わたしの主は世話がやける
最終更新:2016/7/28
作品紹介
わたしは狼だ。比喩ではなく本物の狼だ。 故あってとある貴族一家のお世話になっている。 しかしこの一家の娘──まぁわたしの主なのだが、もう少し落ち着いたほうがいいのではなかろうか? この間も、森で狩りをすると息巻いて迷子になったり、泳げるようになりたいと湖へ行き案の定溺れたり、供の者も連れずに町へくりだして誘拐されかけたり。 わたしがいなければどうなっていたことか……。 ──いや、多くは言うまい。 こんな方でも、わたしの愛すべき主なのだから。 やれやれまったく、わたしの主は世話がやける。
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