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小説家になろうファンタジー連載:2話

■■■■■■■ ■■■■■■■■■■ ■■ノ章

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと) まだタイトルも謎な物語。しかし、あらすじからして面白そうである。 どんな人生を送って来たのかすら覚えてはいなくとも、後悔ばかりだったということは記憶されている。それはよっぽどのことがあったからだと想像する。そんな主人公が、もう一度人生をやり直すチャンスを得る。人生に後悔ばかりしてきた自分としては、羨ましい限りだ。この主人公が、どんな人生を送るのかとても興味深いと感じた。 2 物語は(どのように始まっていくのか?) 砂嵐のような空間の中で、ある言葉をかけられるところから始まっていく。この言葉をかける立場というのは”期待をかけていたから”からだということは想像に難くない。そしてかけられる方というのは、よっぽどのことをしてしまったからという想像もできる。人には2種類存在する、恐れずに己を生きる者。そして恐れて他人の意志に従う者。どちらも必要な存在ではあるが、度を超すとどちらであっても世界から弾かれてしまうように思う。ネタバレになるので、主人公がどちらであったのかはここでは語らないが、主人公は自分にかけられた言葉を”当然のこと”と受け取っている。隠されている文字がとても気になる始まりだ。 3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。 ・伏せられている文字がとても気になる。 ・冒頭から衝撃的!  ・序章でちゃんと物語の方向性が分かる。 ・伏字だらけのタイトルだが、これは主人公が自分の物語を歩んで行く物語なのだということが伝わって来る。 ・普通を望むことすらできなかった人生とはどんなものか気になる。 ・何故か分からないが、序章から感動した。 ・本編すら始まっていないのに、興味深い。 ・続きが気になる。 4 自分が主人公の立場だったら 自分も後悔ばかりの人生なので、やり直せるものならやり直したいなと感じる。人生にはやり直せることとやり直せないことが存在すると思う。自分だけのことならばやり直せるし、自分を知らない土地でならある程度、新たな人生を歩むことも可能だろう。しかし、特定の人間相手に人生をやり直すことは不可能だと感じる。それが他人ならばなおさら。主人公は一体どんなことにに対して後悔をしてきたのか? とても気になる作品だと思った。 5 物語のその先を想像して 0.5は本編ではないが、主人公の人生の一部なのだろう。 人とはどうして約束を守れないのだろうか? それは感情があるからだと感じた。意志の強い者や無関心な者は”話さない”という選択が自然とできる。しかし、”コミュニケーション”を取ると言うのが日常ならば、自分の意志を持って”話さない”という選択をする必要がある。”人の口に戸は立てられぬ”という諺がある。意味: 家の戸をしめるように、人の口の戸をしめることはできない、つまり世間の噂が広がっていくのはどうにもしようがないということ。(故事ことわざ辞典より引用) 人とは話さずにはいられない生き物なのだ。主人公も寡黙ではなく、そちら側の人間なのだと感じた。つまり主人公の後悔は些細なことの積み重ねの可能性があると想像した。この物語は、異世界転生ものによくある”まったく新しい人生”ではなく、あらすじの通り”後悔した人生”を一つ一つやり直して修正していく物語なのではないか? と想像する。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/5/2
  • 投稿日:2021/10/30
小説家になろう冒険・バトル連載:106話完結

