生垣
冒頭から「いやいやそれ充分怖いんですけど！？」と思いながら、するする読める読み口に乗せられて読んでいったら……落ち！ ちょっとそれどう考えても……じゃないですか！！！ 読後お外に出られなくなります。
- 作品更新日：2018/8/17
- 投稿日：2021/11/21
滑稽と悲惨に満ちた「つ」の遍歴と修行時代
落語のような滑稽で楽しいお話。 ラストの一文で噴き出してしまいました。 ちょっと疲れたなと思う時に読むと、元気になれます。
- 作品更新日：2023/7/25
- 投稿日：2021/11/21
閉ざされた輪の王国
ジェフティ、アラディア、それぞれに継がれていく名のように、どこまでも受け継がれ繰り返されていく愛憎。途切れることのない輪のように巡り続ける残酷な運命に、どこか、ほんの少しでもその輪から抜け出る道を選ぶ方法はなかったものかと、ため息が出ます。 張り巡らされた伏線と、みごとな構成に、手技の光る作品です。
- 作品更新日：2020/1/11
- 投稿日：2021/11/22
奮闘する者に捧ぐ
埋もれているのがもったいない作品だと思うのですが。Webではライトノベルが強いせいでしょうか、文芸系の作品は、それを求めている読者までなかなか届かないようで……いやほんとにもったいない。 物語は、主人公である日本人男性が、かつて働いていた中東のどこかの国に戻ってきたところから始まります。主人公は何か大きなトラウマを抱えていて、そのトラウマは、どうやら彼がその国を離れる原因となった事件に関係するようで……。 主人公を出迎えた現地のドライバーとの会話、戦争の傷痕生々しい町の様子、主人公の内の葛藤……。それらを通じて彼の過去に起きた事件がはっきりと姿を見せた時、そして、事件が引き起こされた原因とその後の結末が明らかになった時。物語自体はフィクションではありますが、現実のとある国がこちらの脳裡に浮かび、主人公の覚悟に頭の垂れる思いがします。 短いながらも人のありようを描いた良品です。
- 作品更新日：2018/10/10
- 投稿日：2021/9/4
1％のシュガーレター
主人公、いい子じゃん、と思う。 チョコレートくらい、いいじゃない、とも思う。 でもきっと、告白してもしなくても、カカオ99パーセントのチョコレートみたいになるんだよね。 切ないね。
- 作品更新日：2022/5/10
- 投稿日：2022/5/17
風がうたう歌
ずっとずっと昔に見た何かの番組に、浜辺で拾った巻き貝を耳にあてるシーンが有ったことを、読んでいて思い出しました。巻き貝は内側に海の記憶を閉じ込めていて、静かに耳をすませばその記憶の海の音が聞こえてくるのだというのです。当時子供だった私は、そんなロマンチックなお話にあこがれて、まねをして巻き貝を耳にあててみたものです。もっとも、私が耳にあてたツヤツヤ光る巻き貝は、祖父母が旅先の土産物屋で買ってきた飾りものだったのですが。 雨の日に喫茶店を訪れた不思議なお客さまである彼女と、その喫茶店のマスターである洋さんとのピアノを通じた交流。この物語も、前述のような不思議でロマンチックな発想を下敷きに進んでいきます。少しずつ明かされてゆく洋さんのピアノにまつわる記憶。もしかして……と想像ふくらむ不思議な彼女の正体。大人も子供も安心して読める、ふわりとやさしい児童文学風の作品です。
- 作品更新日：2016/10/6
- 投稿日：2022/10/14
コーヒー一杯二千円
一杯のコーヒーに寄せて語られる物語は世にたくさんあります。これはその中でもダントツに切ない物語だと感じました。 人生は常に順風とはいかないものですが、それでも、もし、もしもそれが無かったなら、と思わずにいられないことはあります。「もう決めたからしょうがないけどさぁ、悔しいなぁ」と口にした彼女のやるせなさ、悔しさ、彼がこれからも持ち続けるであろう切ない思いに、ああ……とため息を禁じ得ません。
- 作品更新日：2022/9/22
- 投稿日：2022/10/14
好きと言えない事情
推しは、健康にいい！ しかも同じクラスにいるって、なんっっって羨ましいんだ！！ いや、そんな本音は横に置いておいて。 有りますよね、推しキャラ言った途端に、ふーんで済まされることって、とちょっぴり同情しつつ、軽妙な語り口が面白く、主人公女子はかわいくほほえましく、するする読んでしまいます。 またお相手の男子もいい。いい子じゃん。すごくいい男の子じゃん、身長伸ばそうと努力してるところなんて涙ぐましいよ、きみ将来有望だよ頑張れー、と思わず応援したくなるタイプです。 どこか初々しくて面白かわいい女子と、初々しくて努力家の好感がもてる男子の、誰にもないしょの恋。推せます！
- 作品更新日：2022/5/9
- 投稿日：2022/5/17
泣けないアタシと笑えないアイツ
他人の感情や曖昧な言葉の意味を汲み取るのが苦手な彼女。 重度の難聴で言葉をうまく話せない彼。 この物語では補いあって生きてきた二人の転機が描かれています。 彼が彼女に何も言わず進む道を決めたのは何故なのか、何が彼にその道を選ばせたのか。それが語られた時、読んでいるこちらは、ハッと胸を突かれます。 彼女はまだ彼の想いに気づいていないけれど、とびきりの笑顔になれる未来を掴んで欲しい。そんな気分になる良作です。是非！
- 作品更新日：2022/5/10
- 投稿日：2022/5/17
赤峰君の脱皮
大きな事件は起こりません。障害のある、波瀾万丈の物語ではありません。 ただ、ほんの数日間、二人がいっしょに花壇の水やりをするだけです。おだやかに、関係が作られてゆくだけ。 たぶんきっと、ありふれた、ごく普通の恋の始まりなのでしょう。お互いに少しずつ近づいてゆく、平穏な恋。 けれどその穏やかさがいい。ゆっくりと近づいてゆく心の変化、その近づいてゆく描写がいい。 やさしく穏やかな恋の物語に、キュンキュンします。
- 作品更新日：2022/5/5
- 投稿日：2022/5/17