かえるの王子さま
出てくる大人のキャラクターたちの言動には、んん? と引っかかってしまうのですが。 正体バレバレな「かえるの王子様」といい、わかっていて黙っている彼女といい、子どもたちのキャラクターがとてもほほえましく、読んでいて楽しい短編です。
- 作品更新日:2022/5/7
- 投稿日:2022/5/17
夜を歩く
クチナシと彼女の香り。ほわりと温かくなるような、どこかくすぐったい若い二人の夜の散歩。 微笑ましく、そっと眺めていたくなる、ひとときの恋の情景です。
- 作品更新日:2017/7/20
- 投稿日:2021/7/14
むつはなのくに
小人たちが雪の結晶を彫ってるなんて、上手な結晶は粉雪になって、形が悪いのや失敗したのは牡丹雪や霙になるなんて、どうしたら思いつくのでしょう。年に一度コンテストまで有って、一生懸命腕を磨いているなんて! 小人のスーの上に起きた事件には、読んでいて青くなりますが、最後はとてもかわいらしく、読み終わってほっこり心温まります。
- 作品更新日:2018/8/24
- 投稿日:2021/7/14
私のお家
何げないのです。普通の語り口なのです。たぶん、ただ日常で遭ったことを、誇張もなく語ってらっしゃるだけなのです。 でも、語られている内容は怖い。なんとも言えず怖いのです。 案外気付いていないだけで、こういう怖いことはそこここに転がっているのかもしれない。もしかすると自分の家にも……? 読みながら、思わず背後を振り返ってみたりしてしまう。背筋が冷んやりする実話怪談です。
- 作品更新日:2019/9/21
- 投稿日:2021/7/14
僕は今日も扉を開ける
一人称で冒頭から一個も嘘はついていないのに、みごとに引っかかりました。そうだよ、ジャンルにちゃんと現代ドラマってあるじゃん! きれいにオチてるよ!! こういう引っ掛けられ方、くやしいというより清々しいです。完敗です!
- 作品更新日:2019/1/6
- 投稿日:2021/7/16
ある文字修理人の手記
作品のタイトル通り、「文字修理人」と名乗るある人物の独白というか手記です。 読み始めてすぐに、あれれ? と引っかかったら、是非最後まで読んでみてください。 読み進めるうちに、そういうことか、と頷けると思います。
- 作品更新日:2019/1/15
- 投稿日:2021/7/16
たちめかがり
たった千四百字あまりの短いスケッチ。それも、何気ない日常のワンシーンを描いただけのもの。それが、欧州の、小品だが美しい芸術映画を眺めるような感覚に私を陥らせる。ごく微かな断片としてしか語られない、流れる人生を私の中に滑り込ませてくる。 音が違う。光の匂いが違う。作品のもつ空気がまるで違う。この不思議な感覚を正確にあらわす言葉を、私は持たない。そのことが、今、ひどく歯がゆい。 幻想のうつくしさともまた違う、リアルを写すうつくしさを、是非味わってみて欲しい。
- 作品更新日:2018/11/8
- 投稿日:2021/7/16
遠くへ行きたい
大学受験の合格発表。そこから、時間にすればほんの数時間、列車に揺られる間に語られる回想。 静かで、濃い海の青のような女の子二人の友情と繊細な心情が、確かな筆で描かれています。 冬の海に映える濃密さを味わっていただきたい作品です。
- 作品更新日:2018/11/3
- 投稿日:2021/7/16
昼日中、藤の雨
雨音』はかつてあった恋を語っていたのか、そうではないのか。秘められた背景を象徴するかのようなうつくしい藤花の雨に、想像力をかき立てられます。 「いろいろ」に込められた意味を思い巡らせられるだけ大人になった主人公とともに、しばし浸っていたい作品です。
- 作品更新日:2018/5/4
- 投稿日:2021/7/16
それでもこの冷えた手が----平成7年1月17日5時46分52秒
神戸の震災で災害救助にあたった一自衛隊員の当時と二十年後が語られる短編。 短文を重ねて伝えられる被災地の光景は、凄惨の一言に尽き、その中で出会った被災者であるおばあさんの言葉と、その言葉へ二十年越しに返される自衛隊員の言葉が、深く胸に刺さります。 抱え続けた傷と再生の物語です。
- 作品更新日:2019/2/19
- 投稿日:2021/7/11