悪を倒したヒーローは用済みですか? 〜組織を潰しても悪が蔓延っているので、奴らを許さない〜

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ヒューマンドラマ 悪と戦い、平和を取り戻した国。その代償に用済みになったヒーローたちは、何の保証もなく、ゴミのように国に捨てられた。それでも正義といつまでも戦い続ける男がいたのだ。それは『エスポワール戦隊』のリーダーであった。ホームレス生活を余儀なくされていた彼は、ある日『ジャ・アーク』が復活していることを知る。彼の振りかざす正義は本当に正義なのだろうか? 人々を恐怖に陥れる、彼らの第二幕(平和となったその後)がここに始まる! 【物語の始まりは】 15年間悪と戦ったエスポワール戦隊の終わりから始まっていく。悪と戦う使命のなくなった彼らがその後どのように人生を歩き始めたのか。プロの道を歩んだ者と似通った部分もあり、若い時分にその道に進んだ者は他の仕事ができないのと似ている。しかしその上で、彼らには人外の強さが加わっている。そしてそれが有名人であったならなおさら。働き口が見つからず、路頭に迷っていても不思議ではない。主人公はホームレス生活を送っていたのである。 【舞台や世界観、方向性】 〈個人的に調べた用語〉 瑕疵(かし)(コトバンク調べ) ① きず。欠点。また、あやまち。 ② 法律で、通常あるべき品質を欠いていること。また、意思表示に詐欺あるいは強迫などの事由があること。 この物語を読んで感じる、全体の方向性は”善とはなにか?”、”悪とは何か?”である。この世に絶対なる善は存在しない。善意=善でも悪=悪意でもないということ。その上、良いと思っていることが必ずしも笑顔や喜びに繋がるとは限らないのだ。かなりテーマの深い物語である。 【主人公と登場人物について】 主人公はエスポワール戦隊であることから抜け出せない青年。彼をそうしてしまったのは社会なのかもしれない。 彼らは五人戦隊であったが、それぞれ道は異なり考え方も違う。 大きく三つに分類され、悪の元で安定した生活を送っていたもの、現実を見ていたもの、そして正義から抜け出せない者がいる。 それに対し、元悪とされていた彼らはもそれぞれ道は異なる。知恵を使いこの国をわが物にしようとした者、自分の悪を貫き人々を幸せにした者なのど。 【物語について】 皮肉なことに、正義とは悪があるからこそ、価値があり認知されるものである。アニメや漫画などのヒーローには終わりがある。大抵は悪を倒し、平和な世の中が訪れるという結末だ。しかしそれがリアルだったなら? 悪を倒したそのあとの人生というものが存在するのである。 この物語でのヒーローに対する着目点は素晴らしいと思う。ヒーローたちが使っている武器は、悪に対して使われるものであるから民衆は安心していられる。しかし悪が倒された時、彼らの手に残るのは”危ない武器”だ。そしてその正義は悪にたいして向いていたものだからだったのだ。だが悪が失われた時、その力が”単なる人殺しの行為”だと思われてしまったならば? 彼らの居場所は何処にあるのだろうか? この物語では、用済みとなってしまったヒーローがどうなっていくのかが描かれている。その人生はそれぞれであり、必ずしも正義=幸せとはならない。 【良い点(箇条書き)】 ・これは単なる正義と悪の物語ではない。 ・世の中の矛盾についても取り上げられている。 ・正義と悪は正義=善であり良いもの。悪は悪いもの。これはイメージでしかなく、その構造は複雑である。簡単に答えを出すことのできないものなのだ。 例えば法のもとに正しいことが、個人として善とは限らないように。そういうことも盛り込まれている物語である。 ・読めば読むほど、正義とは何なのか? 考えさせられ、混乱する物語でもある。 ・主人公の葛藤が分かりやすく、この世は理不尽な世の中なのだということが伝わって来る。 【備考(補足)】9ページ目まで拝読 【見どころ】 まず第一に、凄い部分にスポットをあてているヒューマンドラマだと感じた。誰しも一度は戦隊モノやヒーローもののアニメを見かけたことがあるだろう。テレビで見かけたことがなくても、街中ですれ違う幼児がそのシャツを着ていることもあるだろうし、CMや玩具売り場で見かけたことがあるかも知れない。彼らは子供もしくは大人たちの絶対的なヒーローの象徴なのではないだろうか? しかしそれは絶対的な悪に対して振りかざされる正義だからこそ支持されるのである。そして悪が蔓延っているからこそ、目を向けられるのだ。 もし、この世の中に善しかなかったなら? その力は何処へ向けられるのだろうか? もしかしたら一般市民に向けられるのでは? 人は恐怖や不安から逃れられない生き物なのだ。 そんな世の中で、何も終わることなく一人正義を振りかざし続ける人間がいた。それが絶対的な正義でないと知らずに。しかしそうなってしまったことには、ちゃんと理由も存在したのである。 必要な時には称えられ、不要になればゴミのように捨てられた彼らの末路とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2023/2/12
  • 投稿日:2021/12/12
カクヨムファンタジー連載:122話完結

殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー 通学の途中で事故に遭ってしまった主人公は、本来そこで死ぬはずではなかった。その為、有名なあの人に似た女神によって、異世界にて生き返しのチャンスを得る。直後、転移先で出逢ったのは勇者より強い”殴り聖女”という2つ名を持つ可憐な少女で────?! 【物語の始まりは】 主人公は異世界転生ものの定番、女神の部屋にいた。女神は定番の美女……ではなかったが。そこで欲しいスキルはないかと聞かれ、彼がここに来ることになった経緯が明かされていく。本来死ぬはずでなかった彼は、生き返しの機会を得て、異世界で生きていくことになる。戦うのが嫌で選んだスキルは、空間魔法。辿り着いた先で、勇者パーティからある少女が追放される場面へ出くわしたのだった。 【舞台や世界観、方向性】 プリースト:恐らく回復職のこと。 ワンゲル部とは:部によって活動の内容は異なるが、「仲間と協力して自力にこだわったアウトドア活動を行う」という部分が共通点のようである。 この物語の勇者は、崇敬によって力が増す特殊な職業である。その為、自分より目立つ殴りプリーストがパーティに居ると、足手まといになってしまうようだ。 空間魔法はレアな能力。 【主人公と登場人物について】 主人公は本来死ぬはずではなかったにも関わらず、トラックに轢かれ即死(扱い?)してしまった17歳の少年。現世では死亡扱いだが、生き直しのチャンスを得て、異世界へ転移。 転移先で逢った少女は殴り聖女の二つ名を持った可憐で心の清らかな人物であった。話しの末、一緒にパーティを組むこととなる。 【物語について】 主人公は転移先で”パーティ追放”の場面に出くわすが、それはよくある”パーティ追放”ではなかった。プリーストでありながら、致命的な欠点があった。なんと補助魔法が自分にしか、かからなかったのである。その後、二人は互いの境遇を明かし合い、パーティを組むことになる。知らない世界に送られた主人公にとってはありがたいことだったのではないだろうか? 純粋な彼女に癒されたりもするけれど、彼女の口から出る言葉は恋人レベルで聞くような言葉が多く、どう受け止めたらいいのか戸惑う主人公。(たぶん言葉通りの純粋な意味であると思われる) 二人は防具屋に主人公の防具を買いに出かけるも、お目当てのものがなくいきなり古代竜を倒しに行くことになったのだった。 ここまでの主人公は、見た目が可憐で心の清らかなサーシャに対し、まだその強さを本気で信じられない部分がいくらかあったような印象。しかし、古代竜を倒すところを目の当たりにし、その強さを実感したのではないだろうか? 【良い点(箇条書き)】 ・初めのうちは、何故ワンゲル部なのだろうか? と思っていたが、彼はその冒険(旅)の中でワンゲル部で培ったものが活かされているように感じた。 ・ネタとなっている人物が分かりやすく、有名人が多い印象。万民共通とまではいかないにしても(ある年齢からしか知らないと思われるため)、笑いに対しての共感は高いと思われる。 ・サーシャに影響されて、変わっていく主人公が素敵である。(7話宿屋の主人との会話より) ・新しい世界に少しづつ馴染み、知り合いなども出来ていく中、主人公がホームシックになる場面がある。そういう部分を見ると、馴染んでいるのではなく馴染もうと頑張っているんだなと、感じた。知らない場所で、2度と家や元の世界に戻れないということにリアリティを持たせている。 ・主人公とヒロインの二人のパーティのバランスが良いなと感じた。 【備考(補足)】16ページ目まで拝読 【見どころ】 勇者パーティから強すぎることを理由に追放されてしまったヒロイン、サーシャ。本来死ぬはずでなかったのに事故死してしまい、異世界で生き返しのチャンスを得た主人公。彼らはどちらも辛い想いをしている。だからこそ、時には励まし合い、慰め合い、助け合えるパーティなのではないだろうか? ワンゲル部に所属していた主人公は、その知識を異世界でも生かしていく。そして、戦うことを拒否し空間魔法を手にした彼は、とても珍しい能力を持つものとして重宝されていく。異世界で新たな人間関係を築きながら。 しかし時折、元の世界へ想いを馳せる姿に切なくもなる。 元のパーティに対して未練はないとは言うものの、元は賑やかなパーティに所属していたサーシャ。彼女には、主人公の寂しさが理解できるのでないかと感じた。 旅や冒険ものというと、一期一会のイメージがあるが、この物語では出逢った人たちの絆が大事にされていると感じた。宿屋の主人や、サーシャの元居たパーティのメンバー、商人など。それも二人の人柄あってのものなのではないかと思う。切ない場面もあるが、全体的に楽しそうであり生き生きとしているような印象。読了部分はまだまだ序盤である。これからどのような人々に遭遇し、どのような冒険を続けていくのであろうか? そしてその結末はいかに? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/10/19
  • 投稿日:2021/12/11
小説家になろう冒険・バトル連載:152話完結

