どれも”お掃除”に関係しているのは、偶然なのか?! それとも彼女の本能がその道を選んだのか? この世界では職業スキルによって、固有の”視るスキル”というものが備わるようだ。レベルによってもその能力に差があるようで、主人公は超一流の清掃用務員。果たしてその能力とは!(本編にて) 【主人公と登場人物について】 回想から入っていく。主人公は当時15歳であり、仕事に失敗し路頭に迷っていたアサシンであった。そんな彼女に声をかけてきたのは高貴な身分だと分かる5歳の少女。少女に気に入られ、彼女の父にメイドとして働かないかと誘われる。メイドとして働くことになった主人公だったが、使えていたお嬢様に異変が起きる。アサシンとして邪魔者を暗殺しろと言われた主人公だったが……それは前世を思い出すきっかけともなった。 【物語について】 各登場人物がマイペースなところが面白いと感じる物語。主人公は倫理や仕事の基本に従い我が道を貫き、対するお嬢様もまた自分の願望を貫こうとする。噛み合っていないところが笑いを誘う。 主人公の現世での使命は、人の穢れを掃除することのようだ。だが性格のせいか、それとも常識(異世界と前世)の不一致のせいか相手を怒らせてしまう。お掃除の仕方は普通だが斬新! そもそも掃除は人間以外に対して行なわれるものなので、対人となると斬新に感じるのだろう。登場人物たちは非常に真面目だが、それが笑いを誘う。痛快なコメディと言っても過言ではない。 恐らく相手を激昂させているのは、主人公の無自覚毒舌によるものなのではないだろうか? そこもまた面白いところである。 【良い点 (箇条書き)】 ・アサシン(暗殺=掃除)メイド、掃用務員と掃除繋がりであり、全部掃除繋がりであるが、それぞれの特性も活かされた物語である。 ・身近なことをモチーフにしており、想像しやすい。 ・心の汚れの具現化が、モンスターなどではなく汚れとして見えるというのが素朴な感じで良い。 ・下記にある注意書きが、まるで注意喚起の張り紙のようで物語にフィットしている。 ・報連相を笑いに変える斬新さ。 ・ルビ振りが面白い。 ・譲れないもの、それはメイド服 (笑) ・名前の付け方が……! 学園名を見ただけで笑いがこみあげる。 【備考 (補足)】13ページまで拝読 【見どころ】 まず名前の付け方がクリーン(お掃除)系統なのが面白い。主人公は掃除まみれといっていいほど、例え方清掃用品繋がりで笑ってしまう。ここまで掃除ネタで物語を拡げられるのが凄いと感じた。 物語の始まりは、暗く始まる。タイトルはぱっと見、漢文?! と疑ってしまうほどに漢字である。いろいろと度肝を抜かれる作品だ。 物語自体には繋がりがあるが、ショートショートのように読み進めることができるので、ちょっとした空き時間や気分転換におすすめの、コミカルで心の明るくなる物語だ。 主人公は元アサシンであり、ある公爵家に拾われメイドとして働くことになった。そしてあることをきっかけに自分が、前世が”超一流清掃用務員”であることを思い出す。この世界で彼女がお掃除するのは、心。心の汚れをお掃除していく話である。しかしながら、その汚れが何処に現れるかは人によるようで、場所により掃除の仕方も様々。 主人公は至って真面目なのだが、前世と現世での世界の常識などから、説明が大変なことも。報連相までも笑いに変えてしまう作品である。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? おススメです。