ブルーピーシーズ ~不思議な力が発現し子種や命を狙われ迷いの中で生きた僕の半生と関わる人々の生き方~

【簡単なあらすじ】 ジャンル:アクション(文芸)、現代ファンタジー (SF) あることをきっかけに、文字が好きだったことを思い出した主人公は、ある日試験会場でピンチに見舞われていた。筆記試験だというのにシャープペンの芯の予備が無かったのである。残りの芯だけでは心もとないと感じた彼は”シャープペンの芯が増えたらいいのに”と思う。その事がきっかけだったのか、”シャープペンの芯を増やす”能力を手に入れるのだった。誰にも秘密にしようと心に誓い日常生活を送っていたが能力が覚醒した数日後、彼は最近一緒に帰るようになった女子生徒と共に、謎の男女二人組に誘拐されてしまうのだった。果たして、彼らの目的とは? 【物語の始まりは】 ある事件のニュースを聞きながら、漢字能力検定試験へ向けて勉強をしている場面から始まっていく。そして文字が好きな主人公が、文字から離れ再び情熱を取り戻すまでの経緯が語られていく。冒頭の不穏なニュースは伏線なのだろうか? 彼の手に入れた能力がどんな風に活かされていくのだろうか? 【舞台や世界観、方向性】 SFもしくは現代ファンタジー。 誘拐されてから明かされていくが、主人公の持つ力は元はある一族で伝承(遺伝?)されていくものであった。主人公が彼らと、どんな繋がりがあるかはわからないが、詳しいことについては救助され数日たったのちに、この一族の者から教えられていく。 魔法のような不思議な力が使えるが、それはその一族の者と主人公しか使えないようである。 【主人公と登場人物について】 主人公は文字が好きだった。しかしそれをある時から、ぷっつりと忘れていたのだが、中学生となったある日”日本漢字能力検定”があるという教師の言葉を聞き、その事を思い出したのだった。 主人公は慎重派で現実主義な印象。シャープペンの芯を増やせる超能力に目覚めても、人に自慢したりはしない。人体実験される未来などを想像することから、後のことも考えることのできる人物なのではないかと感じた。 初めて話した女子生徒との会話から、真面目で誠実な印象も受ける。 【物語について】 文字への情熱を思い出してから二年後。高校生となった主人公は、漢検二級に向けて勉強をしていた。そして試験当日、主人公は自分のうっかりミスでピンチに見舞われる。シャープペンの芯を忘れてしまったのである。残数0。シャープペンに残された芯も心もとない。”超能力で増えたら……”それは切実な思いだったのかもしれないが、何故か何もないところから芯が増えたのである。動揺しつつ、もなんとか試験を無事終わらせて帰宅する彼。帰宅後、この現象の検証に入るのであった。 どうやらこの増やせる能力は、シャープペンの芯限定のようである。彼はその能力を誰にも話さないと心に誓ったのだった。 学校ではパソコン部に所属している主人公。その日も部活が終わり帰ろうとしたところ、同じクラスの女子生徒とばったり出くわす。一緒に帰ることになったものの、彼女とはそんなに会話をする機会があったわけでなく緊張してしまう。お互いにさぐり合うような会話になってしまったが、主人公は彼女に好感を抱いていた。しかしまたそんな風に一緒に帰ることはないだろうと思っていた。だが翌日も帰りが一緒になる。偶然が重なり、二人の距離が縮まるかと思いきや、学校の門を出たところで男女二人組に”手伝ってほしい”と声をかけられ、荷物運びを手伝おうとしたところ誘拐されてしまうのであった。 【良い点(箇条書き)】 ・覚醒した超能力についての検証の場面が細かく、丁寧である。 ・主人公が誘拐された時の心情や葛藤、焦りに臨場感がある。 ・心情や、状況説明が丁寧であり、分かりやすい。 ・二人の関係は急展開にも感じるが、主人公の心情が丁寧であり、想いが募っていくのが伝わって来るので、とてもしっくりくる関係だなと感じた。とてもお似合いの二人である。 ・主人公の心理描写と会話などのバランスが良い。 ・世界観の設定がとても細かく、驚く部分もあるのだがそれが分かりやすく丁寧に描かれている為、好奇心が刺激される。 ・説明部分が多いものの、テンポが良く展開が早い。 【備考(補足)】14ページまで拝読。 【見どころ】 シャープペンの芯が増える能力というと、一見とても地味で何ができるのだろう? という印象を抱くが、この物語で主人公が巻き込まれていく要因については壮大である。超能力としては確かに小さな力かもしんれないが、それがどんな力なのか明かされないまま、ある組織を裏切った者たちに誘拐されてしまうのである。彼らとの会話の中で、主人公の力が恐れるような凄いものだと誤解しているのではないか? という印象を受ける。 好いた相手を助けるために、いろいろと会話を通して試みる主人公だが、自分がどんな能力を持っているのかは明かさない。恐らく、本能的に自分の力について明かすのは危険だと感じたのではないか? とも思う。 主人公は論理的であり、いざとなれば冷静。戦略的な印象も受ける。自分にどんな知識が必要で、それがどんな取引材料になるのか? まで冷静に考えられる部分も持つ。異能力自体は地味ではあるが、彼の思考部分や世界観設定がとても面白い物語であると感じた。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 一度は組織の人間に助けられた主人公ではあるが、まだ安全とは言えない状態。この先どんなことが待ち受けているのか? その目で、是非確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/5/16
  • 投稿日:2021/12/12
カクヨムファンタジー連載:56話完結

呪われし不老の旅人、世界を癒す。

【物語の始まりは】 大聖堂の図書館での一場面から始まっていく。ある本をここに納本することに異を唱える若い助祭と司祭との会話によって、その本がどんな内容のものであるか明かされていく。そこにはギルという人物が、呪い師に呪われて不老になり、呪いをとかせるために100年以上も旅したと記されていた。その真意を探るべく、助祭はその本を読むことを許可されるのであった。そこにはどんなことが描かれているのであろうか? 【登場人物について】 群像劇であり。旅人ギルの視点からではなく、ギルに関わった人物の視点から語られていくようである。 補足〈個人的に調べた用語〉 アルビノ……目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質。(web調べ) 【良い点(箇条書き)】 ・全体的に描写が美しい。優しい世界観である。 ・ランプの元で本をめくっているような、暖かさがありドラマチック。 ・確かに旅人が見聞きした物語なのだが、その主人公は旅人ではない為、彼らの切り取った人生の一ページのような印象。 ・時間が戻っていくスタイルというのは面白い。 ・一つの物語に一つのテーマがあるように感じた。 【物語の感想】 1 木こりと旅人 ここでの主人公となる少年は、強くなって名をあげたいと考えていた。だがそれは、周りから反対されていたようである。後半にて、元戦士だった祖父から語られる話。戦士とは何か。戦争とは何かについて考えさせられる。 戦争は、大義名分があり”国だったり財産だったり人だったり”色んなものを守るという名目で行われるが、それはただの人殺しに過ぎないのだ。 安易に強くなりたいというのは、危険であり将来を考えているとは言えない。主人公は祖父の過去を知り、改めて自分自身を見つめ直す機会を得る。 若いうちはどうしても、自分の世界が全てだと思いがちである。広い視野を得る為にも、先人の話を聞くことが大切であるということを改めて感じた。 2 商人と旅人 この物語は、もしかしたら段々と時間の戻っていくスタイルなのかもしれない。森を舞台に語られていくのは、ある商人の想い。きっとそれは、果たすことが出来なかったのだろう。しかしその想いはちゃんと子に伝わっていく。旅人の位置は決して中心というわけではなく見届けるというものなのかもしれない。しかし確実に関与し、人と人を結んでいるように感じた。 何故旅人が呪われてしまったのか、この時点では分らないが100年以上かけて色んな体験をし、人と関わっていったことは他の人間にとっても幸福をもたらしたのではないだろうか? そんなことを思った。 3 吸血鬼とアルビノの少女と旅人 うっとりとする美しい情景描写によって始まっていく。この物語は全体的に言葉選びが美しく、情景を一つとっても季節や自然を感じる部分が多い。 孤独だった二人が出逢う。長く生き続けるというのは孤独との戦いだと感じた。善行を続けていたからこそ、その中でこのような出会いがあったのではないかと思う。彼らがどんな答えを選んだのかは、ここでは明かされてはいないが幸せな二人の姿が見えるようだ。とても素敵な物語だと感じた。 *3つの物語まで拝読。 【物語全体の見どころ】 どれも感動する物語であり、人の愛情や優しさ。表面上では分らないものなどが語られていく。全体の中から三つの物語を拝読。その中で感じたのが、どれも全く違う物語であるが、人と人との絆だったり関りを大切にしている物語だと感じた。その関係も様々で、血のつながりもあれば同じ種族でない場合もある。そんな彼らのドラマチックな一面を垣間見ることのできる物語であり、旅をしている中で起きた出来事の一部というスタイルである。 どれも温かみを感じる物語。この本を手に取った助祭は、これらを目にし、一体どんな結論を導き出すのだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 素敵な物語がたくさん詰まった作品です。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/4/3
  • 投稿日:2021/12/12
小説家になろうファンタジー連載:205話