5.0
1
crazy's7

旋風のルスト ~逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方国境戦記~

これはまさに、”ライフ”に焦点のあてられた、主人公の成長の物語。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー それは内容に虚偽のある依頼を受けたことから始まっていく。戦闘が起きるはずのない依頼。彼女たちは隊長を失い、絶体絶命の危機に居た。自分たちは寄せ集めのメンバーであり、もちろんチームワークなどはない。相対するのは戦うことに慣れた盗賊団。生きて帰るためには、結束力と的確な判断力が必要とされた。暫定の隊長を任された主人公は、彼らと共に無事に帰還できるのか⁈ 【物語の始まりは】 戦闘の一場面から始まっていく。主人公たちは〝職業傭兵〟であり、今回の仕事は林業用の森林地帯の見回り。本来なら敵がでるはずはない。その為、誰でもできる仕事のはずであった。しかし予見はあったのだろう。傭兵の五つの階級の中の上から三番目にあたる人物に、直接指名が入っていたのだから。これは罠なのか? それとも策略か? 依頼内容に虚偽があった為、寄せ集めの彼らでは対処しきれない状況となってしまった。果たしてどう切り抜けるのか? 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 国独自の職業〝職業傭兵〟という職業(?)があり、軍人、市民義勇兵に続く三番目の存在。依頼の報酬として金銭を受け取り、仕事をする。階級などもある。上から三番目の階級は準1級。 民族固有の精霊科学アイテム〝精術武具〟というものが存在する。 主人公の成長の物語である。 【主人公と登場人物について】 この物語は主人公の成長が描かれた作品。 冒頭で戦闘が開始された直後、彼女たちは自分の置かれた状況を冷静に分析し、隊について辛らつな評価をしている。しかし隊長を喪い、暫定の隊長と認められた彼女にとって頼れるのは自分と一時的な仲間だけ。その場面でも冷静に分析をし、最小限の被害に抑えようとしていた主人公だったが、冒頭の印象とは異なる。 この物語では、主人公の微細な変化も表現しているように感じた。感情の起伏をあまり感じさせない冒頭に比べ、村に帰ったのちの心境など。 【物語について】 撤退を余儀なくされた彼らであったが、事態はそう甘くはなかった。等級準一級である隊長の指示により、主人公は9人で編成された彼らを先導することになる。しかし撤退の途中で隊長は被弾。彼をその場に残さなければならない状況に。皮肉にも、ここまでは纏まりのなかった彼らだったが気持ちが一つとなり、主人公は暫定の隊長として認められるということになる。 彼女たちはこの後、絶体絶命状態から正規軍に助けられることになるが、当初の”虚偽依頼問題”についても触れられている。単に傭兵として戦って……というだけの物語ではなく、問題に解決や状況の把握などにも触れている。戦闘が含まれる物語で、刑事もののように事件の解決とその後にまでスポットがあてられて描かれている物語は、珍しい印象。事件の背景について詳しく分かるため、厚みと奥行きを感じる物語でもあると感じた。 【良い点(箇条書き)】 ・物語として焦点のあてられている部分が斬新だと感じる。 通常、ファンタジー×戦闘ありという作品において、悪事が裁かれるのは多々見かける。それは商業やTVにおいても同じではあるが、依頼とそれらの関係について触れるというのは”ミステリーや刑事もの、探偵もの”などジャンルが多く、このタイプのものは珍しいと感じた。つまりこの物語で表現しているのは”生活”の部分でもあると、言えるのではないだろうか? ・さらっと描かれても不思議ではない部分に、テコ入れしている。 主人公達が何故傭兵をしているのか? これに対してのエピソードが、とても丁寧であると感じた。彼女たちは収入を得るために仕事をしている。もし報酬に不安があれば、その後の仕事自体が巧くいかなくなることもあるだろう。 その後どうなったのか? このことについて疑問を抱くのはジャンルに寄るだろうが、丁寧に描かれていることによって、彼女たちが”生きている”、”生活をしている”ということが、より強く感じられる。 ・主人公だけでなく、主人公によって周りも成長していく物語である。それだけこの世界で生きることが、過酷であるということだと感じた。 ・冒頭からのイメージとは違い、かなり主人公の生活に密着した物語。 バリバリの戦闘もの(息をつく暇もないほど、戦闘に次ぐ戦闘のような物語)が好きな人には物足りなさがあるかもしれないが、海外の友情ものドラマのようなライトさもあるので、逆にバリバリの戦闘ものでないものが読みたい人には好まれると感じた。(生活も感じられる作品が好きな人、という意味合い) 【備考(補足)】16ページ目まで拝読 【見どころ】 この物語での”ライフ”は少し読む前とは、イメージの違うものだと感じた。主人公はワンルームの部屋に住んでおり、17歳の少女である。過去に重いものを背負っており、そこから逃れ、自分らしく生きようとしている印象。しかし母は病にかかっており、その治療費も負担しなければならない。 魔法などが存在するファンタジーを舞台にする作品において、生活に密着し”生きる”ことに対してリアリティを追求した物語だと感じた。スポットをあてている部分がかなり斬新であり、これは筆者(自分)の偏見ではあるが”男性よりも女性”が好みそうな作品だと思った。 戦闘描写においても丁寧ではあるが、それよりも主人公の生活部分が際立ち、その方向性も既存の物語とは少し傾向が異なる印象を受けたからである。 野宿して戦って、砂や泥まみれの戦場、血なまぐさい描写が延々と続くというイメージの傭兵生活ではない。どちらかというと、貧乏なキャリアウーマンというイメージに近い。 その為、都会で貧乏暮らしをし”お金はないし、仕事を探さなければならない。どうしよう!”というような、誰もが一度は感じたことのありそうな感情も共有したり、共感できる部分もある。不思議なバランスの物語である。 読みやすく取っつきやすいという印象を持った。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 主人公がこの先、どのような人生を歩んで行くのか、その目で是非確かめてみてくださいね。おススメです。

5.0
0
crazy's7

最近の「いいね!」

小説家になろう恋愛連載:66話完結

【完結】セクハラ貴族にビンタしたら社交界を追放されたので、田舎で人生やり直します。~一方、そのころ王都では~

難アリ家庭から逃げた先で努力し幸せを掴む物語

親の歪んだ教育方針により世俗に疎くすれていないヒロインのため色々とおぼこいが、助けてもらった先の家で色々と教わり、『自分』を出せるようになっていく変わりようが良かった。こういう、若干テンションのおかしいヒロインは好き。 ヒーローも少々珍しいタイプで好ましかった。 さくさくとテンポ良く話が進むため、じれじれな恋愛ではあるがイラつくほどの長さではなくニマニマと過程を楽しめた。悪党が断罪されているのもよき。 軽めですっきりと読了できる作品だった。

小説家になろうコメディ短編完結

俺がパーティーから追放したひよこ鑑定士が、SSSランクになって復讐しにくるらしい

アイデアは面白い。

でも、ひよこ鑑定士、全然関係なかった。。。

小説家になろうヒューマンドラマ連載:88話完結

目的は生き延びること

展開は重めだが、『物語』として面白くて一気に読み終えた。 最終的にヒロインに想いを寄せる相手が、半分血のつながりのある義弟と、そうとは意図しないままヒロインを追い込んで、心と体に傷を負わせる原因を作った婚約者の王子の2人なのが、ああーーー……という気持ちに。 恋愛ものではないので、二人とヒロインがどうなるかは描写されないまま終わるが、個人的には義弟派。