伝説の少女は平穏に暮らしたい(順次改稿中)(番外編スタート)

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ローファンタジー(異世界転生) 14歳のある日、虐待に耐えられず川に身を投げた主人公。彼女はある町へとたどり着く。その町の人々は少女が今まで出逢った人々とは違いとても温かい人々だった。その町で暮らし始めたある日、王都から王子が調査にやって来る。そこから明かされていく彼女の出生の秘密とは? 【物語の始まりは】 主人公が川に身を投げた経緯から始まっていく。幼い頃に両親に捨てられた主人公は、ある女性に拾われたが虐待をされながら育った。14歳になったある暑い日。またしても理不尽に暴力を振るわれ、その上朝ご飯抜きで仕事をしろと言われてしまう。それまでは自分自身を騙しながら生きてきた主人公だったが、とうとう我慢も限界に。川に身を投げてしまうのだった。しかしそれは、死を望んだのではなく、平穏を望んだ結果のことであった。 【舞台や世界観、方向性】 家の説明にて、キッチンやリビングなどの用語が使われているので、近代的なイメージを持つが、電話などはなく情報は商人がなどから得る。 セルタへは、三か月に一度程度商人たちがやって来る。 九歳の時に王子が通信機器を発明。しかしながら王都以外では使えないらしい。魔法の使えない世界。 【主人公と登場人物について】 4歳ころに親に捨てられる? 14歳のある日、暴力を振るわれ肩を脱臼するなどした主人公は、川に身を投げる。しかしそれは死を望んだのではなく、平穏な生活をしたいと望んでのこと。目が覚めると、別な場所にいた彼女。そこで出逢った人々は、今まで少女が出逢ってきたような冷たい人々ではなかった。そこで人として玉された彼女は、認められその町で生きていくことを選ぶ。 【物語について】 川に身を投げた彼女は、その流れに身を任せる。この先に平穏があることを願いながら。そして不思議な夢を見るのであった。主人公はある少女に質問をされ、自分の生きる道を見つける。それは暴力に屈しない、強い意志となる。 次に目が覚めた時、見知らぬ場所にいた。 その町の診療所で、彼女はこの町で暮らすか旅に出るかの二択を与えられ、その町で生活することを選ぶ。すると一人では管理の大変そうな立派な家を貸し与えられることになった。何故そのような所を貸してくれたのかには、理由があったのである。新たな土地で生きて行こうと頑張る少女、果たしてこの先に待ち受けるものとは? 【良い点(箇条書き)】 ・あらすじの”少女と少年は殺し合うしか道がないのか?”という部分から、途中から24時間命を狙われるような物騒な物語になるのだろうか? と想像していたが、穏やかで温かい日常が続いていく。 ・少女が辿り着いたセルタという町は人柄の良い町民が多いのか、主人公だけでなく調査にやってきた王子や団員も癒していくのがよいなと感じた。 ・話が進んでいくと、ミステリーな部分も増えていき、何があったのだろうか? と好奇心を誘う。 ・少女も少年も共に影響し合って成長していく姿が良い。 ・悲しい部分もあるが、それでも前向きに生きていく心優しい主人公が素敵である。 【備考(補足)】20話まで拝読。 【見どころ】 序章・正体解明編は、序章編としてはかなり長めではあるが、強弱、抑揚のある物語であり、少女の過去が明かされていく部分と、少年が変わっていく部分の二つに焦点があてられ、やがてそこに絆が産まれていく。 あらすじの”少女と少年は殺し合うしか道がないのか?”は、深く考えれば続く言葉として”他に道があるのではないか?”と返しができることに気づく。それが序章編であると感じた。三人寄れば文殊の知恵ということわざもあるように、少女だけではなし得ないことがこの物語にはたくさんあると思う。それほどまでに、生活に密着して描かれている。 新しい町で、一人で家を守る少女。虐待されていた頃には家事をはじめとした労働もさせられていた。その時のことは痛々しい記憶であり、幸せとは言えないだろう。しかしその時学んだことは、生活に役立てられている。人の手を借りずとも暮らしていけるのは、皮肉にもその体験があったからだとも言える。そして人に優しくできるのも、自分が辛い想いをしてきたから。小タイトル一覧を見ると、これから主人公がいろんな体験をしていくことが分かる。時には戦いに身を置かなければならないこともあるだろう。その時彼女はどんな選択をし、乗り越えてくのだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2022/7/12
  • 投稿日:2021/12/12
カクヨム歴史・時代連載:49話完結

Winning-カイキホテル境界科学対魔班-

【簡単なあらすじ】 ジャンル:現代ファンタジー 日用品を買いに出かけた先で、主人公はある迷子の幼児をインフォメーションへ届けることになる。しかし届けたのはいいものの、名前も言わず連れが迎えに来る様子もない。その上幼児は主人公の服の裾を掴んで話さない状態。結果、保護者が迎えに来るまで一緒にいることになったのだった。まさか、後日その二人に再会することになるとは知らずに。 【物語の始まりは】 主人公と幼児を連れた年配の男性との出会いの経緯から始まっていく。日用品を買いにショッピングモールへ出向いた主人公は突如、コートの裾を掴まれた。視線を落とすとそこには迷子らしき幼児が。迷子センターに連れて行くも、名前も言わず困ってしまう。何とか服装だけで放送をかけて貰うも、なかなか連れが来ないという状況であった。 【舞台や世界観、方向性】 〈天が定めた理〉 この世で起きたことはこの世で解決するものであり、例えば犯罪を犯してもそれを裁くのは、この世に生きている”人”である。仮に何も悪いことをしなくても天が味方してくれることはないということ。 備考〈個人的に調べた用語〉 天佑とは……天のたすけ。天助。 チュニックとスモックの違い……チュニックは丈の名称。(例:ロング丈) スモックは上着のデザインの名称。(web調べ) EVA樹脂とは ……エチレンと酢酸ビニル共重合体させた合成樹脂。 この物語は群像劇。主人公以外の視点からも物語は紡がれており、彼女の知らない彼ら(幼児と祖父)の日常を垣間見ることができる。 幽霊について。 死神が間に合わない場合に幽霊となるようで、例えば自殺や殺害、事故など。恐らくこの物語で幽霊となってしまうのは、”想定外(寿命以外や予定外等)”の死によるものなのではないだろうか? 幽霊退治の論理が科学的である。 【主人公と登場人物について】 主人公は細かいことが気になってしまう女性という印象。幼児にパパと言われてしまう。一般的な女性にしては(モデルなどを省く)長身の部類に入り、髪もショートカットだった為だろうか? 仕事のために向かったスタッフルームで医師だという女性と遭遇。変わり者のようだが、会話のテンポが合っており、主人公とは気が合うような印象。 【物語について】 初めの場面から感動するシーンのある作品。迷子の幼児はなかなか彼女の服の裾を離さなかった為、最終的にはお迎えが来るまで一緒にいることとなる。ここで彼女の優しさや親切心が垣間見える。 主人公の通う大学は少し変わっており、運営母体はホテル産業である。自社の人材は自分で育てるという方針のようだ。彼女がこの大学を選んだのは”在学中にホテルの仕事をすれば、奨学金が出る”というシステムがあるからのようだが、このホテルの仕事とはホテルを運営する(ホテルマンやベルボーイ等の)スタッフという意味ではなく”怪力乱神を世から排除する”という特殊なものであった。(幽霊退治) 【良い点(箇条書き)】 ・中心となる四人の人物はそれぞれ性格が異なり、良いバランスを生んでいる。とても個性的である。 ・霊などの設定や倒し方など設定が細かい。よくありがちな陰陽師とかではなく、どちらかと言うと科学的であり新鮮である。 ・先進的技術(スマホやアプリなど)と古くからあるもの(霊など)のモチーフの融合がナチュラル。 ・幽霊などを見たことがなく倒したこともないが、論理的な戦い方なので分かりやすい(化学物質など)。身近なもので戦ったりするので(例えば塩)、想像しやすい世界観である。 【備考(補足)】13話まで拝読。 【見どころ】 この物語の設定で面白いなと感じるのは非科学的なものを科学で退治しようとするところだと思う。つまり力任せでも神頼みでもなく、知性と知識、閃きなどで解決していく部分があるということ。そして使用されるものは最近の物から、昭和に流行したものなど多岐にわたる。それはものによって良い部分や使える部分に着目しているということなのではないだろうか? そして主要な登場人物も個性的である。それぞれに役割があり、明るい雰囲気を作っている。年代が別々なことも、色んな時代のものを使っていることと合わせると、納得の組み合わせでもあり、バランスの良さも感じる。 主人公は元は、衣食住の保障と奨学金の為にこの制度を利用しようとしたのかも知れないが、とても楽しそうである。世界観の設定と登場人物たちに魅力を感じる物語だと感じた。12話からは登場人物が増え、物語にさらに奥行きも出てくる。彼らは敵か? それとも味方か? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? この先どんな展開になっていくのか、その目是非確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/30
  • 投稿日:2021/12/12
カクヨムファンタジー連載:173話完結

泉の乙女、青のロディーヌ

1 物語の始まりは 門の前で、簡単に開けられない鍵を開けようとしている場面から始まっていく。枝などで開けようとするも、ぽきりと折れてしまい門は固く閉ざされたまま。途方に暮れていたが、ふと自分の指を見て鍵穴に差し込んでみるのだった。 2 七羽のからすという物語について 【概要】 7の息子を持つ農夫がいた。何故かどんなに望んでも女の子が産まれて来なかった。しかしある時やっと女の子を授かることができた。しかし彼女は病弱であり、自分たちで洗礼するしかなかった。彼は子供たちに水を汲んでくるように言いつけるが、彼らは我先にと水を組もうとしたため、水差しを井戸に落としてしまいました。帰るに帰れなった彼らに対し、父は遊んでいると勘違いをする。そして”カラスになっちまえ”と呪いの言葉を口にすると、彼らはカラスに変わってしまったのでした。 月日が流れ、順調に成長した末の娘は自分に兄がいることを知りませんでした。しかし、町の人達の噂などから真相を知ってしまいます。彼女は真実を知り彼らを探す旅に出たのでした。(中略) ・その後長い旅でいろんなことがあった後に、兄たちを元の姿に戻しみんなで帰るという話です。 3 登場人物について 人物設定はオリジナルだと思われる。 主人公は泉の王国民。カラスの門の前で森の王国の者と出逢う。 三人の兄たちは性格がそれぞれ違っていたが、妹である主人公のことをとても大切に想って可愛がっていた。主人公もまた、彼らからの愛を感じていた。 4 物語について 門のところで出逢った森の王国の者との話で、兄たちがカラスになった経緯とその後について語られていく。 それは幼き日の主人公と、大好きな兄たちと出かけた日のことであった。兄は自分のせいで父を怒らせてしまった。まだ子供だった兄たちが濡れて重みの増した自分を家まで連れ帰ることは、とても大変だったはずなのに。父もまた普段なら怒りに任せるような人ではなく、子供たちを愛していたはずなのに。全て自分のせいなのに、誰も自分を責めることはなかった。だからこそ自責の念に駆られ、主人公は暗闇に心を閉ざしてしまった。ある時、ある言葉を耳にするまで、心は死んだも同然だったのだ。 皮肉にも、自分の心に怒りの感情を取り戻させたのは、自分たちが信仰している女神であり、自分へと祝福を齎したはずの存在だった。しかし彼女は一匹の蝶と出逢い、それをきっかけとして心境に変化が起きていく。 5 感想 罪とは、責められ裁かれるからこそ救いがある。それが例え逃避であり、自己満足でしかなかったとしても。この物語の中では、兄たちがカラスに変えられてしまった原因となった主人公がとても苦しんでいる。それは自分が原因であったにも関わらず、責められることもなく逆に守られてきたから。しかし仮に責められたところで、何も解決はしない。自分の心が軽くなるだけなのだ。父も自分が感情に任せてしてしまったことを後悔し、まだ希望は捨てていない。だからと言って誰も動かなければ何も解決はしないのだ。主人公は、希望のその先へ歩き出そうとしたのではないだろうか? 6 見どころ 門の前での出会いは、彼女に今まで何があったのか明かされていくための、はいり口となる。幼い日、兄たちと出かけた先で泉に落ちてしまった主人公は、女神に助けられる。恐らくそれは全ての始まりであり、終わりではなかった。だが、兄がカラスに変えられてしまい心を閉ざしてしまう。 両親も同じように後悔し悲しんではいたが、彼女の為に悲しい顔を見せることはなかった。そして月日がたち、ある言葉から感情を取り戻す主人公は、初めは女神に怒りを感じていたものの、ある蝶に出逢い心が落ち着き、いろんなことを冷静に考えていくようになる印象を受けた。 主人公が女神に再び会い、兄たちに会いに行こうと動き出すところからが、真の始まりなのだと思う。 童話の世界のような物語。青が特別なものであり、頻繁に出てくる。一章はモノローグがほとんどを占めており、主人公の葛藤や心境変化などにスポットがあてられている。じっくり読む童話といった印象。 ”美しいだけでは人ではない。醜いものも受け入れてこそ、人は人になれる”このような意味合いの言葉があるのだが、主人公の成長が伺える部分でもあると感じた。二章からがいよいよ主人公の旅となる。この先どんなことが待ち受けているのだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/1/23
  • 投稿日:2021/12/12
カクヨムファンタジー連載:124話完結

ダーティーホワイトエルブズ ~現代に転移して魔物退治人となった魔力ゼロのエルフは誓う。クズ野郎で転生チートスキル【主人公属性】を持つ弟に死を、と~

【物語の始まりは】 兄が弟を殺害する場面から始まっていく。二人の間に何があったのか? 戦闘シーンの後、これまでの経緯について語られていく。 【どんな物語なのか?】 この物語では、”あえて”主人公不確定と感じるように書かれているという印象。それは正義の概念に似ている。戦争などではA国の立場の正義とB国の立場での正義は違う。自分は間違っていないと思って戦っているはずである。一人一人がどう思うかは別として、国なり個人なりの大義名分があって戦っている。この物語は、兄から見た時、弟から見た時、どちらの立場から見るかで感じ方の違う物語であり、どちらが正義なのかは読み進め、真実が明かされるまでは分からない仕様となっている。 【舞台や世界観、方向性】 この兄弟は異世界から現代にやってきたエルフ。きっかけは魔物退治。そこでパーティが全滅してしまい、気づいたらこの世界にいた。 彼らが現在いる世界は現代に近い。飛行機、自動車、スマホにインターネットが存在しており、この世界で兄は魔物退治を行う聖職者集団である“騎士団”という組織に拾われた。恐らく順風満帆な人生を歩んでいたのだろう。しかし、こちらの世界に来てから数年後、弟に再会したことから事態は急変する。 【登場人物について】 二人は元はこの世界に住人ではなく、魔法の存在する世界にいたエルフ。森での生活を敬遠し、人間の街で冒険者として生活していた。 兄(本名は分からない。マロニーと名乗っている)……魔法の使えないエルフだったが、こちらの世界では魔素が少なく元々魔法が使えない世界だった為、彼にとっては過ごしやすい世界であった。 弟(ミトラ)……転生チート主人公属性を持っている。 【感想】 一言でいうなら、皮肉の詰まった作品だなと感じた。ご都合主義の悪い部分を剝がしていくような物語である。どちらかというと爽快感というよりも、気持ちがとても分かると言った方向性だ。 人間の本質を抉り、外側しか見ていない能無しがどんな風に見えるのか? 社会の縮図でもあるし、親兄弟の縮図でもあるだろう。無能な人間ほど、汚いことをするものだが、元々才能があるわけでもないので中身は空っぽで、薄っぺら。しかし外側しか見ていない人間は、そこに騙され破滅の道を歩む。離婚についても、原理はこれと同等だと思った。恋をしているうちは、相手の本質など見えていない。結果、自分の想い通りにならないと文句ばかり言うか、離婚という形になる。人間関係とは、どんな関係性でも立場でも変わらないものだなと、改めて感じた。 【備考(補足)】第10話まで拝読 【見どころ】 この物語はどちらかというと、募らせた憎しみがどう動いていくのか、というようなダークな内容である。兄が弟を殺すところから始まっていき、これまでの経緯が独白によって展開される。過去に何があったのか? どんな環境で何を想って生きていたのか? この兄弟がどんな人物でどんな力関係だったのか? その中で感じるメッセージとは、”チート”とは何なのか? ハーレムとは何なのか? という根本的なものだ。砕けて言えば、チートな主人公はジャイ〇ンと変わらないよね、ということだ。自分の意のままになる世界の中で、人はそんな主人公に何を感じているのか? 通常物語では語られない、主人公以外の人物の本音が明かされていく物語だと感じた。ある意味怖い物語だ。 例えば、学校や職場で傍若無人に振舞っている人物がいたとする。周りは大人だからニコニコしているかもしれない。しかし腹の中では何を考えているのかわからない。もしかしたら全員が敵かもしれない。こういう怖さを思い知る作品でもあると思う。”主人公”というベールがはがされた時、彼の周りの世界はどうなっていくのだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2020/5/31
  • 投稿日:2021/12/26
ノベルアップ+ファンタジー完結非公開

魔陣使いちゃんは世界を巡る

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー 魔法を上手く使うことのできない冒険者の主人公は、薬草を売って生計を立てる日々を送っていた。そんな彼女にある日人生を変えるような出来事が訪れる。彼女の才能を見いだしたのは、大好きな友人だった。それまで自分に自信がなく、冒険者としてもランクの低かった主人公の生活は、劇的変化を遂げた。果たしてこの先で二人を待ち受けるものとは……? 【物語の始まりは】 主人公の特別な日から始まっていく。冒険者に向いていないということをうすうす感じながらも、頑張る主人公。裕福とも強いとも言えない彼女には、唯一ともいえる友人がいた。彼女から誘われ一夜を共にした翌日、二人でダンジョンへ行くことになる。この世界には色んなものにランク付けがなされており、二人が入ったのは一番低いランクのダンジョン。しかし二人はそこで、ありえない光景を目にするのだった。果たして、二人は無事なのだろうか?! 【舞台や世界観、方向性】 魔法や魔物の存在する世界。ランクなどが存在し、主人公は弱いながらも冒険者として生計を立てている。調合や魔法陣なども存在するファンタジー世界が舞台。 【主人公と登場人物について】 主人公は人より劣っていると感じていて、とても自信のない少女。しかし、友人はそんな彼女を力量だけではなく人ととして好いてくれているように感じる。人間性も含めて彼女を評価している印象。 この物語からは、主人公の心情もさることながら感情(必死さ)が伝わって来る。緊迫感、焦りなども主人公の言動、心理描写などから感じることができ、ハラハラドキドキする。主人公を応援したくなる物語でもある。 主人公が初めの危機を乗り越え、友人が主人公にある提案をするのだが、ここからが新たなスタートなのだと感じた。二人は互いを心から必要とし合っており、友人のほうは主人公のことをとても大切に思っている。それは過保護になってしまうほどに。しかし主人公は大切に思う相手だからこそ、対等でいたいと思っている。 【物語について】 主人公は冒険者でありながら、戦いに長けているわけではない。魔法を上手く使うことができず、薬草を売って何とか暮らしていける程度。そんな彼女には大事な友人がいる。主人公はその彼女とある日、狩りに出かけることとなった。運悪く、そのダンジョンには出るはずのない凶暴な魔物に出くわしてしまった二人。しかし、この出来事は主人公を変えるターニングポイントだったようだ。瀕死の友人を守るために、必死で魔物に立ち向かい友人を助けた主人公。この時行ったことが、実はすごいことだったことを知る。そこで友人から提案されたこととは……? 主人公の人生は、この後劇的変化を迎えることとなる。今まで一人で何とか生計を立てていたが、大好きな友人と知恵を出し合い新たな挑戦をしていく。その折、昇格試験の話を貰った主人公。この先どう展開されていくのかまだ分からないが、冒険者として夢だったことに挑戦できたり、今まで行くことが出来なかったところへ旅に出ることも可能に。薬草を売って過ごしていた頃とは待った違う世界が彼女を待ち受けていたのだ。 【良い点(箇条書き)】 ・互いが互いを心から大切に想っていることが伝わって来る。 ・自信のない主人公が、自分にもできることを見つけ変わっていく様がとても素敵だなと感じた。 ・心理描写が丁寧なこともあるが、主人公と友人の気持ちが非常に伝わって来るで、思わず涙してしまう。必死に生きているということも伝わって来る。 ・境遇が不幸だからという単純な理由ではなく、主人公がどれだけ苦労をし頑張って来たのか想像しやすい物語である。 ・純粋な愛を感じる。 ・冒険者としてランクが低いからこそ、彼女の出来ることの凄さが活きている物語だと感じた。 ・どん底からの巻き返しや希望を感じ、自分も頑張ろうと思える物語である。 ・緊迫感や臨場感がある。 【備考 (補足)】二章 とある商人との出会い 王都に向けてまで拝読 【見どころ】 両親のいない主人公は、薬草を売って何とか生計を立てていた。冒険者であるにも関わず、自分には向いていないことに気づきながら。しかしある日友人と向かったダンジョンで、その後の人生を大きく変える出来事に遭遇する。それは必死の想いが変えた未来でもあった。 主人公の才能を見いだした友人は、彼女にある提案をする。そして自らも今の仕事を辞め、主人公と共に冒険者として旅立つ決心をするのだ。今まで自信がなく、冒険者としても一番下のランクだった主人公は、友人の言葉によってある可能性を見いだしたのである。頑張ることは、未来に希望を産むこと。相手を想うことは、未来を繋ぐこと。そんなことを感じさせてくれる、素敵な物語でもある。自分には才能が無いと思っていた主人公が自分特有の特技を活かし、新たな人生を歩んで行く。この先に待ち受けるものとは何だろうか? 続きが非常に楽しみな物語でもある。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 彼女たちのその先をその目で是非確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/4/12
  • 投稿日:2021/10/30